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【MTT】SBのlimp potのプレイ

こんにちは。
Lioです。

今回はGTO Wizard Blogの一記事を参考にしてMTTにおけるSB Limp Potの戦略について記述したいと思います。

ほとんどの部分がBlogの翻訳になりますが、ところどころ解釈を加えてあるので、少しではありますが内容は理解しやすくなっているのではと思います。

(以下本文)

MTT(Multi-Table Tournaments)におけるSBとBBの対決は、ノーリミットプレイヤーを非常に複雑な状況に追い込み、高いSPR (Stack to Pot Ratio) で弱い手をプレイすることを余儀なくさせます。この不慣れな領域では直感は、ハンドの価値を評価したり、どのプレイヤーがアグレッションを取るかを考えたりするためにほとんど役に立ちません。この記事では、リンプポットにおけるSBのフロップ戦略に焦点を当て、どのフロップがベットに適しているか、どのハンドがベットに適しているか、さらにはさまざまなスタックの深さでどのベットサイズを使うべきかについて検討します。


SBのフロップのベットサイズはどれくらいであるべきか?


ベットサイズの問題は最も簡単です。すべてのスタックの深さで、SBの均衡戦略はほぼ常にチェックと小さなベットの間で選択されます。小さなベットはよりリニアなベット戦略を可能にし、両プレイヤーが広くて弱いレンジを持っている場合に重要です。SBのレンジ内のほとんどのハンドは、BBの多くのゴミハンドに対してフォールドエクイティを得ることができ、広いコールレンジに対してエクイティを保持することができます。

あらゆるスタックで、リンプポットではSBの均衡戦略は常にチェックと小さいサイズ(10~33%)のベットで構成される

スタック別のSBリンプ頻度とフロップのベットサイズ頻度
スタック別のリンプポットにおけるSBフロップCB頻度とサイズ


SBは、ほとんどのフロップにおいて適度なエクイティとナッツアドバンテージでポジションの不利を補います。リンプポットでは、両プレイヤーがプリフロップでポットを大きくすることを選択しませんでしたが、SBのリンプはBBのチェックよりも強力であるはずです。SBはリンプリレイズをするためにトラップとして一部の強いハンドをリンプするためです。プリフロップでチェックするBBは、非常にショートスタックである場合を除いて、強いハンドをチェックする動機がありません。

上の表が示すように、SB のベット頻度はエクイティアドバンテージと相関しています。BBのチェックレンジに比べてリンプレンジが強いほど、フロップでベットする頻度が高くなります。

非常に浅いスタックである場合において、リンプポットにおけるSBのエクイティアドバンテージは、低いSPRではBBは強いハンドをよりレイズする (チェックレンジが自ずと弱くなる) ことによるものです。そのような場合には、SBはトラップとしてリンプすることが魅力的であり、BBは強いハンドをチェックする可能性が低くなることで25BB~40BBの時に享受するよりもやや大きいエクイティアドバンテージを得ます。

より深いスタックでも、SBには再びトラップのためのリンプをする動機が多強くなります。ディープスタックでは、シングルレイズポットで強いハンドをOOPでプレイするより、リンプリレイズが魅力的です。BBは強いハンドをレイズする動機が多く、これらのハンドは高いSPRのリンプポットでその価値の大部分を失うリスクがあるためです。したがって、SBがより広いリンプレンジを持っているにもかかわらず、それはより浅いスタックサイズでのSBリンプレンジよりも弱くありません。

Avg.100BBのSBリンプレンジ
Avg.80BBのSBリンプレンジ
Avg.50BBのSBリンプレンジ

深いスタック(100~200BB)と非常に浅いスタック(10BB前後)では強いハンドをトラップとしてリンプするインセンティブが大きい


どのようなフロップでSBがベットすべきか?


目標は、フロップのテクスチャからベット頻度を予測する能力を磨くことであり、特定のサブセットのフロップの頻度を覚えることではありません。

リンプポットにおけるSBのフロップベット頻度を決定する3つの要因

  1. エクイティアドバンテージの程度:リンプポットにおいてはSBがより強力なプリフロップレンジを持っています。フロップがSBに有利であるほど、SBのベット頻度は高くなります

  2. ナッツアドバンテージの程度:SBのリンプレンジには、BBがチェックするよりも多くの強いハンド(ブロードウェイ、ハイポケット)が含まれています。ワンペア、オーバーペアがうまく機能するフロップでは、SBのベット頻度が高くなります。

  3. ポジショナルディスアドバンテージの程度:OOPであることは常に不利ですが、よりダイナミックなボード(ウェットなボード)ほど不利になります。BBに有利なボードであるほど、SBがフロップCBでフォールドエクイティを得ることが難しくなり、SBのベット頻度は低くなります。

リンプポットにおいてSBは、BBのフォールドエクイティを得る目的でハイカード(A,K,Q,J,T)があるボードとドライなボード(ex:AJ6r)でのCB頻度が高い


SBはどのようなハンドでベットすべきか?


非常に広いレンジでのアドバンテージを考えると、ベットによるミスはそれほど大きいものではありません。

SBのチェックは、ゴミハンドではなく、25~50%のエクイティがあるハンドで行うべきです。広いレンジにおいては、KハイやQハイは価値のあるハンドとして扱われます。これらのハンドのほとんどは、バックドアのドローがある場合はチェックしてBBのフロップベットにコールできるほど十分なエクイティを持っています。

リンプポットのような広いレンジにおいてはペアになっていないカードのランクがかなり重要となります。

これらのペアになっていないカードのランクを評価することは、リンプポットをプレイする上で最も難しい部分です。多くのプレイヤーはフロップでペアになっていない場合はブラフに変えるかフォールドしかできないと思い込みますが、両プレイヤーはかなり広いレンジでプレイしているため、高頻度のベットに対してはペアになっていないカードのランクが非常に重要です。

より低いカードのより協調したフロップでは、SBはベットを選択するのにより慎重にならなければいけません。
以下は60BBでの762tt(two tone)の戦略です。

60BB efのリンプポット 762ttにおけるSBの戦略


このフロップでは25-50%のエクイティを持つハンドが多くあります。SBには純粋なベットがありませんが、多くの強力なベストハンド(ミドルペア以上または強力なドロー)を持っています。A♥ 3♥やK♣ 5♣のような強力なハンドも純粋なチェックです。これらのハンドはBBの小さなベットにもフォールドします。

これらのハンドはベットするのに必要なエクイティがないというわけではありません。A♥ 3♥はフロップでほぼ45%のエクイティを持ち、BBのポット33%のベットに対して約40%のエクイティを保持します。重要なのはエクイティリアリゼーションです。エースハイはショーダウンに向かうのは難しいハンドになります。IPのBBは多くのハンドでうまくブラフやバリューベットを仕掛けることができるためです。

A♥ 3♥が発展するカードが落ちた時、それはもれなくプレイするのが難しいマージナルなハンドになります。ターンで3が落ちたとき、A♥ 3♥はサードペアですが、BBが保持する多くのドローが発展していますし、Aが落ちた時も1/3の確率でフラッシュが完成するダイヤです。脆弱性のあるドローは相手の持つ強力なドローに対して効力を持ち得ません。

有利なエクイティを持っているということはベットしない理由になります。

これに関しては一般的に誤解されています。多くのプレイヤーは、A♥ 3♥のようなハンドが有利ではあるがフリーカードやブラフの両方に対して脆弱であるとして、フロップでベットするべきだと考えています。実際、有利な状態であることがベットしない理由です。SBは、フォールドエクイティからより利益を得る弱いハンドでブラフする方が良く、またコールされた場合に改善の可能性がより高いハンドを持っていることがより良い状態だと言えます。たとえA♥ 3♥や同様のハンドがフロップベットに直面した場合にフォールドすることがあります。均衡ではBBは半分以上の確率でチェックバックし、その場合、これらのハンドはそのエクイティを保持します。

60BB ef リンプポットにおけるBBのベットに対するSBの戦略
A♥ 3♥はピュアフォールド

フォールドエクイティにより利益の多くを得るゴミハンドと発展性の高いハンドで積極的にベットし、エクイティが高いが発展性の低いハンドは広くチェックする

一般的なエクスプロイト


多くの人間がソルバーよりも頻繁にベットする特定のタイプのハンドがわかっていますが、これらのベットは必ずしも間違いではありません。ブラインド対ブラインドのプレイは非常にトリッキーであるため、対戦相手が大きなミスを犯して、このベットが利益を生む可能性も非常に高いです。

たとえば、すべての深さのスタックで、BB の均衡戦略にはSBリンプに対するポラーレイズレンジが含まれ、72o やT4o などのハンドは非常に積極的にレイズします。しかし、人間のプレイヤーの多くは、BB からよりリニアなレンジでレイズし、多くのゴミハンドをチェックして「良い」ハンドだけでポットを大きくすることを好みます。この結果、チェックレンジが非常に弱くなり、リンプポット内の SB のエクイティアドバンテージがはるかに大きくなり、均衡に比べて SB のフロップベットの価値が大きくなります。

多くのプレイヤーはBBでフロップのベットに対して弱い、またはノーペアのハンドの価値を過小評価し、フォールドが多くなりレイズが少なくなることがあります。これも同様にSBベットの価値を大きくし、均衡戦略ではベットしないハンドもベットすることにより利益を得ることができるようになります。


フロップ以降のストリートについて


さまざまなターンやリバーにおいて一般的な傾向を示すのは難しいですが、これらのスポットはリンプポットは馴染みのないものではありません。フロップ戦略を考察する時の原則は、アウトオブポジションからのコンティニュエーションベットと類似しており、ターンとリバーのプレイも同様の原則で成り立っています。

特に以下2つの原則が重要です:

  1. フロップがチェックスルーされた場合、フロップで有利なプレイヤーは通常そのアドバンテージを維持します。762ttのような不利なフロップの場合、SBはブラフにより利益を得ることは難しいです。ゴミハンドは、以前のストリートでのアクションがなくてもターンとリバーでブラフを積極的にブラフをするべきではありません。逆にAJ6rのような有利なボードの場合、BBがチェックバックした場合はSBはターンでゴミハンドをブラフするべきです。つまり、フロップやターンでブラフをしていないゴミハンドがリバーでブラフにより利益を生むということです。それらのブラフは、BBのベストハンドをフォールドさせる必要はなく、BBの持つゴミハンドのフォールドエクイティを獲得することが目的です。

  2. SBが高頻度でフロップベットする場合、ほとんどのターンではベット頻度が低くなり、よりポラーなレンジを持つことになるはずです。SBはエクイティアドバンテージを1回しか「キャッシュイン」できません。フロップベットは多くのフォールドを獲得しますが、BBがコールした場合、BBはより強力なレンジを持っていることになります。ターンによりそのボードテクスチャが大幅に変わらない限り、SBは以降のストリートでより選択的になる必要があります。


まとめ

  • SBはフロップにおいてハイカードの含まれるドライなボードで高頻度小ベットし、発展性の低い25%~50%のエクイティがあるハンドでチェックする

  • BBのベットに対しては、ランクの高いカードが含まれるバックドアドローのあるハンドでコールまたはレイズする

  • 均衡よりレンジの弱い相手に対してはベット頻度およびレイズ頻度を上げる

  • フロップで高頻度でベットする相手に対してはレイズ頻度を上げる

幸いなことに、これらのことは相手にとって非常にトリッキーな場面になるでしょう。自分自身のプレイが相手を上回るほど完璧である必要はありませんが、実際は相手のミスが自身の利益につながる可能性が高いです。

ブラインド対ブラインドの対決を有利にするためには、ポーカー戦略の基本を理解して適用する必要があります。プレーヤー間および各プレーヤーのレンジ全体にエクイティがどのように分配されるか、ポットを大きくするかエクイティを拒否することで特定のハンドがどの程度利益を得るかなどです。IPレイザーとBBコーラーのSRPポットにおける戦略をもとにした直感に頼ってブラインド対ブラインドの対決を行うことは、ソルバーが導く混合戦略をすべて暗記するのと同じくらい実用的ではありません。

(出典:GTO Wizard Blog "Playing Limped Pots as the SB in MTTs" )


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