時間勘違い事件

    目覚めて一番に感じたのは倦怠感だった。前日の勤務での疲労がしっかりと残っており「無茶がきかなくなってきているなあ……」と微睡んでいる頭で考えていた。
    ふと、時計を見る。それまでぼんやりとしていた頭が一気に覚醒した。今日は美容院の予約があるのに寝坊してしまった。慌ててベッドから飛び起き顔を洗いに洗面所へ向かう。
    顔を洗いスキンケアをして歯を磨き、水を飲み干したあとメイクを始める。朝食は諦めることにする。
    メイクをしている最中、電車が一部運転を見合わせていると通知があった。確認すると私の住んでいる所はまだあまり影響は出ていないようだったが、大幅に遅延してしまっては予約時間に遅れるかもしれない。身支度のスピードを上げ、予定より早く家を出た。
    

    電車に揺られながら一眠りし、乗り換えの駅に到着した時にふと違和感を覚えた。
「(予約の時間11時じゃなかった……?)」
    恐る恐るスケジュールを確認する。そこにはしっかりと『11:00』と書かれていた。
    現在時刻は9時半。10時に到着するように家を出ていた。私は途方に暮れた。今いる駅は大きいが、ほとんどの店が開くのが11時で時間を潰す場所が無い。散策しようにも暑くて絶対に嫌である。
    仕方が無いので美容院の最寄り駅へ移動し、今喫茶店で時間を潰していたのである。
    寝坊したと思い慌てて準備をして家を出たが、結局予約時間を勘違いして虚無時間を過ごすこととなってしまった。ケーキはとても美味しかった。

    そろそろ時間なので店に向かうこととする。

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