一条工務店の床暖房の室外機の音が気になる方へ

Googleで 一条工務店 床暖房 室外機 騒音 長府製作所 ブーン低周波音、等のワードで検索してみると近隣住民の方が一条工務店の室外機が原因で騒音被害にあわれているというケースや施主の方でも室内にブーンという低音が響いてくるという方が一定数見受けられます。

指標の一つとして騒音値を計測するというのがありますが、スマホの騒音計では正確な数値を測定するのは難しいですし、本格的な騒音計となると高額なものが多くなかなか難しいものがあります。

ただ音の感じ方というのは人それぞれな部分があるのは事実ですが、室外機が現在どの程度の能力で動作しているかが把握できれば客観的な指標としての目安になるのではと思います。

そこで一条工務店が床暖房を導入された方に標準で設置している
長府製作所製の室外機が実際にどういうケースで大きな音を発するのかを解説していこうと思います。

では具体的にどうすれば確認出来るのかというと

画像は一条施主の皆さんであればお馴染みの床暖房のリモコンですが
温度設定ボタンの↑↓を長押しする事によって

   リモコンの表記がこの様に変化すればモード変更変更完了です
   後はリモコンの↑↓ボタンを押せば確パラメータの数値が
   確認できる様になります。
 

  確パラメータの説明と我が家での実際の数値


d0   循環水戻り温度    
室外機に戻って来た時の温水の温度のことで、リモコンで設定した温度はこの循環水戻り温度を設定した温度に維持する様な制御になっています。

我が家場合ですとリモコンの設定温度が平均26℃程度なので
26℃〜27℃になっています。

d1   圧縮機運転周波数   
コンプレッサーの回転数の事で、この数値が実質的に室外機の騒音の
程度をあらわすものとなります。
※本文中で周波数と表記しているのは全てこの圧縮機運転周波数の
 事を指しています。

我が家の場合ですと概ね12〜30Hz(ヘルツ)程度です。
平常時は概ね15Hz前後で運転されていて、外気温が氷点下に近づくにつれ、30Hz程度まで上昇する様です。

d2  吐出温度
室外機によって加熱された冷媒の温度のことで、この温度を上昇させる
事によって温水を温めています。
d1   圧縮機運転周波数 に比例して温度が上昇します。


d3  消費電力 
文字通り消費電力の事ですね、単位は100Wの様です。

我が家では200〜400Wです。

d6  外気温   
これは単純に外気温の事ですね。  

d8  循環水往き温度
室外機によって温められた温水が室外機から出ていく時の温度です。

我が家の場合ですと27〜28℃になっています。


※機器側から数値を拾って来るまで一定のタイムラグがあるので 
 注意が必要です。


では具体的にどういう制御になってるのかというと、リモコンで設定
した温度を d0   循環水戻り温度が維持できる様に必要に応じて
d3  消費電力 を消費して d1   圧縮機運転周波数を増加させ、
d2  吐出温度を上昇させ循環水を温めるという制御になっている
様です。

つまり、d0   循環水戻り温度 を維持する為の、室外機の能力に余裕があるうちは周波数を落として静かに運転し、余裕がなくなるにつれて
周波数を上げていき、それに比例して音量も上がっていくという事です。

なお、一条工務店が標準で設置している長府の室外機の能力は仕様書に6.3kWとあるので、お住まいの地域や建物のシリーズにもよりますが
比較的、余裕をもたせたものが標準で設置されています。

ご自身のお宅の具体的な暖房負荷の計算方法は、松尾設計事務所の松尾先生の動画がわかりやすいです。
エアコンの能力計算方法②家全体の暖房負荷計算方法


前置きが長くなりましたが、では実際に我が家の例を元に
周波数による音の感じ方はどうかというと

15Hz前後 我が家の場合ですと屋内では運転音はまったく聞こえず
          屋外においてはファンの音しか聞こえないレベルです。

30Hz前後 我が家の場合ですと屋内では室外機に隣接した部屋で
        室内が静まり返っている時にかろうじて聞こえるかな
        といったところです。

我が家のケースですと真冬においても、室外機の能力に余力があり
概ね30Hz程度までで周波数が収まっているのでとても静かです。
この辺り流石は一条工務店のアイスマートといったところですね。


では一条工務店の床暖房の室外機はどんな時に大きな音を出すのか?


ケース1     霜取り運転の場合

こればかりは室外機の性質上、仕方がない事なのですが80Hzを超える
周波数で運転する事になるのでかなりの騒音です。
このレベルの周波数ですと、屋内にもかなり響いてきます。

霜取り運転中は、ファンの回らない冷房運転なので暖房運転時の音とは明らかに違うのですが、下記の画像の様に負荷をかけた暖房運転時にも見られない程の d3  消費電力になっていれば霜取り運転中なのだと思っていいと思います。
もしくは、寒いですがファンが回ってるか確認しにいくという方法もありますが。。。

d3が20を超えていれば霜取り運転で間違いないです

なお霜取り運転中は循環水を温める事が出来ない為、霜取り運転が長引けばリモコン設定温度と d0   循環水戻り温度に乖離が生じるので
暖房運転中の周波数も一時的に上昇する事があります。


ケース2      何らかの理由で運転時の周波数が上がっている

我が家の場合、今のところ安定運転時に高い周波数で暖房運転する事は確認出来ていないのですが、意図的に設定温度を40℃まで上げると
急激に周波数が上昇していきます。
そして周波数が70Hzを超えたあたりから、室外機に隣接した屋内を
中心にブーンという振動音が大きく響いて来ます。

つまり、家の中に響いて来るブーンの正体は、低周波音というより単純に室外機の周波数が上昇した事によるただの騒音であるケースがほとんどだと思われます。

一条工務店ではこの様な場合、施主側から要望があればゴム足をつける
事で対応して頂ける様ですが、はっきり申し上げるとここまで周波数が
上昇してしまうとゴム足程度でどうにかなるレベルでは無いです。

屋外でも確認して来ましたが確かにうるさいので仮に、住宅街でその状態が隣家に向けて長時間続いているのであれば近隣住民の方からお叱りを受けるのも仕方ないのかなと思います。

繰り返しますが温暖地のアイスマートの我が家では静かなものなのですが、ただ寒冷地の方などで深夜〜早朝にかけての冷え込む時間帯において室外機の余力がなくなり高い周波数で動いているケースもあるかもしれません。

その場合の対策として有効なのが『静音モード』という設定になります。

設定の変更には室外機側での操作が必要なのでアフターメンテナンスで対応して頂く必要がありますが、この設定により機器側で周波数を
強制的に制限をかけられる様になります。
静音モードには強・中・弱と3段階ありますが、強でも60Hzと高めの周波数での制限をかけるだけです。
何度も来て頂くのも大変なので、いきなり強でお願いしましょう。

体感ですが、我が家の場合ですと周波数60Hzであれば室内への
ブーンという音は大幅に軽減されています。
また、静音モードは霜取り運転にも有効の様です。


静音モード強にしてもまだ騒音が気になる方

この場合、対策としては別系統のエアコンがあれば並列して動かせば
設定温度が d0   循環水戻り温度 を維持し易くなり周波数も下がるでしょう。
エアコン一体型のRayの方は難しいかもしれませんが、室外機のみの
AEYH の方は別系統のエアコンがあれば、エアコンとの併用を試してみるといいかもしれません。

    


ケース3     冷媒ガスが漏れてませんか?

一応機器側でも一定以上のガス漏れがあればエラーコードが出る様に
なってはいる様ですが、相当な量のガス漏れでない限り、エラーコードは出ない様です。
いちいちスローリークにまで全て対応していてはキリがないというのもわかりますが、施主側としてはあまり室外機に頑張られても困ります。

冷媒ガスが漏れていると正常な機体と比べ、屋内が暖まりにくくなったり、電気代が増えるという弊害が出てきます。
また、設定温度を上げざるを得なくなりその結果、周波数が上昇し以前より室外機がうるさくなる事もあるでしょう。
ご自宅の電気代が他の一条工務店の家と比べて高いと感じる方は一度、確認してみては如何でしょうか?

確認の方法としては一度床暖房の電源をOFFにして d2  吐出温度
が設定温度付近まで低下するのを確認した後

   リモコンの設定温度を40℃以上の高温にしてください。

問題が無ければ、5分〜10分程度で d2  吐出温度が60℃以上まで上昇する筈です。

あくまで目安であって、多少の誤差でアフター連絡するのは止めましょう。
一方で10分以上経過してようやく高温になる様な場合は、アフター連絡した方が良いかもしれません。


ケース4   室外機の仕様に問題があると思われるケース

長府製作所が販売している室外機は、インバーター方式ですから初冬に床暖房をオンにした立ち上がりの数時間だけは、高負荷になり一時的に周波数が高い状態が続きますが、その後の連続運転中は温暖地であれば、概ね低負荷状態が続く筈です。

しかし、長府製作所が販売した室外機の中には能力に余裕があるケースであっても、強制的に周波数を上昇させて運転させているものもある様です。

具体的には連続運転時で外気温が10℃程度であっても、70Hz以上で運転され、低い周波数で運転される事はありません。
正常な仕様の室外機であれば、外気温が10℃程度であれば室温を維持するのに必要な周波数は15Hz程度でしょうから、室温を維持する為に本来必要な能力の500%以上の能力で運転させている事になります。

暖房時における室外機の騒音というのは、周波数が上昇することによる
コンプレッサーの音で決まりますから、昔のうるさかった非インバーター式の室外機の、西日本60Hz東日本50Hzをも超える様な高い周波数でしか動作しない該当機種が何故この様な制御になっているのか理解に苦しみます。

では何か対策はないのかというと、長府製作所も施主側で低い周波数で運転させる事は不可能だという事は認めており、室外機側で強制的に周波数を上げてしまっている以上、別系統のエアコンを併用しようにも周波数は下がりませんし、静音モード強は現行機種にしかない機能なので使えません。

しかも、この様な制御である事をサービスマンや長府製作所の担当者でさえ理解してないケースもあり、室外機の音問題でのアフター対応も、騒音値を測定して自社基準での騒音値(デシベル)を超えていない限り問題なしとして処理してしまっている事が多い様です。

私としてはそういう問題ではないとしか思えませんが、長府製作所から室外機に問題は無かったという報告が上がっている以上、一条工務店も
問題点を把握していないのもあり、それ以上の対応は手をこまねいてしまっている様です。

この問題は決して室外機の能力不足が原因ではなく、あくまで室外機の制御の問題なので、それを修正する基板があれば問題は解決する筈ですが、現状では修正基板が存在しないのでこの問題の根本的な解決方法は室外機の交換しかないです。

その為、分譲地等で明らかに近隣の一条工務店の家の室外機と比べて音が大きいという理由で、不具合として処理され交換で対応されたケースもある様ですが、一方で施主負担での室外機の移動という何の解決にもならないどころか、新たな火種を生み出しかねない提案をされるケースもある様で困ったものです。

ただ、こういった残念な対応は担当者が問題点を把握していなかった為に行われた事であり、問題点さえ正しく把握していればアフターサポートの良い一条工務店であれば、適切な対応をして頂けると期待します。

尚、該当機種はおそらく保証期間が過ぎている物が多いと思いますが、この現象は経年劣化によるものではなく、仕様だという事は確認がとれておりますので、気になる方は一条工務店に相談してみては如何でしょうか。


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