『籤木山のたましずめ』ハンドアウト一覧

ハンドアウトとは

ライブシネマという1つの物語の中で、あなたのキャラクター(PC)がどんな役回りを演じるのかという指針を示したテキストのことです。
「役回りの枠」略して「枠」と呼ばれることもあります。

『籤木山のたましずめ』では想定される役回りをある程度こちらで用意しているので、その中からご自身が演じたい立ち位置を選んでください。
名前、年齢、性格など細かい設定はプレイヤーで作っていただけます。


ハンドアウト一覧

村人:古参A(保守派)

君は更藤村に代々住まう家の者である。
更藤は、雄大な自然と多彩な恵みを授けてくれる籤木山と、そしてこの地に加護と豊穣をもたらしてくれる守り神『みなわ様』のお力で、豊かでこそなくとも充分に満たされている。
田舎だと蔑む者もいるが、神を抱くこの神聖なる土地に暮らす幸せを、君は誇らしく思ってさえいる。
更藤にとって今年は特別だ。八年に一度、みなわ様への感謝と次の八年の御加護を願う祈りを捧げる『はつかめぐり』の祭の年なのだから。
村民一丸となって、この祭を成功させるべく気持ちをひとつにしていたはずだった。
そのはずなのに。
宵祭で『たましずめの儀』を担うはずの祭巫女のひとりが、姿を消した。
このままでは大切な祭を執り行うことができなくなってしまう。どうにかしなくては、きっと取り返しのつかないことになる――
「この村は神様の住まう神聖な地。余所者が侵すことも穢すこともまかりならん」

村人:古参B(革新派)

君は更藤村に代々住まう家の者である。
更藤は、深く峻険な木々と丘陵をたたえた籤木山に囲まれ、都会の豊かさとは切り離された外界から鎖されし寒村。
戦争も終わり、復興と確信と進歩とを旨として国全体が前進していこうというこの気風に反して、古臭い慣習や伝統にばかり固執して変化を拒み続けるこの土地に暮らすことを、君はもどかしく思っている。
更藤は、現状はまだ窮状におかれてはいないが、人口は徐々に減少しつつはあるのだ。本来ならば余所者を拒む風潮の強い土地だが、しばらく前から移住者を受け入れ始めている事実がその本質を物語っている。
……今年は、村を象徴する行事である『はつかめぐり』の祭の年。折しも祭巫女のひとりが姿を晦まし、このままでは祭の実行は不可能だ。
これは、チャンスじゃないか? これを機に、古臭い伝統から脱却して村起こしを進めていくことができないだろうか。
「このままじゃ村は滅びちまう。村を愛しているからこそ、新しい時代の風が必要なんだよ」

村人:流入者A(保守派)

君はここ七年以内に更藤村に転入してきた移住者だ。都会の喧騒を厭うて流れてきた君にとって、ここは理想の地だった。
古き良き日本の文化や風習と、豊かで雄大な自然とを在るがままに守り続けた、美しく素晴らしく穏やかな、牧歌的な山村。
こういった土地にこそ、この国に住まう人間のあるべき姿が残っていると思うのだ。
昔から外部との接点の少ない村だったというから、新参者の君はまだ本当の意味で馴染んだとは正直言い難い。しかし、それはこれからの振る舞い次第で如何様にもなると信じている。
今年はなんと、この土地の守り神様に捧げる八年に一度のお祭の年なのだという。なんと魅力的であることか! こういうものに触れたくて、君は田舎暮らしを選んだのだ。
それに、こういった村の象徴的な行事を経てこそ、真の仲間として迎え入れてもらえるような気もする。そうとなれば、率先して祭の支度を手伝わねばなるまい。
「いやあ、浪漫ですよね! これぞ古き良き日本というものです! 祭も楽しみだなあ」

村人:流入者B(革新派)

君はここ七年以内に都会から更藤村に転入してきた移住者だ。都会の豊かさに慣れきった生活をしてきた君にとって、ここは最悪だった。
映画館もなければ、喫茶店やお洒落な服を売っている店もない。大した娯楽も存在しない中で自給自足に近い時代錯誤な生活を強いられる毎日は、君にとって苦痛でしかなかった。
もちろん、村での生活は君の望んだものではない。君の意志とは別のところに事情があり、必要に迫られたからだ。
だというのに、『一度住むと決めたなら村を離れてはならない』ときた。終戦から十年以上経つ今時、そんな馬鹿な話があってたまるものか。
現に村の子どもたちは高校に上がれば日興で下宿や寮に入るし、大病をすれば日興の病院に入院するではないか。離れてはならないなんて、ただの意地悪に決まっている。
どうにか村を離れるべき理由を見つけて周囲を納得させなくては。……あるいは、この村に留まりたい理由が見つかれば別だけれど。
「こんな村、大っ嫌い。なんであたしが、こんなド田舎で暮らさなきゃならないのよ」

来訪者:学者 ※1名限定

君は各地の伝承や文化、宗教習俗、様々な風習などを研究している民俗学者である。
民俗学者というのは、日夜文献に向かったり机に齧り付いたりしていれば務まるというものではない。最も大切なのは、実際にその土地を訪れてその文化の実態を身をもって体験しその本質を知ること。すなわちフィールドワークだ。
今回の研究テーマは、籤木山と更藤村に特有の信仰と祭事。特に『はつかめぐり』と呼ばれる伝統の祭についてである。
更藤村は長らく余所者を拒んできた閉鎖的な山村であり、実態は長らく謎に包まれてきた。
だが近年、外部からの転入者を受け入れ始めたのをきっかけに、少しずつソトの人間との行き来がなされるようになってきたという。
そのお陰で、君のフィールドワークの打診も受け入れてもらえたのだろう。無論、村全体で歓迎してもらえているとは考えづらいが、踏み入れるきっかけさえもらえればしめたものだ。
この地に伝わる信仰の変遷と真実とをその目で確かめ、君の知識をもって紐解かなくては。
「この地域で八年に一度行われているという秘祭を研究していましてね」

来訪者:助手 ※1名限定

君はとある大学の民俗学者の助手をである。
非常に優秀な人物だと思っているし尊敬もしているが、学者という人種は得てして研究に没頭するとその他の諸々が疎かになるものだ。
君の役割は、先生の研究の手伝いはもちろんのこと、先生の身の回りの細かなことに気をつけてやることも含まれているのだ。
特に今回のフィールドワークはなにやらいつにも増して貴重な機会らしく、いつも以上に先生の調査に熱が入ることは想像に難くない。
だから今回のフィールドワークに君が帯同すること自体には全く異論はない、のだが。
この更藤という村は、なにか異質だ。
これまで君がついていった場所も変わった場所が多かったが、それらと比べても来訪者に対してよそよそしい者が相当に多いように感じる。
それに……この村に来てから、なにやらじっとりとした嫌な気配がまとわりついて来ているような気がしてならない。
本当にここに長居して大丈夫なのだろうか?
危なそうなら、先生を守らなければ。
「先生……なんか、この村おかしくないですか? 気持ち悪いですよ、早く帰りましょう」

来訪者:警察(上司) ※1名限定・男性PC限定

君は最近日興署に転属してきた刑事である。
日興市は田舎だ。隣接する四方陵郡と比べれば遠く及ばないが、都会から越してきたばかりの君にとっては日興も充分すぎるほど田舎だ。
殺伐とした都会とは違い、平和で田舎の街で少しは気楽に働けるかもしれないと思っていた。
……しかし、君が赴任してきてすぐ、この田舎の街を震撼させる大事件が起きたのだ。
日興市の市議会議員の一人息子である国東幸之介氏が、行方不明になったという。日興市と隣接する四方陵郡の籤木山方面に向かう姿を確認されたのを最後に行方が連絡もないらしい。
有力者の息子ということもあり大々的に捜査がされるものと思ったが、何故か動きが鈍い。
君の上司も、それどころか父である国東議員の周囲の人間もあまり積極的に動きたがらないような様子を見せるのだ。
籤木山と更藤村にはあまり関わらない方が、だそうだ。そんな馬鹿な話があってたまるか。
君はこの事件の担当に名乗りを上げた。必ず自分の手で事件の真相を暴いてやるのだ。
「最近、この近くで行方不明事件が起きておるんです。あなた、なにか知りませんか」

来訪者:警察(部下) ※1名限定・男性PC限定

君は昨年からから更藤村の駐在所に配属されている警察官だ。前任者の定年退職に伴い任を引き継いだ新米駐在員というわけである。
君の出身は更藤村ではない。余所者を喜ばない気風のあるこの村で、それでも君が一年と少しという短い間で多少なりともこの村に馴染み、一定以上には信頼を得ることができたのは、前任者の協力によるところが大きかっただろう。
前任者も更藤の者ではなかったが長年村のために尽くし、定年まで務め上げた。加えて村の風習やしきたりをきちんと尊重して暮らしてきたことで評価されていた彼が、しっかり間に立って君を村人に紹介し、『この村で暮らすための最低限の知識』を教えてくれたからこそ、今の君はこの地で駐在としてやっていけるのだ。
だがこのたび、君は日興署からやってきた刑事と組まされて、この辺りで起きたという行方不明事件を捜査させられることになった。
……嫌な予感がしてならない。事件解決はもちろん大事だ。しかし、この地を必要以上に掻き回してはろくなことにならない気がするのだ。
「正直、この件には手出ししない方がいいと思うんですけどね。先輩は他県から来たから……」

来訪者:記者 ※1名限定

君はとある編集社で大衆向け雑誌編集部で記者をやっている。
ゴシップや三文ネタを中心に、読者の興味をそそれる内容ならばなんでも取り扱う節操のない雑誌ではあるが、逆に言ったら面白ければどんな硬いテーマでも掲載してくれる融通性という長所もある。
むしろ、他の記者たちも書いているようなごくありふれたネタで記事を書いても編集長のお眼鏡には適わないだろう。
そこで君が目をつけたのは、四方陵郡にある籤木山の山中の小さな村、更藤村で八年に一度だけ行われるという『はつかめぐり』と呼ばれる祭だった。
更藤村は田舎の中でもとりわけ余所者を拒む風潮が強かったらしいが、ここ30年程度で外との行き来が少し緩和されてきたらしい。
そしてなんと、今年がその『はつかめぐり』が行われる年に当たるというのだ。
きっと記事のネタになるものがたくさん見られるに違いない。君は突撃取材を決意した。
「山間の小さな村で八年に一度執り行われる秘祭! ネタの宝庫に違いないでしょう?」

来訪者:元村人 ※1名限定

君は元々更藤村の住人だった。過去形なのは、何年か前に村を離れ都会に移り住んだからである。村を離れてから今まで、何だかんだで一度も故郷に帰ったことはない。
更藤は本来、村を離れて暮らすことを禁忌としていた。そんなのは昔の風習で、今どき律儀に守るものでもないはずだ。現に、君以外にも村を離れて暮らす者は少ないながら存在する。
とはいえそんな経緯があれば気まずいのは事実で、都会の刺激に魅了されていたこともあり、どうしても足が遠のいてしまっていた。
そんな君が今回帰省することにしたのは、親族からの電話がきっかけだった。
「今年は『はつかめぐり』よ。あんたも更藤で生まれたなら、みなわ様のためにお戻んなさい」
……八年に一度の村を挙げてのお祭、『はつかめぐり』。これは更藤村に生きる全ての者が参加するものとされている。さすがの君も帰らないわけにはいくまい。
そういえば友人にひとりこういうのが好きな奴がいる。せっかくの機会だ、旅行がてら一緒にどうかと誘ってみようか。
「俺も帰るのは久々なんだ。今年ははつかめぐりだしさ、おまえこういうの好きだろう」

来訪者:元村人の友人 ※1名限定

君は更藤村とは縁もゆかりも無い、言わば余所者中の余所者だ。そんな君が今回ここを訪れたのは、友人から誘いを受けたためである。
「自分の故郷に八年に一度だけ行われる祭があるので、良かったら一緒に参加しないか」
君は元々、地方に特有の民話や伝承、言い伝えや文化など、小説や映画のテーマになりそうな話が大の好物だ。それは件の友人も知るところだった。だからだろう、友人が数年ぶりの帰省の供に君を誘ったのは。
他人の帰省に、しかも観光地というわけでもない更藤村に、なんの関わりもないただの友人が誘われてついていくというのも何となくおかしな話ではあるが、八年に一度の秘祭と言われては気にならないと言ったら嘘になる。
こんな機会、次にいつ訪れるかわからない。せっかくだからお言葉に甘えることにしよう――そう思ってやって来たのだが。
祭を控えた村とは思えぬどこかじっとりした雰囲気と、誰からともなく君に注がれる鋭い視線は、いったいどういうわけだろうか。
「はつかめぐり祭か……初めて聞いたよ。伝統のお祭なんて、参加させてもらっていいのかな」

枠希望提出に関して

役回りの枠は上記11種類です。
役回りによっては枠の人数に制限があります。それを越えて希望が集まった場合は、よりその枠に相応しそうなキャラクターにお願いすることになります。
ですので、役回りの枠希望と同時にその枠にどんなキャラクターで参加したいのか、イベント中どんな立ち回りをしたいのか、簡単な概要の書いていただいています。
世界観やNPCの設定に沿ったキャラクター設定にすると、より物語に関わりやすくなります。

第5希望まで提出していただけますが、人数制限の厳しい枠が多いためご希望になくても一番人数枠の多い『村人:古参A(保守派)』になる可能性があります。予めご了承ください。

※男性PC限定
PCが男性であればプレイヤーは女性でも構いません

※異性PC
ご自身の性別と違うPCを作ることは可能です。
ただしご自分でキャラクターを演じる都合上、ご本人の体型や見た目、演じられる範囲とあまりにかけ離れた設定のキャラクターは混乱の原因となるため、推奨しません。

※『村人:古参A、B』、その他長年村に住んでいるPC
村人の名前、村に伝わる童唄、村の信仰や伝承についてなど、覚えていただく必要のある情報があります。

※『村人:古参A、B』
大多数を占めることになる古参の村人の中でも、一人しかいない、或いは人数が限られるような立場(医者、教師、長者、青年会会長、婦人会会長、教祖の側近、祭巫女など)のPCを希望する場合は競合となる可能性があります。その場合、こちらで選考することになるので、詳細に設定を書くことをお薦めします。

※『村人古参A』
この枠だけは人数制限がないため、この枠に限り複数回選択していただいても構いません。
その他の枠は1回のみ選択してください。

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