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日本ダービーレース展望

世代の頂点を決めるレース、日本ダービー。
毎年このレースでドラマが刻まれると同時に、この時期が来ると新たな物語の幕開けを感じてワクワクする自分がいます。

そしてこのワクワクとドキドキは、競馬が人と馬が密接な関係にあるからこそ生まれるものであり、これが無ければきっとボクはここまで競馬にハマってないだろうなと思います。

今年はどんなドラマが待っているのでしょうか、週末がとても楽しみです。


では日本ダービーのお話をしていきましょうか。


-日本ダービー-

このレースで問われる能力・要素・傾向
直線でのトップスピード
一気に加速する瞬発力or最後までバテずに走り切る持続力
やや外枠有利
やや差し追込有利
人気馬が強い
能力重視

東京芝2400mは最後の直線が長いことからスローペースになりやすく、直線での速い末脚が求められるコースです。
スローペースなら一気に加速する瞬発力、ペースの緩みがないと最後までバテずに走り切る持続力が求められますが、どちらも速い上がりが求められるため直線でのトップスピードが重要となります。
また、日本ダービーはCコース替わりの週に開催されるため時計が速くなりやすく、直線での速い上がりがより重要となる点にも注目です。


最初のポイントはやや外枠有利です。
これは近年変化しつつある傾向です。

-2020〜2023年-
1〜4枠
【1-2-2-27/32】
勝率3.1% 連対率9.4% 複勝率15.6%
単勝回収率4 複勝回収率40

5〜8枠
【3-2-2-32/39】
勝率7.7% 連対率12.8% 複勝率17.9%
単勝回収率62 複勝回収率47

-2010〜2019年-
1〜4枠
【6-6-6-61/79】
勝率7.6% 連対率15.2% 複勝率22.8%
単勝回収率177 複勝回収率134

5〜8枠
【4-4-4-87/99】
勝率4.0% 連対率8.1% 複勝率12.1%
単勝回収率28 複勝回収率32

このレースはCコース替わりの週に開催されますが、その影響で時計が速い+内が有利な馬場コンディションになることが多い…というのが過去の傾向でした。
実際に好走馬見ても、2019年は1枠を引いたロジャーバローズが12人気1着。2018年はコズミックフォースが4枠から16人気3着。2016年はマカヒキ、サトノダイヤモンド、ディーマジェスティと1〜3人気馬でしたが内枠勢が馬券内を独占し、エアスピネルが3枠から7人気4着。2015年はサトノラーゼンが1枠から5人気2着。2014年はマイネルフロストが2枠から12人気3着。2013年はアポロソニックが2枠から8人気3着。2011年も内枠勢が馬券内を独占し、ウインバリアシオンが1枠から10人気2着、ベルシャザールが4枠から8人気3着。そして2010年も内枠勢が馬券内を独占しており、1枠のエイシンフラッシュが7人気1着、4枠のローズキングダムが5人気2着と、内枠を引いた人気薄の馬が頻繁に好走しており、とにかく内有利なレースでした。

しかし、2020年を境にこの傾向は変化しつつあります。以前と比較すると内枠の好走率は大きく下がっており、Cコース替わりにも関わらず内を避けるケースも見られるようになり、近年は内有利な馬場にはならず、外差しが届く馬場になっています。
2023年は6枠のタスティエーラが4人気1着、同じく6枠のハーツコンチェルトが6人気3着。2021年は5枠のシャフリヤールが4人気1着、6枠のステラヴェローチェが9人気3着と人気以上に好走しており、以前より内の優位性が薄れている点に注意が必要です。

ちなみにこれは馬場の造りが影響していると考えており、2023年の春開催及び秋開催、そして2022年,2021年の秋開催の東京では、開幕週から外差しが決まる傾向が強く見られ、柔らかい高速馬場となっています。
柔らかい高速馬場では直線での速い上がりが求められ、末脚が発揮しやすい馬場となります。これにより、内有利馬場を活かした立ち回りや先行力よりも、外からスムーズに加速し末脚を発揮できるかが重要となっており、この馬場の変化が近年の傾向の変化にも繋がっているのではないか、と考えています。
技術の進化により馬場の造りは年々変化していくため、今後また異なる傾向が見られるようになる可能性もありますが、現在の馬場の造りは直線での末脚が重要である点は押さえておきたいポイントです。


続いてのポイントはやや差し追込有利です。
これは先程のやや外枠有利傾向とセットで考えたいポイントであり、近年の馬場の変化が関係しています。

-2020〜2023年-
初角5番手以内
【2-1-2-16/21】
勝率9.5% 連対率14.3% 複勝率23.8%
単勝回収率46 複勝回収率64

初角6〜9番手
【1-1-0-13/15】
勝率6.7% 連対率13.3% 複勝率13.3%
単勝回収率78 複勝回収率26

初角10番手以下
【1-2-2-29/34】
勝率2.9% 連対率8.8% 複勝率14.7%
単勝回収率12 複勝回収率40

-2010〜2019年-
初角5番手以内
【4-3-4-42/53】
勝率7.5% 連対率13.2% 複勝率20.8%
単勝回収率225 複勝回収率146

初角6〜9番手
【2-6-4-30/42】
勝率4.8% 連対率19.0% 複勝率28.6%
単勝回収率14 複勝回収率95

初角10番手以下
【4-1-2-76/83】
勝率4.8% 連対率6.0% 複勝率8.4%
単勝回収率51 複勝回収率24

以前の日本ダービーはCコース替わりで内有利な馬場になる影響もあり、前に行き内をロスなく立ち回った子が穴をあけるパターンが多く見られました。代表的なのが2019年12人気1着のロジャーバローズ、2018年16人気3着のコズミックフォース、2013年8人気3着のアポロソニックなどです。

しかし近年は、前述した通り外差しが届く馬場になっていることから末脚が求められるようになり、速い上がりを使える末脚に長けた馬が好走しやすいレースとなっています。
2023年はドスローだったにも関わらず、勝利したタスティエーラ以外の上位馬は差し追込馬が独占。後方からの競馬だったハーツコンチェルトが6人気3着と人気薄で好走。
2022年は上位を差し追込馬が独占。唯一前でレースをして3着に好走したアスクビクターモアはその後菊花賞を勝利しており、元々GI級の能力を秘めていた馬。
2021年も1〜4着まで差し追込馬が独占。前でレースをして5着に粘ったサトノレイナスはその後故障により引退してしまったもののGI2着2回の実績馬で、6着のタイトルホルダーはその後GIを3勝しており、近年はGI級の実力を持つ先行馬しか好走できていないことがわかります。

過去の日本ダービーは、能力面で見劣る馬が馬場の恩恵を味方につけて人気薄で好走する、というのが穴をあけるパターンでした。しかし近年は傾向が変化しており、そのパターンが見られなくなっています。
また、末脚が発揮しやすい馬場になっていることから実力馬が好走しやすく、人気馬の信頼度が上がっているのも近年の特徴です。

-2020〜2023年-
1〜2人気
【1-4-0-3/8】
勝率12.5% 連対率62.5% 複勝率62.5%
単勝回収率17 複勝回収率80

3〜5人気
【3-0-0-9/12】
勝率25.0% 連対率25.0% 複勝率25.0%
単勝回収率201 複勝回収率52

6人気以下
【0-0-4-47/51】
勝率0.0% 連対率0.0% 複勝率7.8%
単勝回収率0 複勝回収率36

-2010〜2019年-
1〜2人気
【4-2-4-10/20】
勝率20.0% 連対率30.0% 複勝率50.0%
単勝回収率65 複勝回収率74

3〜5人気
【4-7-1-18/30】
勝率13.3% 連対率36.7% 複勝率40.0%
単勝回収率102 複勝回収率116

6人気以下
【2-1-5-120/128】
勝率1.6% 連対率2.3% 複勝率6.3%
単勝回収率97 複勝回収率68

以前は枠の差で人気薄の馬が人気馬を逆転できるレースで、10人気以下の人気薄が好走するケースも多く見られました。しかし近年は実力を発揮しやすい馬場になっていることから、強いのに人気を落としている馬を探すことが主流の穴をあけるパターンとなっています。
2022年に7人気3着と穴をあけたアスクビクターモアは後に菊花賞を勝利。2021年9人気3着のステラヴェローチェは朝日杯FS2着、皐月賞3着の実績がありながら過小評価されていた馬で、その後もGIで好走を続けている実力馬。2020年10人気3着のヴェルトライゼンデもホープフルS2着の実績があったのに過小評価されていた馬で、その後重賞を2勝しジャパンカップでも3着に好走しています。
能力の裏付けがあるにも関わらず、皐月賞の敗戦や適性面を疑われて人気を落とし過小評価されている馬には注意が必要です。


最後のポイントは能力重視です。
世代限定戦はメンバー同士の力差が出やすいのも特徴の一つです。今後重賞〜GI戦線で活躍する子もいれば、条件戦をなかなか勝ち上がれない子も一緒に走ることとなります。そのため戦ってきた相手やレース内容を精査し、能力を見極めるのも大切な要素です。




-有力馬診断-

ジャスティンミラノ

-近走の内容-
・前走:皐月賞 1着
→前半3F34.2-後半3F35.8、高速馬場で大逃げによるハイペース、スピードも問われた。
前目のポジションを確保し差し切り。

-評価-
立ち回りが上手く瞬発力とトップスピードに長けた先行馬。
新馬戦、共同通信杯とどちらもスローペースを先行して勝利しているため展開には恵まれているが、新馬戦は後半4Fが45.9、共同通信杯は後半4Fが45.3と優秀な数字であり、スローだったとはいえ上がり3F32秒台を計時できている点も能力の裏付けである。
経験の浅さが本馬の不安要素だったが、前走の皐月賞では速いペースに対応し、先行して押し切り勝利とこれまでとは全く異なるレースでも強い競馬を見せ、世代トップレベルの能力を証明した内容。
能力が高いレベルでまとまっており、現状目立った弱点もないため、世代限定戦においては特に逆らう要素はなく素直に評価したい一頭。ただ頭に入れておきたいのは、今回はマークされる立場になるということと、前走の中山は適性外だった馬が多かったこと。東京なら差されて2~3着になるケースも十分考えられる。



ビザンチンドリーム

-近走の内容-
・前走:皐月賞 13着
→前半3F34.2-後半3F35.8、高速馬場で大逃げによるハイペース、スピードも問われた。
大きく出遅れてしまい展開向かず、外を回す不利あり。

-評価-
出遅れ癖とかかり癖があり器用さにも欠けるが、高い末脚能力を持っている馬。
新馬戦は内前有利展開を後方外差しと二重苦を跳ね除け加速ラップで圧勝。タイム・ラップのどちらを取っても優秀で、数字上はGI級の能力を示したと言える内容。
きさらぎ賞は出遅れ+かかる+外を回す不利の三重苦。そのなかで勝ち切っているうえに、直線で一気に加速する流れのなか本馬自身は10.9-10.8程度の加速ラップで差し切っており、能力でカバーしている部分が大きく着差以上に高く評価できる内容だった。
前走の皐月賞は大きく出遅れてしまい、その時点でノーチャンス。本質は広いコース向きのタイプであり、今回の東京替わりは条件好転のターン。気性面の不安が大きい馬であるためギャンブル性は強いが、持っているポテンシャルは高く人気薄なら狙う価値は十分ある一頭。

いつもボクの記事を読んでくださりありがとうございます! これからも根拠のある記事、面白い記事を作成していけるよう努力します!