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306号室

時間と共に変化し続ける日本、東京、銀座の街。
時間が止まったように変化しない306号室。

この東京とは違う時間の概念を持った306号室はまるで異邦の地のように感じる。
温度や嗅覚といった五感すら違う。

それはその部屋のみで成立する演劇でもあり、実際に流れる時間が同じでも、社会とは乖離した演劇的な時間概念がそこにはある。演劇の部屋。

社会の時間と乖離した演劇の部屋は人間の脳みそに似ていて、作品展示における306号室とホワイトキューブの差はそこにある。
306号室に設置された事物はすべて306号室という演劇に組み込まれるように、融合するようになる。
視覚可能な脳みその中にさらに自身の脳みその実体化である作品が追加され、脳内空間が完成する。主観的ではあるけれど。
脳みそは真っ白じゃないから。

306号室にいる人間、来る人間は社会という退屈な演劇に疲れ、逃れた人間だと思う。
私もその難民のうちの一人。

2024.6.28
"306project"より

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