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Live Extreme Encoder v1.9をリリースしました

本日、約3ヶ月ぶりとなる「Live Extreme Encoder」の最新版をリリースしました。一部機能を除き、主に配信管理者の運用面での改善を目的としたアップデートとなっています。本記事ではLive Extremeを運用中、または導入を検討中の方向けにv1.9の改善点を説明していきます。

追いかけ再生に対応

ライブ配信の視聴者にとって、うまく予定が合わず、ライブ配信の開演に間に合わなかった時には悩ましい決断を迫られます。音楽コンサートは、オープニングからエンディングまでが一つのアート作品ですので、できれば最初から観たい反面、ライブ終了後のアーカイブ配信まで待つのもしんどいものです。また、セミナー配信の場合は、最初から観ないと話を理解することさえ難しいかもしれません。

「追いかけ再生」は、ライブ配信中のコンテンツを巻き戻して再生することができる機能です。この機能がサポートされていると、ライブ配信を途中から見始めた視聴者の方も、コンテンツを巻き戻して冒頭から視聴開始したり、再生を途中で一時停止することができるようになります。即ち、オンデマンド再生では当たり前の機能をライブ配信中も利用できるというわけです。

「追いかけ再生」のイメージ

Live Extreme Encoder v1.9では、「配信」設定から「追いかけ再生を有効にする」のチェック•ボックスをオンにすることで、この機能を有効にすることができます。同時に、配信プラットフォーム側にもプレイヤーのシーク•バー表示を有効にしてもらう必要がありますのでご注意ください。

配信設定画面

ローカル保存機能の強化

Live Extreme Encoderには、ライブ配信中のデータをローカル•ストレージにバックアップ保存する機能が備わっています。このため、万が一インターネット回線速度が低下してサーバーにアップロードされるデータに問題が生じたとしても、アーカイブ配信時にはローカル保存されたデータを使って復旧させることが可能です。

従来バージョンでは、ローカル保存されるデータはライブ配信されるデータと全く同様のものでしたが、Live Extreme Encoder v1.9からは、ライブ配信されるデータとは別に、ローカル保存専用の映像•音声フォーマットを指定することができるようになりました。例えば、配信仕様はFHD映像 + 48kHzロスレス音声に設定しつつ、ローカル•ストレージにはより高品位な4K映像やハイレゾ音声を保存しておく、といった使い方が可能となります。

音声設定画面

私自身、配信現場に立ち会うことも多いのですが、あまりにも演奏やミックスが素晴らしいので、配信仕様がPCMであっても、アーカイブはDSDで残しておきたいと思ったことが何度もあります。Live Extreme Encoder v1.9でようやくその希望を実現できそうです。

ローカル保存の設定例

冗長化配信時のサブ機としての機能強化

ライブ会場に配信用回線が2本引かれており、配信プラットフォームも冗長化に対応している場合は、配信エンコーダーを2台同時に回して、万が一のトラブルに対応するのが一般的です。一方、配信用回線が1本しか無い場合は、2台のエンコーダーを同時に回すと逆に回線帯域圧迫のリスクが高まるので悩ましいところです。

こういったシチュエーションでは、私たちの場合は1台は通常稼働し、もう1台はトラブル発生時の控えとして、いつでも配信可能な状態にしてスタンバイさせておきます。Live Extremeには、アップロードを中断してローカル保存のみを継続させる機能が備わっていますので、万が一メイン機に問題が発生した場合は、すぐにアップロードを停止(ローカル保存のみを継続)し、スタンバイさせておいたサブ機を回して配信を継続させます。

Live Extreme Encoder v1.9ではさらに、ローカル保存を開始した状態で配信をスタンバイさせることができるようになりました。即ち、バックアップ機は開演と同時にローカル保存のみを開始させ、メイン機に異常が発生した場合は、ローカル保存を継続しつつ、即座にアップロードを開始させる、という運用が可能となります。

配信設定画面

これによって、配信状態に関わらず、メイン機とサブ機で常にバックアップ保存が回ることになりますので、ライブ配信中に万が一事故が発生しても、データの消失という最悪の自体は免れることができます。

回線共有時のエンコーダー冗長化とバックアップ保存

まとめ

ライブ配信にトラブルは付き物です。私たちはソフトウェアの安定性を高めることでこのリスクを低減させることに努めていますが、万が一想定外のことが発生してしまった場合でも、すぐに復旧できるような仕組みを充実させること。これが開発方針の大きな柱となっています。

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