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おれっち1:METRONOME MELODY / PRISM aka SUSUMU YOKOTA

はじめましてのおれっちは、テクノではなく、

テクノアーティーストによるディープ・ハウスのアルバムをご紹介。

日本テクノの黎明期

80年代後半にシカゴ・デトロイト発~ヨーロッパ着で発火、爆発した、

ダンスミュージックとしてのテクノ。

もちろん日本にもその余波は静かだけれど、確かな熱を持って伝わり、

92,3年には日本テクノシーンもアンダーグラウンドながら、

黎明期を迎えつつありました。

そんな中、海外からのレコードリリースによって、

ケンイシイと共に、

逆輸入で発見された最初の才能、横田進

純然たるアシッドトランスサウンドのアルバムに、

オプティミスティックなトランス風味のアンビエントアルバム、

リリース当時のヨーロッパのテクノのトレンドに思い切り乗っかったデビュー作は、日本でもハードコアなクラバーや、アンダーグラウンドなテクノ愛好家から

「待ってました!」とばかりに歓迎されました。

当時は、テクノのレコードやCDを発表すること、

まして、海外からレコードをリリースするなんて、

ほんとうに夢のような話だったんです。

ただ同時期に注目され、電気グルーヴのリミックス(傑作!)

で、その知名度を決定的にしたケンイシイの快進撃に比べると、

バカ受けというほどではなく、

マニアックな人気、知る人ぞ知るアーティストだったと思います。

逆輸入で2つの大いなる才能が注目を集めたのと、ほぼ同時期。

石野卓球に見いだされた大阪のDJ田中フミヤが、

自身の主催するとれまレコードから93年に完全自主制作で、アナログ12インチ(これが国内最初のインディペンデントテクノの12インチではなく。92年に日本のテクノバンド04DDが自主制作で12インチ「Synthemesk 666」を発売している)をリリースしたのを皮切りに、

FROGMAN RECORD

TRIGGER RECORD(後のTRANSONIC RECORD)、

DUB RESTAURANT

SUBLIME RECORD

SYZIGY RECORDS

堰を切ったようにリリースを開始する日本のインディーズテクノレーベル。

「なにかが始まった!」っていう熱気に満ちた時代の始まり。

横田進の初期作品

そんな熱狂のさなか、本稿の主役である横田進は、

ピュアテクノを標榜していたSUBLIME RECORDSを中心に矢継ぎ早にシングル、アルバムを発表。

こちら↓は国内の人気レーベルFROGMAN RECORDよりYIN & YANG名義で発表した12インチ。

そして、日本のテクノシーンが最盛期(メジャーレーベルのSONYが本腰入れた)を迎えた95年に当時の本拠地SUBLIME RECORDSから、

PRISM名義で発表した

キャリアにおいて、もっとも優雅なディープ・ハウスアルバムを発表。

それが、こちら。

METRONOME MELODY / PRISM

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ハードなアシッドテクノ、ロマンティックなハウス、

ファンキーなブレイクビーツ、静謐なアンビエント、

縦横無尽にジャンル/レーベルをまたぎ、

多作家でもあった、横田進の作品群の中でも

トップレベルの評価を受ける紛れもない大傑作!

個人的にも横田進のアルバムで1枚選べと言われたら迷わずにこれにします。

まず、簡単にどんな音楽なのかを乱暴に紹介します。

ここ読むだけでもOKです。

「たおやかなメロディーと快活なリズムが、日常で活きるハウスミュージック。

激しく踊り狂うっていうよりは、心地よく体を揺らすのに最適。

家事の合間にも、夜中一人でぼーっとしている時にもストレスなく聴けて、抜群に気持ち良いです。」

以下蛇足。

過剰な装飾とは無縁の素朴な音世界。

上品でメロディアスな大人向けディープ・ハウスアルバム。

一聴するとシンプルな4つ打ちがメインですが、

さり気なく凝ったドラムのパターン、

小気味よく刻まれるシンセのフレーズもあいまって

リズムは多彩。

軽く肩を揺らせてくれる程よい強さのグルーヴには、

聴き飽きることのない、奥深さがあります。


霞がかったようなシンセの音色が奏でる、

浮世離れした夢心地のメロディーは、

若干の厭世感すら漂わせていて、

味方も、ましてや敵もいない、
他者が存在しない世界で遊ぶ、
清々しい孤独を感じちゃう。

このアルバムで聴ける

シンプルなアンサンブルと、無垢なメロディーは、

デトロイト・テクノにインスパイアされたとの評もあったりしますが、

俺っちは、

どちらかというとAPHEX TWINの「SELECTED AMBIENT WORKS 85-92」の牧歌的な感性に近いものを感じます。

オリジナルのCDは廃盤になっていますが、

2017年に追悼盤としてリイシューされた2枚組リマスター版が現在は手に入れやすいです。

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こちら未発表曲を含むボーナスディスク付き。

500枚限定のリリースらしいので、もし見つけたらぜひ!

また発売当時はCDのみのリリースでしたが、

アルバムから抜粋する形で2枚組アナログ盤も同時にリイシューされています。


おまけ

あ、最後に俺っちのこしらえたテクノも置いておくので、暇なら聴いてね。93,4年位のテクノを目指しました、へへへ。




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