ノートに描いた落書きから思いついた異形頭の創作

前置き

この記事は、異形頭オンリーAdventCallendar 2023 19日目の記事です。


突然に創作を始めようと思った日

 時は2020年の9月、僕はそれまでに「ハッピーツリーフレンズ」や「ザ・ペンギンズfromマダガスカル」といった、いわゆるカートゥーン系アニメを中心とした版権にハマっていることが多く、創作という文化そのもの自体は、自分から生み出すことはほぼないものの、他の方の世界観に触れることが多かったです。

 それこそ、ケモノ系のBLや、オリ棒がわちゃわちゃするような作品の創作に触れ、ドハマリするといった過去もありました。

 御託はさておき、その9月のある日、僕はふとノートのページにでかでかと落書きを描きました。

ヒナ(17)
ニジュ(20)

 な、なんだこのアナログ2枚は!!!
 というわけで、突然に描いたのが、本当に唐突に描いたのがこの異形頭の2人だったというわけです。

 その当時、僕はよく考えずただ絵を描きたいそしてあわよくば僕も絵が描けるんだぞということをしらしめたかったという思いでこの2人を生み出しました。
深く考えずに生み出したこのキャラクターですが、この2枚をツイートしたある日、とある知り合いから連絡が来ました。

「そのキャラクターいいね!!描いてもいい!?」

 良くも悪くも、おそらく全てのきっかけは、この一言からだったと思います。

 詳細を決めてなかった僕は、知り合いがこんなにも興味を持ってくれてることに驚いてしまい、その圧に負けるように2人の詳細を詰めることにしました。

 おぼろげに20歳と17歳の男性ということを決めていた僕は、ここで、
 「実年齢が頭と連動する創作って面白いんじゃないか!?」
とひらめきました。
生まれた時には頭が0、歳をとるにつれて1→2→3…と増えていくって面白いかも!そう確信したんです。

実際に考えてみよう

 ということでさっそく数字の0~9を使ってある程度の数字異形頭を考えようと思い、ちょっとした言葉遊びや性癖も交えつつ考えてみました!
それがこちらになります。

左から、5、9、17、20、36、48

 よーく見てほしいんですが、実は0~9の文字を1つもかぶらせることなく六人のキャラクターを成り立たせています。
また、それに付随して自分が妄想しやすいしたいという理由で、年下から年上までを揃えたくて、このような年齢設定の上で様々な数字異形頭さんを考えました。
(※0~9を満遍なく使いたかった理由として、被らせてしまうと、その数字を見た時に二人の数字異形頭さんを思い浮かべてしまうため、感情移入に差が生じてしまう、ということを懸念したからです)

 もちろん実年齢が頭部と連動する特性なので、5は五歳ですし、36は36歳です。
つまり親子ほどに離れた年上年下の絡みや先輩後輩のような年齢差のBL妄想ができるってこと!?
ペドフィリア欲を満たす幼い年齢同士のイチャコラを個人的に妄想できるってこと!?
思春期の年齢の子×親のような存在の人でなにかいかがわしいことを妄想できるってこと!?

というのはめちゃくちゃ極端な話ではあるものの、実際そうで、僕はそういう妄想を個人的にしたいがために彼らを生み出しました。

創作の上で必然と生まれる矛盾

 ここで様々な矛盾や問題が生じます。
創作に矛盾も問題も関係ねぇ!!好きにさせろ!!という意見もあるとは思います。

 これは自分が自分の創作を考えるうえでとても大切にしていることなのですが、僕は一人一人の個や繋がりを大事にしたいと考えています。現実には存在しないとわかってはいるものの、彼らは実際に生きていると僕は強く信じています。それまでに生きてきた人生や経験があり、それを踏まえた上でこれからの人生を歩み、選択し、過ごしていく、という風に考えています。
 とにかく感情移入ができないと楽しくありません。俺TUEEEEEEE!!!!!!な設定もいいのですが、それは誰かの創作で見たり聞いたりして楽しむのが一番良いです。僕が僕の創作を作り上げる上では、なるべく整合性が取れたまま、欠点を抱えたキャラクターを、その欠点さえも愛おしく感じてしまうような形で愛でたいです。

 話を戻して、矛盾というのは端的に申し上げると

  • 六人の関係性とは

  • 女性がいないのになぜ子供がいるのか

  • そもそも六人は同じ屋根の下で暮らしているのか

  • 収入はどうしているのか

  • 仕事や学校はどうするのか

  • そもそも彼ら以外に数字異形頭さんはいるのか

などが挙げられます。

 そんなの、ちびまる子ちゃんのお父さんのひろしが作中だと何の職業に就いてるかわからないから、ええやん!みたいな理論でゴリ押せば別に好き勝手しても構わないと思いますが、僕が満足しないので、僕が満足いく設定を考えました。

整合性の取り方

六人の関係性とは

 六人"を"絡ませたい、交流させたい、あわよくば一緒の家で暮らしてほしい。
けど、年齢的なことを考えるとシェアハウスをしているとは考えにくい。
非常に悩ましいところではありましたが、ここで一つ強引に六人を一箇所に集めるきっかけを思いつきました。

『事情があって家族や身内がいない、または家庭に帰れない事情があるため帰れない』

ありきたりではあるが物語を構成させる魔法の言葉ですね。

5(ゴウ)→シバの実の息子
9(キュウ)→孤児だった
17(ヒナ)→家族と喧嘩して家出
20(ニジュ)→家出してきたヒナと出会い、自宅のアパートで暮らしていたが、この不思議な家族らと出会い、ヒナのためを思って引っ越しを決意
36(サム)→キュウと同じ孤児だった、育て親がいたものの病死したため、唯一の身寄りであったシバと再会して一緒に暮らすことを決める
48(シバ)→詳細は不明だが一軒家で一人暮らしをしている

 ゾクゾクしてきた…こういう設定を考えながら、その人物が一体これまでどんな経験をして、どんな出会いをして、どんな思いを抱えているのか、それを妄想するのがめちゃくちゃ楽しい!

女性がいないのになぜ子供がいるのか

 難しいところですよね、男性妊娠が可能な世界観とかにすればいい話なんですが、如何せん僕は、誰かの創作や二次創作で見る分には大好きなものの、自身の創作の根底として設定するには扱いづらいと感じてしまう部分があり、避けました。(でも創作の二次創作としてそういう話を考えることはめちゃくちゃあり)

 前述したとおり、キュウは孤児で、シバが引き取った。(というよりたまたま出会っただけだったが、身寄りがない家族もいないなどの理由で引き取る形となった)
ゴウは、詳細は省きますがシバの実の息子という形で落ち着きました。

そもそも六人は同じ屋根の下で暮らしているのか

 これは僕のエゴですが、どうしても同じ屋根の下で暮らしてほしかったです。でも普通に考えて男六人が一つ屋根の下で暮らすって、漫画家のたまごさんたちが広めのお家の部屋を共有して使ってるとかそういうイメージになっちゃうんですが、この創作はそういう世界観ではないので、前述のとおり様々な事情を抱えて集まったという形にしました。

 もちろん両親がいない人物もいれば、両親がいる人物もいます。
ヒナの場合は家出、ニジュの場合は、年齢的に大学生だろうということで親元から離れて一人暮らしを始めたという感じになりました。

収入はどうしているのか

 はい!はいはいはい!!!
最大の壁ですね、僕もここが一番悩みどころでした。
収入ということは、つまりそれに関わる仕事や働きをしているということ。またはそれに近い収入源があるということ。

 しかし宝くじを当てたからとなると、物語性が出しにくく拡張性もなく面白味もない。
ギャンブルをして稼いでるとなると、ものにもよるが、その人物に欠点を見出しにくくなる可能性があり、かといってギャンブルに負ける場合もあるとなると、イメージ的に変な偏見がついてしまいそうで、凄腕のギャンブラーもそこそこのギャンブラーでも個人的にイメージが難しくなる。

 そもそもの話、この物語のメインの一人となりうるシバは隠居生活を送っているという風にしたいんですよね!隠居をしていて、でも生活するお金はあって………


あっ!


 元殺し屋…?元アサシン…!?
思いついてしまいました、過去に暗殺組織に関わっていた人物で、今は引退して貯めに貯めた報酬を切り崩しながら生活している。それなら職についてなくても構わないし、優秀=報酬も多かったとすればそれだけで過去のしがらみや隠したい出来事などで物語性も生まれるし、なにより普通の暮らしをしてこれなかった故のすれ違いや不慣れなことなどもできるのでは?と、そう考えました。

 年齢的にも立場的にも、シバがその役割を担えばいいのでは?
サムは、シバのいわゆる後輩的な相棒的な立場の人物で、同じ組織に属していたのでは?
と、次々にビジョンが浮かび、彼らの個性や特徴や性格が肉付けされていきました。もうこの時点でめちゃくちゃ楽しい。

 隠居に関しても、過去の依頼でお世話になった人のツテで家を提供してもらった。という風にすればいいだろうと考えました。

仕事や学校はどうするのか

 キュウは学校に通っていません。
年齢的に9歳の彼は、学校に通っていれば小学三年~四年生ではあるものの、現状通っていません。これに関しては、今もすごく悩んでいるところです。
 ヒナは学校に通っていました。
年齢的に17歳の彼は、一応ですが学校に通っていました。現在は家出の関係で無断欠席が続いているというような感じで落ち着いています。

「そしたら家族が心配しない?捜索願いとか出されない?」

 過保護な実兄がいて、母親と父親がいて、という四人家族構成なんですが、そんな家族を離れ家出をしたヒナを匿ったのがニジュです。
そのニジュも大学に通学していましたが、人間関係のもつれにより気を病んでいたところを、思わぬ形でヒナと出会い、ニジュは休学を決意。
と同時にヒナの家族に説得をするべく、自ら行動に出ました。

(長くは続かないと思いつつも、ヒナを守りたい、というより依存したいという気持ちが表れてるといいなと思い、強引ではあるもののそのような顛末にしました)

 サム、シバは前述のとおり暗殺組織を辞め、有り余る貯金を切り崩しながら暮らしています。が、シバは時折、町に出てはボランティア活動をしたりしています。サムはよほどのことがない限りずっと自室にこもっていることが多いです(人と関わること自体あまり好きではないため)

そもそも彼ら以外に数字異形頭さんはいるのか

 はい!います!
といっても、現状考えているのは、ヒナの家族、ニジュの家族ぐらいで、メイン六人の彼ら以外に存在する数字の異形頭さんは、考えてはいません。

 ただ、数字異形頭ではない異形頭さんや、人間さんや、丸顔人外さんを複数考えました。

左から、セラトカ(21)、白井(29)、アオヤ(21)
左から、ノープス(?)、クロノス(15)、ルイン(?)
左から、シュレッダー(不明)、プリンタ(高校生ぐらい)、コピー(不明)
※デザインは、両端の子を知り合いに考えてもらいました
左から、オンライン(20)、トリコミ(25)、オフライン(20)、タイセキ(19)
左から、アイサイト(視覚)、タッチ(触覚)、スメル(嗅覚)、テイスト(味覚)、ヒヤリング(聴覚)
(全員年齢不詳)
プロポリス(18)
アマロ(不明)

 えっ!!人間さんが一人しかいない!!
 現状絵に起こしてる人間さんは、クロノスくんともう一人いるのですが、頭の中にイメージや設定がもやもやとあるだけで、まだ絵に起こせてません…でも人間さんや異形頭さん、人外さんが共存している世界観です。

 大雑把に絵を紹介しましたが、彼ら彼女らもまたそれぞれ個性や特徴があり、そんな彼ら彼女らが、数字異形頭さん六人と関りを持ったり何かしらの形で交流を持ったりなどしていきます。そんな創作です。

この創作の最大の特徴

 ここで皆さんに問います。
仮に皆さんが元暗殺組織の一員だったとしましょう、そんな皆さんが暗殺組織を辞める場合、果たして円滑に辞めることはできるでしょうか?もしくは、引退することはできるでしょうか?

 さらに問います。
そんな皆さんが息子や家族に近い人物と共に暮らしていたとします。
 「自分は元アサシンでした、今は隠居してます」
そう打ち明けられるでしょうか?

 さらにさらに問います。
家出をした理由、孤児になった理由、大学に行ってない理由、母親がいない理由、わざわざ古い付き合いの知り合いと共に暮らす理由、それを直接聞くことができますか?また、それに対する解答を答えられるでしょうか?

 僕がこの創作を考える上で、ただイチャコラの妄想をすることだけを重視しているわけではありません。
この創作を構成する最大の特徴、それは、

―― 誰しも隠しておきたい秘密の一つや二つある

ということです。

 僕は、この数字異形頭さんのことを「難波さん一家」と呼称しています。
数字→Number→ナンバー→難波という言葉遊びのような感じで名付けましたが、そんな難波一家の彼ら六人は、血縁関係がありません。

 え?でもゴウはシバの実の息子だって説明が……

血縁関係がありません。

 また、ヒナは家出をしたとなっていますが、なぜそこに無関係のニジュという存在が、わざわざ休学してまでヒナを匿ったのか。そこまでする義理はあるのか?というところも不思議に感じますね。

 誰だって言いたくない秘密や抱えておきたいことの一つや二つあるものです。それを聞かれたところで当たり障りのない答えが返ってくると薄々分かるものでしょう。そんな彼らが家族としての体裁を保つために、超えてはいけないラインというのを各々自覚していて、それを超えないような生活をする。

 血のつながりはない、家族のようだけど家族じゃない。
けれどそれ以上の大切なものがある、強い繋がりがある。
彼らが本当の家族になる日は来るのか…?はたまた、全員の本当の姿を知ってしまった時、家族ではなくなってしまうのか…?

 彼らを取り巻く運命や、それによって出会う人たちによって、変わりゆく家族としての形、露になっていく自分の知らない家族の本当の姿を、この創作で描いていきたいと思っています。

最後に

  • 自分の好きな設定を詰め込もうね!!

  • インフレさせるの最高だからどんどんさせようね!!

  • 自分がかっこいいと感じるものはみんな好きだからどんどん詰め込もうね!

  • ありがちな設定やデザインほど自分自身が好きになれるよ!いっぱい詰め込もうね!

  • 妄想のしがいがあるから、たくさんの人物を考えようね!!絡ませるのが楽しくなるよ!

みなさんもぜひ、素敵な創作ライフを!

 ――リプトン

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