iTunesから流れるブリッツグリーグバッブは死んだ音なのかい?違うと思う。アナログスピーカーで鳴っても、スマートフォンで再生されても、ラモーンズの魂はそこにあるよ 何故なら、人間の感覚には補完・補正能力があるから。
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どうしてこんなことをしてるの?と聞かれると、、、上手く説明できないんだけど、うーん、理屈じゃなくて、初めて見た時にびっくりしたんだよ。とにかく。
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ある日さ、いつもみたいに廃品とかゴミの山を漁ってた。そしたら、ボロッボロの汚い謎の本が出てきて、それをめくったときに食らったんだよね。なにこれって。
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前の時代のやつらって文字書くじゃん、紙とか皮膚とか、なんかそれに痺れたんだよね。
だって、そんな物理的堅牢度の信頼性の低いものになんでわざわざ手書きするのか、わからないよ。なんでそこにこだわってるのか謎だし、ほとんど狂信的にやってるんだけど、でもね、それがさ、だんだん見てるうちにわかってきた。
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これは今から約1000年後、3020年のジャンク屋のガキの声だ。
彼らと全く価値観の違う時代に書かれたものに驚き、徐々にシンクロナイズしていった彼らの言う「わかってきた」ことってなんだろう。
それは僕に走る由もない。
ただ、ひとつ僕の今の感覚でいうことがあるなら、たとえば、
iTunesから流れる不良達のアンセム、「ブリッツグリーグバッブ」は死んだ音なのかい?と言われると、違うと思う。アナログスピーカーで鳴っても、スマートフォンで再生されても、ラモーンズの魂はそこにあるよ。
何故なら、人間の感覚には補完・補正能力があるから。感知したものに足りない部分を補うことができる。紙も身体もその寿命の多少の長短はあるにせよ、はかなく、やがては失われるものだ。
その少しだけの遅延の中に託し、去り、それが失われるまでの間に、居合わせた人がそれを読み取る。
直接的に書かれたブツを間接的に受け取り何かを感じ考える。そしてそいつもやがてはいなくなる間にまた何かを書き残す。
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最近は自分の書いていることの半分以上は自分が書いたものではないような気がしている。
精一杯この身体をその過ぎゆくものが停まる場とせしめようとしているのではないかという気さえする。