#54 なぜだ!なぜおかしは食べるとなくなるのだ!!
無くなる事におびえていた。
失くす事におびえていたのかもしれない。
はじめは何も持っていなかった。
でもふと気が付くと、あれやこれやと背負って歩いていた。
何も持っていなかったから背負う事が出来たのだと思った。
持たざる者として生きていた僕が、ついに得た物だと思った。
今、背負うべきものがあるのだと考えていた。
それでも、少しずつ失いつつあった。
白髪が増えつつあり、僕の元を去る人達もいた。
手中にあった物を手放すのは、とても怖い。
とても怖いので、失わないように失