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男爵について

Twitterでもお知らせ通り、男爵が旅立ちました。
あまりにも早くあまりにも潔いさいごでした。

最期の握手

体調を崩して2日半、あっという間に駆け抜けてしまいました。
体調を崩すその日までは私の前で全くその兆候を見せてくれず、前日までごはんももりもり食べて、うんちもしっかりして。

本当にその日まで、吐くことも、ぐったりすることもなく、
私の前では普段通りで。

今でも男爵と出会った日を思い出します。
川から流れてきた箱に入ってた猫が6匹。

助かったのは男爵を含めて3匹。

2匹は真っ白で目も真ん丸で顔も声も可愛かったけど、
男爵だけはジト目で黒っぽくてダミ声で最後まで飼手が現れなかった。
そんな時に「うちに来るか?」っと聞くとその言葉がわかったかのように私の腕の中で丸くなって離れてくれませんでした。

ジト目。目つきのせいでまったく飼手がいなかった。

そこから13年半。
いろんなことを一緒に経験して、
試される大地から
じっとりと梅雨の時期が濃い関東までずっと一緒に引っ越して。

13年半もずっと一緒だったのに
彼は私を選んでくれたのに

私は彼の症状に気付いてあげられなかった。

検査の数値的にそんな元気があるはずもないのに
病院でもずっと鳴いていて入院で置いていかれるとわかった時には
怒って私に手を伸ばしてきました。

後ろ髪をひかれる思いでよくなってほしくて預けて。

次の日に面会に行くと…
彼は怒っていたのでしょう、こっちを見ることもせず。

でもまた次の日に行くと、
寝転がっていた彼は私を見て手を伸ばしてきました。
目が合うと目を細めて名前を呼ぶと「にゃん」と小さく鳴いて。

「明日迎えに来るからね。頑張るんだよ、一緒に帰るよ」って。

男爵の目元をガーゼできれいにして、手を握って、
頭を何度も何度もなでて。

そうして…その半日後に彼は私のお迎えの前に旅立っていきました。

監視モニターに最後に写っていた彼は
最後におしっこをして、
ゆっくり毛づくろいをして…

そして横になりそのまま静かに旅立っていきました。

毛づくろいをしていたせいか死臭が一切なくて
本当に寝ているかのように目をつむっていました。

退院のその日に行ってしまうなんて

そうまでして私に会いたくなかったのか

そうまでして私に弱みを見せたくなかったのか

どうして手を伸ばしてきたときに家に連れて帰らなかったのか

そもそももっと早く気付いてあげられなかったのか

後悔ばかりが残っていて男爵にはずっと詫びるしかできません。

ふがいない相棒で本当に申し訳なかった。
男爵、本当にすまない。本当に申し訳ない。

今でもPCに向かう私の横でじっと私を見ている姿が、
キャットタワーの頂上から外を見ている姿が、
トイレについてきて隙間から私を監視している目が
甘えて目を細める表情が
玄関で私の帰りを待つ姿が
寝るときにケツを押し付けてきてぐるぐるいう声が鮮明に思いだされます。

いつか許してくれたらまた会いに来てほしい。
どうかその時まで天国で遊んで回ってください。

そしてたくさんのお心遣いのコメントをありがとうございます。
今はまだ時間がかかると思うけれどゆっくり気持ちはマイルドになっていくと思うから心配なさらないでくださいね。

そして男爵を愛してくださったみなさま、本当にありがとうございました。

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