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Hollyland MARS 400S PROを現場で使ってみての印象(笹邊幸人/株式会社千里ビデオサービス)

現場1)医療系のZOOMカンファレンス

部屋の広さは10m×20m程の鉄筋建築の屋内です。TXとRXの距離は10m以内で障害物はありません。

カメラはNEX-FS700
カメラに取り付けたMARS_RXに送信

カメラはNEX-FS700、SWはローランドV60HDでMARS_TXにはSWのプログラムFHD 60p SDIをリターンビデオとして入力し、カメラに取り付けたMARS_RXに送信しました。

RXからはブラックマジックビデオアシストに映像、音声をHDSDIで入力しました。

当日のレイアウト図

さすがにまだ本線に使うには現場実績が無いので今回は通信が乱れたり切れたりしても事故にならないリターンビデオとしての使用に留めました。

SW側(TX)
カメラ側(RX)

通信が安定している状態ではリターンビデオとして大変快適でした。ところが5m程度の距離において映像にブロックノイズのようなものが現れ、映像が止まったり動いたりと不安定になり、遅延も1秒以上の状態が発生しました。

TXとRXの間に障害物があるとすれば撮影している私の身体だけです。電波が水中を通らないことを考えると送信点を人間の身長よりも高くすべきでした。この時の動画は症状が出ている部分をHollylandに出演者の顔にマスクをして提出済みです。Hollylandからの回答は

「怪しいですね。現場に何か電波が妨害したに違いないだと思います」とのことでした。

現場で使っていた電波はホワイトスペースワイヤレスマイク(1.2GHz)とインカム(2.4GHz)だけで5GHZはMARSだけでした。ZOOMのLANも有線LANでしたので原因は不明です。鉄筋の屋内なので壁の反射による干渉ではないかと想像します。やはり電波というものの性質上不安定になることは想定すべきかと思います。ただ、この仕事でリターンビデオは非常に重要で、MARS 400Sは大変役立ちました。

現場2)スポーツ系PVのオープンロケで制作モニターに無線伝送

カメラはNX5Rでインタビュー時のため屋外ですがFACE起こしにLEDライトを装着しています。そのためハンドル後部にMARSを付ける必要があり、オフセットしたコールドシューを加工しました。

屋外で天候も良く電波は30m離れたRXを積んだモニターへ安定して届きました。

やはり気になったのはアンテナです。カメラ側は自分が管理するので折れても仕方ありませんが、ディレクターさんに渡したモニター側のRXに付いたアンテナをもしディレクターさんが折ってしまったら気を使わせてしまうことになるので少し気の毒な感じです。

このモニターはBON 7Sというモニターでindoor、outdoor、brightと輝度のプリセットがあり、ディレクターさんからはケーブルが無い上に、屋外でも大変見やすいと好評でした、また技術側としてはモニターの世話から開放されるのでとても有り難いです。

もちろん音声が聴こえるのでディレクターさんには100均イヤフォンを差し上げました。

触っていて見つかった機能として、メニューで冷却ファンの設定がありました。

静音が必要な取材ではファンを切る事も出来ます。

移動するカメラの中継に私は受信点を2箇所作り、それぞれをSWに入れて通信状態の良い方を選べるシステムを作ります。タリー は二つのアサイン連結しをして、どちらを選んでもTXが付いたカメラのワイヤレスタリー が点灯します。

HollyLandに「MARS 400sPro はRX2台で同じ信号を同時受信できますか?」の問い合わせに対してHollyLandから回答がありました。

選べるスタイルは

⑴ 同時に2台の受信機
⑵ 1台の受信機+2つのモバイル端末
⑶ 4つのモバイル端末

3つの方法がありますとの回答でした。

最後に簡単な遅延テストを行いました。モニターの種類が異なるので正確ではありません。凡その目安ですが遅延は3~4フレームでした。右はMARSのTX入力で、左がRX出力です。

数回試しましたがほぼ同じ数字が出ます。

以上MARS 400S PROの簡単なレビューですが、今回の試用で電波は距離だけではなく、様々な要因によって通信が不安定になることを実感しました。

経験的に立っているのものは倒れる、繋がっているものは切れる、飛んでいるものは落ちるということで、安定しているように見えても不安定な状態はいつ起こるかの予想は難しいと思います。

本線への使用については位置を変えた複数の受信点を作ったり、送受信点の高さなど、もっとテストを重ねる必要があると感じました。

2021年12月6日
株式会社千里ビデオサービス 技術担当 笹邊幸人


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