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雑記⑲「心に移りゆくよしなし事を」

1.天丼のタレ

 飲食店に一人で入るのは割とハードルが高い。最近はアクリル板があったりしてカウンター席が2人毎で区切られていたりするから余計にハードルが高く感じる。一人でそこに座ることへの多少の罪悪感が拭えない。
 飲食店に一人で入るハードルが高く思える理由のもう一つは、勝手がわからないことである。「入店したら勝手に席に着いて良いのか否か」や「会計時はレシート持ってレジ行くだけで良いのか、それとも店員に声をかけるタイプか」はその最たる例である。
 先日、一人で天ぷら屋さんに入った。このお店は入り口に「店員がご案内いたしますので手指の消毒をしてお待ちください」という張り紙が丁寧に貼ってあった。それが外から見えた瞬間、この店に入ることに決めました。あいにくカウンター席が全部空いており、他のテーブル席は全部家族連れで賑わっていた。
 目の前を何人もの店員さんがせかせかと通過していく。そんなカウンターに単独で鎮座するカス大学生、という状況を俯瞰して見るのは意図的にやめた。お店で一番オーソドックスであろう定食を注文し、パクパクと食べた。僕がご飯のおかわりをもらうタイミングを押し計り兼ねていると、店員さんの一人が「ご飯いる?」と聞いてくださり、ごっつぁんゴール。5品あった天ぷらも佳境を迎え、残るはかき揚げのみになりました。僕が味噌汁を啜っていた時、先ほどの店員さんがスッとちっちゃい容器を差し出し、「味変に天丼のタレとかどう?」と。「テーブルの人には持ってかないけど、カウンターだと近いからね。どう、ご飯いる?」。たまに遊びに行った時のおばあちゃんのムーブを久しぶりに浴びて嬉しくなりました。「ご飯たくさんでも大丈夫?」なんて久しぶりに言われました。お言葉に甘えてちっちゃい天丼を作らせていただいて、最高の気持ちでライブ会場に向かえました。

2.「桐島、部活やめるってよ」

 「桐島、部活やめるってよ」の映画版を見ました。正確な会話まで覚えてはいないのですが、登場人物の女子が仲良しグループの人から「なんで部活やってるの」と聞かれて「成績のため」的なことを答え、その質問をしてきた人がいなくなった後で、仲良しグループの別の人に「さっきの嘘だから」とその建前を壊す場面がありました。
 この場面を見て、なんとなく抱えていた葛藤が「誰かには知っていてほしい」という感覚・願望だったことに気がつきました。世の中には「柄じゃないこと」「得意じゃないこと」「気が乗らないこと」をやらないといけない状況は数多とあります。でも、そんなことはほとんどの人にとってみれば知ったこっちゃない話です。そんな中でも気を保って生きていくためにそれを誰かに知っておいてもらいたい、という感覚に僕は身に覚えがありすぎました。話す相手を選ぶなんてことは重々承知の上で、noteに書きまくってきたような生産性が皆無な内容を共有してみたいなと思ってしまう時があります。毎日毎日取り繕ってばかりだから、「自分はこんな人間じゃない」って言いたい。嫌いな人がたくさんいるって言いたい。理解できないなと思うことや人が(妬み嫉み等も含めて)たくさんあるって言いたい。

 ってことも、言いたい。

3.「14歳の栞」

 小学生の時は中学校が怖くて、中学生の時は高校が怖くて、高校生の時は大学が怖くて、今は漠然と”社会”が怖い。小6と中1にすら圧倒的な違いを感じていたのに、今となってはおおよそ見分けはつかない。映画をみながら、7年前の自分もあんな風に夢を大きく広げられていたか自信が持てなかった。

 話は打って変わって、「14歳の栞」を見る時なんとなくポップコーンを買いましたがそれが紙袋に入っているタイプでパリパリと音がするのがなんか嫌で、結局一粒も食べれませんでした。紙袋片手に家の最寄り駅まで帰って、歩きながら食べました。ポップコーンをさもポップコーンでないかのように持って帰るなんて経験は、金輪際なくて良いです。

4.カルチャーショック

 『2.「桐島、部活やめるってよ」』に書いた”生産性が皆無な内容”を、先日バイト先のある女性と話している流れで少しだけ共有してみたくなりました。女性が「男の人がカラオケの部屋に入るなり隣に座って頭を肩に乗せてきてキモかった」という話をしてきたので、賛同してもらえると思って”生産性が皆無な内容”を共有してみました。

 丸テーブルに4脚の椅子があるところに”二人”で座る場合、僕は対角以外考えられません。理由は単純に、単純に相手との距離が一番遠くなるからです。
 これを女性に言ってみたら「隣のほうが喋りやすい」と反対されました。顔が見えないほうがいいらしいです。結局「人による」に落ち着くんでしょうけど、なかなかのカルチャーショックでした。
 カラオケのL字のソファに二人で座るなら、僕は絶対に違う辺同士で座りたい。それと、L字の角には絶対座らない。ファミレスの4人がけテーブルに二人で座るなら真っ先に隣同士の選択肢は捨てるし絶対に対角で座りたい。ソファの真ん中には絶対座らない。

 ぐんぴぃさんが動画内で言ってた言葉と重なりますが、「他人からキモいと思われる可能性を十二分に秘めている自覚」をこれまでの人生で刷り込まれ続けたら、思いつく限りそれを回避したいんです。完全に0にはできないけどなるべく少なくしたい。




 行動を選択する時、結局は自分を基準にして判断しないといけない。それが相手にとっては適応されなくても、しないといけない。横に座られるのが嫌な人がいるのを知っているから、顔が見えることよりも物理的な距離に起因する嫌悪感のほうが強い気がしてしまうから、僕は対角に座り続けるしかない。されて嬉しいこと、されて嫌なこと、したくないこと、

 僕が対角に座るか隣に座るかを、どこかから見てる自分がいる気がしてしまう。


#343  雑記⑲「心に移りゆくよしなし事」

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