貴様本位
窪美澄さんの『いるいないみらい』という小説を読んだ。(先日読んだ山本文緒さんの『自転しながら公転する』と一緒に買ったもう一冊がこの本でした。)
子供がいるみらい、いないみらい。それを巡った5編が収録されている。
自分の意見をどこまで突っ張るか、という問題。一度きりの人生なのだから、自分のやりたいように思うように、と。こと結婚や子供という話になった時にそこを突っ張り”過ぎてしまう”人がいる。許容の姿勢を見せることで満足して、妥協するなんて微塵も考えていない。片側が寄り添ってもことはうまく運ばないんだなと感じました。
まず子供が欲しいかどうか、そう思う理由は何か。なぜできないのか、それはなぜなのか。非常にセンシティブで言いにくい部分もあって、一歩踏み出し始めてしまっている手前引っ込めにくくもある。
この小説に書かれていることは誰にでもあり得る話で、それでいて目を背けている。自分はそうはならない、と思い込みたい。そしてそれが自分も例外ではないなと、思わされました。
読んだことは全く後悔していません。読んで本当によかったです。窪美澄さんの小説の好きなところはここだ、と改めて確認できました。ページ数もあまり多くないのでぜひ。
#335 貴様本位
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