米雇用統計から日本の雇用について考えたりする

金曜に発表された米雇用統計は平均時給の伸びが目立った結果になった。
理由はコロナ以降の米国の労働参加率の低下がその一因であると言われている。

それを受けて12月以降のFOMCの利上げ率継続の可能性から一瞬米国株価全体は確か2%ぐらい?急下落の反応を見せた。日本も釣られて日経平均が下がった。

しかし、その後、直近12月の政策金利の利上げ率低下路線に変更がなさそうだという情報が出て、その日のうちに株価は戻し、ドル安円高も継続という流れになった。

転じて日本の雇用統計についても少し調べてみたら失業率は10月時点で2.6%。米国10月が3.5%なので1%近く低い。(もちろん日銀の金融緩和維持で企業が雇用を圧迫されていないという環境の違いは大きい)

その背景について考える時に、日本人はやっぱり総じて勤勉(労働意欲が高い)のかもしれないと思った。
米国はコロナ以降に労働をリタイアする人が多いという話だったけど、そのために企業は賃金水準を上げないと人材を集めれず、結果、高い賃金を原資としてインフレが冷めない。
対して日本は単にデフレ慣れしているといえばそれまでだけど、やっぱり真面目に労働に関わりたい、時間外でも仕事しっかりとやりたい、っていう人が多く、そういった勤勉な人々に安心できる生活が支えられているのだと思う。

私は今年株式投資を始めて初めて思ったんだけど、労働者ってやっぱり本当に大事で尊い。投資先の企業では経営者や表に出てくる人は限られるけど、実際にはその企業に勤める多くの社員が企業の価値にそれぞれ必ず貢献している。社会の歯車になるって表現は的を得ていて、他に噛み合わなければそれは歯車としては機能せず、歯車ひとつかけても全体が十分に機能しない。それぞれがとても大切な歯車。

同時に日本の弱みはその勤勉さに頼っている点でもあると思う。一言で言うと「既に使えるものは使い尽くしていて余裕がない」のかもしれない。高齢者も女性もこの10年で労働参加率が上がっていると思う。
内閣府は「我が国の女性の労働参加率は他国と比較して高い!すごいでしょ?」というレポートを作っている。
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je20/pdf/p03011.pdf

ただ、うちの嫁さんは泣きながら耐えながら家事を仕事を、その他心配事や子供の受験の対応などをしている。情けない話いま奥さんが仕事辞めたら今の水準の生活を維持させてあげられないかもしれない可能性はある。
私は仕事の関係上、比較的家に居て家事も子供の対応も手伝える方だと思うけど、嫁さんの苦労をその分真横で見ている。
企業の都合で女性のキャリア支援や女性役員を増やすなどの動きは多くの会社で行なわれているけど、=「女性も男性と同様に当たり前に働かなければならない」と、全体にこの風潮を強要する社員が多く居ると思う。Aさんは女性だけどバリバリ仕事してキャリア作っているのにBさんは時短で帰って怠けているというような感情を同僚や上司が持っている場面を周囲でも見ないだろうか?
本当に企業に求められているのは多種多様な雇用が、それぞれのバックグラウンドに合わせて行えるダイバーシティの形成だと思う。

出生率がますます低下しているという記事が数日前の日経に出ていた。
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je20/pdf/p03011.pdf

私の仕事はメインが外国人の就労支援である。
出生率低下で労働人口不足が見込まれる中、労働の大部分を外国からの労働者受け入れに頼らなければ立ち行かなくなる時代は既に始まっている。
そんななか日本はまだまだ外国人労働者のビザを厳格に限定しすぎている。単純労働で日本人のやりたくない仕事を中心に、より賃金水準の低い国の方を呼び寄せて対応させる。5年経ったら次の人に交代して変わってもらうことで日本は「移民は受け入れていない」ということになる。でも実際に外国人は日本で生活者として存在している。言葉上「移民」でないから海外のように抜本的な移民政策を考える必要性を顕在させない。それは日本の移民アレルギーをわざわざ表に出したくないという政府の考えからだ。
高度人材の受け入れ政策も日本という国のブランディングも既に多くの先進国に比べて遅れをとっている。
他国から「現代の奴隷制度」と非難の的となっている技能実習制度は氷山の一角であり、「一昔前に流行った日本」には本当に求める人材は集まらない。
労働者という意味では「使い捨て国家日本」、そしてもちろん個々の日本企業がどう生まれ変わるか、今がその瀬戸際だと思う。

話がいくつかのテーマにブレたが、結論は、
①日本はやっぱり勤勉な国なんで金融緩和方針を維持しつつインフレ率上昇を抑えられている側面がある。
②ただ労働参加率の中身はリアルをよく知った上で政策立案をしてほしい。個々の企業も自分たちの経営の持続可能性を考えて具体的な人事・雇用施策を検討してほしい。
③企業のダイバーシティ形成を評価できる環境について行政はもっと注力し、全ての勤勉に日本経済を支える労働者に分け隔てなく「働きがい」を実感してもらうべき。

と思索が巡る朝。
私の含み損は大きい。

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