ステレオテニスさんインタビュー（part２）イニシャルアクキー全文字解説
毎度ありがとうございます。来夢来人です。
前回のインタビューに引き続き、今回はステレオテニスさんに、イニシャルキアクキーの各デザインについて語っていただきました。
それでは早速どうぞ！
ステレオテニス（グラフィックデザイナー・イラストレーター）得意とする80sテイストのデザインは現在も続く80年代ブームの先駆けとなった。また本業以外でも体験型ブティック「マダムドレッサー」ヴィンテージ眼鏡店「GOOD OLD」などをプロデュース、東京と地元宮崎県都城市を拠点に多方面で活躍中。 Twitter https://twitter.com/microhitomi
ステレオテニスのアルファベット全文字解説！
天久「なんだか大変なこと頼んで申し訳ありません」
テニス「いえいえ」
天久「では、さっそく『A』からお願いします！」
テニス「『A』はやっぱり最初の文字だし、全体のコンセプト模索しながら「門」をイメージして。最初の入り口っていう意味も出るし」
天久「そう言えば真ん中は太陽だしね。門から見える太陽はたしかに始まりっぽい」
テニス「『B』は色の構成を組み立てながら、形でも遊んでみたいなと思って背中を波形に」
テニス「『C』は形からテレビのワイプを連想してつくりました」
天久「中で小島瑠璃子が笑ってる？」
テニス「そっちじゃなくて、映像の切り替えに使うトランジションですね」
天久「そっちか！ そういえば動きもあるね」
テニス「『D』は横から見ると、水平線からの日の出になってるんです」
天久「ああ！ これは言われないと分からなかった。横から見るとたしかに！」
テニス「『E』あたりから方向性が掴めてきた感じですね。『E』はすぐ決まった気がする」
天久「格子柄とゼブラっぽい柄の組み合わせが面白いね。絶妙なミスマッチというか。未来の大阪のおばちゃんって感じ」
テニス「『F』はこの丸い部分が間接みたいに動くって設定なんです。揺らすとぐらんぐらんって」
天久「アクリルだからまったく動かないのに（笑）すごい（笑）」
テニス「『G』は『C』のあと出来たんです。こっちはCDプレーヤーを上から見たところ。デザイン的にも気に入ってます」
天久「ほんとだ。じゃあこれも動く設定。機会的なモチーフを積極的に入れるとか、なにげに未来派（２０世紀初頭の芸術運動）が入ってるんだね」
テニス「『H』は毛色が違ってて、ちょっと立体なんですよ。これも最初のデザインから一切手を加えてないお気に入り」
天久「これ僕も好きで、この矢が刺さってるのがフェティッシュでかっこいいよね。三本にしたのは毛利元就の三本の矢から？」
テニス「じゃあ、そのつもりだったことにしましょう（笑）『 I 』はカラフルな神殿の柱をイメージして」
天久「ファンタジー入ってるよね。ちょっとACID感もあって不思議な国のアリスに出てきそう」
テニス「『J』好きなんです！全体の中でも好きの上位に入ってます。この建設要素が」
天久「この接合部か。効いてるよね」
テニス「もともと建築やインテリアが好きで、デザインは平面だけど、実際にこれがオブジェやモニュメントになってること、想像しながら考えるのが好きなんです」
天久「これのバカでかいオブジェがあったら面白いね。国会前にJAPANの『J』として」
テニス「『K』と『N』もかっこよくないですか？ この二人はスタイリッシュで」
天久「たしかに。それにこの二人バディ感ある。文字だけど二人でいいと思う（笑）」
テニス「あぶない刑事のタカとユージみたいですよね」
天久「だとしたらTとYだけどね」
テニス「『L』は元の文字がシンプルなのでつくりやすかったです。この配色は鉄板。でも直線だと寂しいので背中を波形に」
天久「これで『B』の仲間が出来た。待って、この二人で『BL』じゃん！」
テニス「ホントだ！いま気づいた（笑）『M』は私の中ではドラえもんの手なんですよ」
天久「言われて見れば、ドラえもんが握手してるみたい」
テニス「『O』は回転するイメージで、真ん中は最初白のつもりだったけど透明にして正解でした」
天久「動物的で機械的。クールだね。上から見る回転寿司」
テニス「『P』は一瞬で出来て、我ながら完成度高いです」
天久「デザインってあんまり時間掛けるとアイデアボヤけるしね。曲と同じだね」
テニス「作曲もするんですか？
天久「いや全然、かっこつけただけ（笑）『Q』は可愛すぎるでしょ！」
テニス「単体で見ると『Q』って分からないかも。でも全体に入れると『Q』にしか見えない」
天久「コンセプト知らない人がこれ見て、実は『Q』だったんだって分かったときの感想聞きたい。前回のシリーズは明確なモチーフがあってそれがひと目で分かる面白さだったけど、今回は完全にデザインだから、どんな解釈もできるし、いくらでも深く見える」
テニス「今回は自分のイニシャルじゃなく、デザインが好きで選んでくれる人がいるかも、そうだとうれしい」
天久「『R』も完成度高いね」
テニス「縦の凹凸に見える部分が気に入ってて、これもひとつの文字に複数のテイストが入ってて、構造的で好きです」
テニス「『S』はプロペラです。回ってるプロペラを上から見たところ」
天久「じゃあこれ残像なんだ！未来派だね」
テニス「『T』も神殿の柱がモチーフ」
天久「この子は独特な間があるね。見てるとどんどんじわってくる」
テニス「クラスにひとりいるマイペースな子なんですよ（笑）」
テニス「『U』は色が好きで、同じ形を上から重ねるイメージ」
天久「いま気づいたけど、微妙に影がついてて普通に見えると重なって見えるけど、逆さにして見ると奥行きに見える。そう言えばUの刻み海苔っぽいパターンとかはどの段階で足すの？」
テニス「ああ、こういう模様は全部最後なんです。形と色が決まってから、仕上げでふりかけます」
天久「魔法の粉みたいな。でも最後だったんだ。なんか意外」
テニス「『V』もめちゃかっこよくないですか？」
天久「僕もこれが一番らしいというか、80sデザインの全部が入ってる気がする。カタログの表紙にするなら間違いなくこれ！」
テニス「ですよね！ まず字がいいですもん。Vサインの『V』。すでに勝利してる」
天久「Vしか勝たん。これだけ１００個買うのもあり」
テニス「そして『W』がまたかっこよくて」
天久「うん、新しいライダー登場って感じがする、Vもライダーだとするとセカンドライダーっぽい」
テニス「『X』は真ん中が留め具になってて、開いた状態なんです」
天久「そういう仕組みなんだ！じゃあ元は半分のサイズか。でもなんの道具なの？」
テニス「なんだろう……あ！ これひっくり返すと、ドラえもんのお尻に見えませんか？」
天久「見えた（笑）道具つながり」
天久「それでテニスさんの一番推しの子は？」
テニス「実は『Y』なんですよ。もうずっとニヤけられるくらい好きで」
天久「この子か！ だいぶ個性的だね」
テニス「横のギザギザはこの子にしかなくて、たまらんでしょ」
天久「自分でつくっておきながら」
テニス「親友感ありますよ」
天久「じゃあこの子、大きいサイズでアクリルスタンドにすれば？」
テニス「等身大で！（笑）」
天久「最後は『Z』。締めくくりに相応しいかっこよさ」
テニス「『Z』を作り終えて、自分でも腕上げたなと思います。26文字つくってきた中でいつの間にか正解出せるようになった」
天久「いやあ、話聞いてるだけで、すごく楽しんでつくってもらったのが伝わりました。ホントに頼んだ甲斐があったというか」
テニス「こちらこそです。裏に『STEREOLIGHT』ってコラボロゴまで、これも本当うれしくて！」
天久「裏は僭越ながらこちらでつくらせてもらいました。昔テプラっていうビニールテープに印字する文具があって、80sは自分にとってはリアタイの青春で、こういうので編集カセットのタイトルつくったなと」
テニス「とにかく本当にかわいい子たちが生まれたので、評判はちょっと怖いけど、もうこの時点で完全に満足してます！」
天久「こちらもそれだけで充分です（笑）気に入った方はぜひお求め下さい！」
二回に渡るステレオテニスさんインタビューいかがだったでしょうか？
世間ではまだまだコロナ禍でたいへんな日々がつづいておりますが、外は夏真っ盛り。
せめて気持ちだけでも上々に、楽しい日々をお過ごし下さい。──よい夏を！
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