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武豊騎手とダービー馬6頭 その軌跡

第89回 日本ダービー開催!

末脚爆発! 皐月のリベンジ ドウデュース

2022年5月29日。
大観衆に見守られながら、最高の良馬場で開催された。
『最も運の良い馬が勝つ』と言われているダービー。
内有利と言われている中、ダノンベルーガ、イクイノックス、ドウデュース、ジオグリフといった皐月賞で鎬を削りあった有力馬は全て外へ。

結果としてはドウデュースの末脚が爆発し、レコードで1着。
その勝ちタイムは2分21秒9であった。
尚、4着までは全てレコード更新タイムとのこと。
今回の日本ダービーがいかにハイレベルだったか、窺い知れる。


日本ダービー 全着順

1着 ドウデュース 武豊
2着 イクイノックス C.ルメール
3着 アスクビクターモア 田辺
4着 ダノンベルーガ 川田
5着 プラダリア 池添
6着 キラーアビリティ 横山武
7着 ジオグリフ 福永
8着 オニャンコポン 菅原
9着 ジャスティンパレス M.デムーロ
10着 ビーアストニッシド 和田
11着 セイウンハーデス 幸
12着 アスクワイルドモア 岩田望
13着 マテンロウレオ 横山和
14着 ロードレゼル D.レーン
15着 デシエルト 岩田康
16着 ジャスティンロック 松山
17着 マテンロウオリオン 横山典
18着 ピースオブエイト 藤岡


武豊という男

本日の勝利で武豊騎手は日本ダービーで6勝目を挙げた。
これは最年長クラシック制覇記録(アンカツさんの51歳)を更新したと同時に、最年長のダービージョッキーとなった。

よく飛ぶウマ娘おじさん 某有名ゲームのCMに出る武豊騎手

競馬をやらない人でも武豊という名前は聞いたことがあるだろう。
人気、実力ともに(一時低迷期はあったが)国内トップ騎手である。
それを若手時代から現在まで守り続けてきている、まさに天才である。


武豊騎手を支え、導いた名馬たち

『名馬に乗せてもらい』『重賞(それもG1)に勝つ』ということは騎手にとって並大抵のことではない。
しかし武豊騎手と名馬とのコンビはあまりに多い。
それだけ彼の人望が厚く、馬を任せてもよいと思われているということの裏付けであろう。
下記に一部を紹介する(G1・武豊との勝鞍に限る)

・スーパークリーク
(勝鞍)’88菊花賞、’89秋天、’90春天
武豊に初G1勝利を与えたステイヤー。

・イナリワン
(勝鞍)’89春天、宝塚
大井から来た勝負根性丸出しの江戸っ子。かなりの気性難。

・オグリキャップ
(勝鞍)’90安田、有馬
笠松から中央へ。競馬ブームを巻き起こした。
武豊騎手、平成三強に全て乗っているのやばいな…。

・ウオッカ
(勝鞍)’08秋天、’09VM、安田
牝馬でダービーを制覇した女王。
VM→安田の鬼畜ローテをこなすヤベーやつ。実は牡馬(嘘)

・キタサンブラック
(勝鞍)’16春天、JC、’17大阪杯、春天、秋天、有馬
最も好きな馬。最も稼がせてもらった馬。ありがとう。

といった具合に、まぁ多い。多すぎる。


武豊騎手 ダービー6勝の軌跡

前述の通り、本日のダービー勝利により武豊騎手は最年長のダービージョッキーとなった。
その6勝は下記の通りである。

1998年 スペシャルウィーク

武豊にとっては10回目のダービー。
スペシャルウィークにとっては最初で最後のダービー。
そんなスペシャルウィークは、武豊を初めてダービー男にさせた馬である。
当日は中団につけ、タイミングを伺っていた。
直線でセイウンスカイが抜け出した…と思ったのも束の間、スペシャルウィークは一気に抜け出し先頭へ。
最後は5馬身差をつけて、ぶっちぎりの1着
となった。

当時囁かれた『武豊はダービーを勝てない』という言説を捻じ伏せた。
後にこのコンビは春天、秋天、JCを制覇するが、それはまた別のお話。

日本総大将 スペシャルウィーク


1999年 アドマイヤベガ

まさかまさかの武豊のダービー連覇。
日本ダービー史上初の大仕事をやってのけたのはアドマイヤベガ。
当日、レースは縦長のまま流れ、迎えた最後の直線。
後の世紀末覇王、テイエムオペラオーが抜け出したが、これをナリタトップロードががっちりマークしており振り切った。
このままゴールかと思ったところ。
大外から突っ込んできたのはアドマイヤベガ。
追い比べをクビ差で制し、1着でゴール。

弥生賞でナリタトップロードに敗れた。
皐月賞でテイエムオペラオーに敗れた。
母ベガと2代に渡るクラシック制覇は無理なのかと思われた。
しかしダービー、息子が輝いた。
アドマイヤベガ。早すぎる引退に、早すぎる死であった。
しかしその良血馬は、確かに輝いたのである。

その1等星の名はアドマイヤベガ


2002年 タニノギムレット

武豊のダービー3勝目となるこのレース。
武豊からは「NHKマイルの借りを返す」という発言もあった。
というのも、タニノギムレットは皐月賞3着。
そこから変則二冠を目指しNHKマイルに出走も不利を受け、またも3着。
タニノギムレットにとって厳しいローテとなり、さらにダービーは年明け6戦目。
これは厳しいのではないかという声もあったが、嫌な流れを見事に切ってみせた。
当日は後方からレースを運び、直線に入ると強烈な末脚で他馬を置き去りにした。
ゴールまで一気に伸び、シンボリクリスエスに土をつけ1着となった。

これを最後に、故障のため種牡馬入りしたタニノギムレット。
しかし初年度産駒からウオッカを輩出すると、ウオッカは実に64年振りとなる牝馬によるダービー制覇を成し遂げる。
同時に史上5組目となるのダービー父子制覇を成し遂げたのであった。

すげーいいキャプチャがあったので。 柵を蹴り壊すなど元気いっぱい!


2005年 ディープインパクト

この名馬に説明いる?

シンボリルドルフ、オグリキャップのように、競馬には一時代を作る化け物、怪物がいる。
この馬が走るなら絶対勝つ、と思わせるほど圧倒的な傑物。
それがディープインパクトである。

直線だけで他馬を突き放した皐月賞。
そんなディープインパクトのダービー単勝支持率は歴代最高の73.4%。
当日は淀みないペースの中、大欅過ぎから進路を外に取り、最終コーナーを回ると、先に抜け出したインティライミを残り200mでかわして1着。
史上6頭目となる無敗での二冠を達成した。

武豊は「何としても夢を叶えるつもりです」とクラシック三冠を宣言。
その後、菊花賞で単勝1.0倍の超絶人気に推されて圧勝。
無敗三冠馬はその後の有馬記念で苦渋を嘗めるが、それもまた別のお話。

高々と突き上げた『V』 日本近代競馬の結晶である。


2013年 キズナ

父にディープインパクトを持つキズナは、毎日杯、京都新聞杯の2連勝を経て1番人気で参戦。
挑むはロゴタイプ、エピファネイア、コディーノの皐月賞上位3頭。
当日はスタート直後から抑えて、後方3番手にポジションを構えた。
最内枠のため道中は内を走っていたが、徐々に進路を外へ変更。
最後の直線に入った際は、最内枠の馬が大外まで持ち出していた。

その直線では皐月賞勢による熾烈なデッドヒートが繰り広げられていた。
外から前の馬を捉えにかかるは、クラシック二冠を目指すロゴタイプ。
その直後に迫るはコディーノ。
さらにその間を割るは、皐月賞2着からの逆転に懸けるエピファネイア。

エピファネイアが突き抜けた、その直後。
末脚爆発、外から突っ込んできたのはキズナ。
激しい叩き合いを制し、半馬身差交わし切ってゴール。

同じくダービー馬である父ディープインパクト譲りの末脚で勝ったキズナ。
まさにその名の通り、親子の絆を見せたレースであった。
なお、キズナの娘にアカイイトという馬もいる。素敵やん?

父子ダービー制覇 次は孫でも制覇できるか


2022年 ドウデュース

もう今日のレースを見てくれ。そこに全てがある。
こんなに面白いダービーはここ数年で無い。
そのくらい素晴らしいレースだった。

この馬は凱旋門に挑む馬である。
日本の悲願を叶えるのはドウデュース、そして武豊なのかもしれない。

日本競走馬の歴史を変えてくれ ドウデュース


クラシック三冠競走 最後のタイトルは誰の手に

これはよく言われていることだが
皐月賞は『最も速い馬が勝つ』
ダービーは『最も運のある馬が勝つ』
菊花賞は『最も強い馬が勝つ』

菊花賞はスピード、スタミナ両方を要求される。
2度の坂越えを含む3,000mのマラソンレースとなっており、まさに強い馬しか勝てない、そこにマグレはないのが菊花賞だ。

皐月賞はジオグリフが制した。
ダービーはドウデュースが制した。
これから夏を乗り越え、一回り大きくなったクラシックを見るのが今から楽しみである。

あとパンサラッサの宝塚記念が楽しみ。

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