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偏る生活を歌舞いた

 大学に、同じ高校出身の友人が一人いる。1ヶ月前くらいに「授業終わり飯行こう」と誘ってもらったのだが、バイトとドン被りで断らざるを得なかった。
 それから何週か経って「今期あと何回授業あんだろうな〜」と雑にカレンダーを見ていたら、講義の最終日が昼過ぎくらいには終わることに気がついた。しかもバイトがない日だった。前回はこちらが断ってしまった手前、こちらから誘うべきだなと思い、一週間前くらいに誘ってみた。友人は賛成してくれて、その時は「酒飲むのもありかもしれん」という話で落ち着いた。

 そして昨日(2022.07.26.火)、履修している講義が全部終了し、あとは試験を残すのみとなった。最後の講義が鬼ほど巻いて、14時過ぎには解放された。
 隣接している市の中心街的なところへ出向き、ひとまずカレーを食べに向かうことに。高校生の時から放課後にやたらとカレーを食べに行っていたので、それを想起させる。「高校の近くのあのカレー屋にいい加減行きてぇ」という何回したのかわからない会話をしながら歩を進めた。
 大学三年生の会話はインターンシップやら就活やらで溢れかえる。話のテンションは、盛り下がる。意識高い系同級生のインスタのストーリー、「就活は団体戦」という言葉、キラキラしたキャリア授業の講師、研究室・ゼミ、コロナ禍、マウンティング。「なんか、生きにくさせられてるよね」という話が永遠に続く。
 3ヶ月前くらいに、この友人におすすめの本を聞かれて星野源さんの『いのちの車窓から』をおすすめしたことがあり、その流れがあったので、ぎりぎりまで迷ったけど朝井リョウさんの『何者』をおすすめしてみた。「後味ちょっと悪くて重たいけど、」という枕詞をつけてしまった。
 友人は「銀河鉄道の夜」を買ったという話をしていて、「教科書に載ってた話を読みたくなるの分かる」という話で盛り上がりました。檸檬、羅生門、こころ、盆土産、etc….。

 カレー屋の閉店時間が近づき、店を出る。この後呑むとは思えないくらいの満腹感。そして居酒屋へ行くにはとても早すぎる時間。カレー屋で本の話を少ししたのもあり、本屋へ行ってカフェにで時間を潰すというので落ち着きました。
 僕は太宰治『人間失格』、友人は朝井リョウ『何者』を購入し、コーヒーを飲みながら1時間半くらいお互い読んでました。超良かった。

 日が暮れ始める頃、カフェを出て中心街を雑に徘徊。良さげなお寿司を食べられる居酒屋へ。
 インターン・就活系のこれからの話は懲り懲りなので、「大学生活がもう2年半終わってるのやばすぎ」というこれまでの話になる。同学年の人と話をすると、やっぱりこの話になることが多い。「オンラインは楽だったけどさ、友達できてなさすぎるよね。まぁ、できてる人もいるんだろうけどさ」という話題から逃れられない。
 居酒屋には2時間半くらいいた。最後にこれだけの時間サシで割と真剣に話したのはいつだろうなと思い返すと、多分高3の放課後の教室とかになると思う。話せる力もないけど、コロナ禍を長く過ごす中で「誰かと話したい」と漠然と思っていたのかもなと思った。
 結構真剣に人との仲良くなり方とか、人間関係とか、異性との付き合い方とかを寿司をつまみながらしゃべって、盛り上がれた。いわゆる「共鳴」ってやつだなと思ったし、「合う人に会う」ってこういうことなのか!となったし、「みぞおちが熱くなる」を感じれたような気もした。
 中でも、友人が言っていた「音楽の趣味が合う人とは、その奥にある人間性の部分も合う気がして仲良くなれそうだなと思う」という話に共感しかありませんでした。「大学の人とこの類の話をしてこんなに盛り上がれるんかね?」という話題は「多分無理だろうな」という結論に落ち着きました。そんな中で、友人は、僕が星野源さんのエッセイをオススメして以降「星野源の曲良すぎ」という話ができる唯一の人でした。高1からの付き合いでようやく”星野源”という「音楽の趣味」の共通点みたいなものが見えたのがでかいなと話している途中に思いました。話の中で何回「それわかる」って言ったかわかりません。
 少し前に「合う人に会う」のを諦めて「合わない人に会わない」でもういいやと思ってしまったんですが、やっぱり合う人に会いたいです。最近読んだ文章で刺さりすぎて何回も読んでしまったものがあるのですが、その筆者さんを見習いたいです。だから、本当は合う人に会いたいです。そしてあわよくば温もりも欲しい。

 カレーとコーヒーが腹に溜まっていたのもあり、寿司を食い終わって腹がパンパンのパンでした。アルコールによって程よくふわふわした状態で居酒屋を出ることに。「そろそろ行きますか」となった時、友人に「もうちょっと喋りたいからカラオケ行こう」と言われた時、今まで感じたことないくらい嬉しかったです。
 そっから3時間半、カラオケで一回も歌うことなくしゃべってました。
 最初は大学の話をダラダラと。「ゼミの人とどれだけ仲良くなれるかに今後かかりすぎてる」という話とか、来週ある期末試験とレポート提出がだるい、という話をした。

 カラオケのリモコンをいじっていたら星野源さんのライブ映像が見れることに気がついたので誘われるように再生。

 「Pop Virusのパーカー姿がかっこ良すぎる」という話で盛り上がりつつ、「大学生のうちに源のライブに行きてぇ」とお互い口々にのたまいました。でも結局、「最近コロナ増えてるし、難しそうだなぁ….」という話になる。大学生活の半分がオンラインで”楽”だったけど、それと引き換えに奪われた諸々がどうにも取り戻せない。キャンパスライフなんて二の次三の次で、もうちょっと自由が欲しかった。
 源さんのライブ映像をいくつか見て、いろいろな人のライブ映像を検索するターンになった。友人が藤井風さんの『何なんw』の武道館ライブの映像を再生してくれて見た。最後のピアノのパフォーマンスに圧倒されました。

俺もなんか探そうと思ってSUPER BEAVERを検索してみました。『何なんw』の最初の手拍子の揃い具合に魅了されたので、SUPER BEAVERの手拍子がある曲のライブ映像を再生。(YouTubeにライブ映像がなかったのでMVですが。)

自分でライブ映像を流したくせに、とある歌詞の部分でカラオケのスピーカーの威力とか友人と居酒屋で話した内容とかもろもろが合わさって目頭が熱くなってやばかったです。

【SUPER BEAVER/美しい日】
もしかして幸せは 訪れるものでも 待っているものでもなくて
今ここにあることに 気がつくものなんじゃないかな
誰かにとって「たかがそれくらい」の ありふれた歓びでも
嬉しいと思えたら 特別じゃない今日はもうきっと
美しい 美しい日なんだよなあ
特別は そうだ 普遍的な形をした 幸せだ

今日までの 道のりがさ 正しく最短だったのかって
わからないけど なんとなく これで良かったと思っている
僕は 人に生かされて 人と生きている
ああ いくつもの愛と生きている

 途中、「深夜の散歩しちゃうよね」という話で盛り上がり、深夜徘徊にぴったりなチルっぽい曲を何個も友人へオススメしてしまいました。若干俺が一方的に喋りすぎてた気がして申し訳なかったですが、すごく楽しかったです。
 それと、Creepy Nutsのライブ映像を見たかったのですが一つも機械に入ってなかったので、THE FIRST TAKEの2way nice guyを普通にスマホで見せちゃいました。
 僕もたくさん曲を教えてもらったのでちゃんと今日(2022.07.27)聴いています。今更すぎますが、藤井風さんめっちゃいいです。


ここ数年の中でずば抜けて充実していて濃くて、美しい日でした。


#297   偏る生活を歌舞いた

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