「ものかきさんにちょうせんじょう。」にチャレンジ

ならざきむつろさんの『ものかきさんにちょうせんじょう。』にものかきじゃないけどチャレンジしてみました。


「秋也、合った、合ったよ!」 
首に巻いた小型爆弾内蔵首輪のせいで額に汗を滴らせている私に、隣で手に持ったダイヤル鍵を間違えないように慎重に回していたはずの生き残りの典子が、突然元気良く声をかけてきた。 
「お?どれどれ――」 
私が典子の手元を覗き込むと、茶褐色の鍵の表面にうっすらと時計のような数字が見える。 
「お?、え?、時計?」 
「時計!――ってなあに?」 
不思議そうに私を見つめる颯に、私は笑う。 
「あいつらの言葉では脱走規制装置、だったかな」 
「脱走規制装置?!うそ?!やだ!」 
私の答えに、典子は胸に両拳を握りしめながら身震いした。勢いが良すぎてふらついている。 
「おいおい、転ぶなよ」 
「うん!私、みんなに言ってくる!」 
典子がそう言って駆け去っていくのを見送った私は、改めて首元の鍵を見つめる。
鍵に浮かんでいるのは、何かの制限時間のようだった。 
「さて、どうしたものか」 
私は一人呟くと、再び首に巻いた小型爆弾内蔵首輪のせいで額に汗を滴らせた。
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