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【LAD】ドジャースの"超"強力ブルペンのご紹介①

ドジャースの強みと言えばベッツ・大谷・フリーマンのBIG3を擁する打線が目立ちますが、実は過去10年間の通算防御率が30球団で1位だったのがドジャースブルペン。
今回は打線や先発陣に比べて目立たないブルペン陣に光を当てていきたいと思います。良ければ皆さんも推しの救援投手を作ってみてください。

全員を1回で紹介すると長くなってしまうので、分割して投稿します。
(やる気が続けば…)
今回はフィリップス、グラテロル、ケリーを紹介します。


Evan Phillips, エヴァン・フィリップス


https://www.nytimes.com/2023/06/14/sports/baseball/evan-phillips-dodgers.html

個人的にMLBで最も"Underrated"過小評価されている投手の一人だと思っているフィリップス。2023年の中盤よりドジャースのメインクローザーに就任し、62試合で防御率2.05, 24セーブと素晴らしい活躍でした。
ドジャースの選手の中での自分の"推し"の一人です。

リリーバー・オブ・リリーバー

フィリップスはブレークを果たした2022から2023年の間に、
124.1回で防御率1.59, 9勝, 26セーブ, 25ホールドの成績を残しました。
勝利数, セーブ数、ホールド数からわかるようにフィリップスは試合の締め、7回・8回のセットアップ, タイブレークなど様々な場面で登板しては、当たり前のように0に抑えて帰ってきます。
ドジャースブルペン内での信頼度はもはや別格と言っていいでしょう。
(※フィリップス依存症になってしまうお茶目な監督がいるのは内緒)


ちなみに同期間での防御率1.59は100回以上投げた救援投手の中で1位です。

もう一度言います。1位です。

皆さんリリーバーと聞くと誰が浮かびますか?
エアベンダーで知られるデビン・ウィリアムス
恐るべき速球を持つ左腕ジョシュ・ヘイダー
高速カッターのエマヌエル・クラセ

いろいろ浮かびますが、これらの選手は防御率の面ではフィリップスより劣っています。
この3人は全員1回、ないし2回のオールスター出場を果たしています。
一方でフィリップスはオールスター出場なし。。。
しかもNBC Sportsの2024救援投手ランキングではフィリップスは23位。
どういう判定基準なんでしょうね!
個人的には"ドジャースレジェンド"のキンブレルが2つ上の21位にランクインしているのがムカつきます。

左がキンブレル
右がフィリップス

https://www.nbcsports.com/news/2024-reliever-rankings

愚痴はこの辺にしておいて。

最大の武器 "スイーパー"

フィリップスの最大の武器は投球の45.5%を占めるスイーパーです。

https://x.com/MadChoriyama/status/1652809339542081536?s=20

フィリップスはスイーパーを右打者に対しては外角低めに投げて空振りを奪い、左打者に対しては抜群のコントロールで様々な場所に投げ、空振り・見逃し・ファールなどでストライクを取っていきます。
フィリップスは困ったらとりあえずスイーパーを投げとけよって感じです。
そしたら抑えられます。


このスイーパーはメジャーでも有数の球種で、
・wOBA: .165(全スイーパー中2位)
・xwOBA: .195(全スイーパー中2位)
・空振り率: 42.1% (全スイーパー中4位)

2ストライク時のアウト獲得率29.4%(全スイーパー中4位)
と軒並み優秀な数値になっています。

フィリップスはその他に左打者対策としてカッター
速球としてフォーシームとシンカーを投げます。

クビを乗り越えて

フィリップスは2015年ブレーブスにドラフトされました。2018年にケビン・ゴーズマンらが絡むトレードでオリオールズに移籍しました。この間メジャーデビューを果たしていましたが、良い成績とは言えませんでした。

フィリップスのキャリア前半成績

その後、オリオールズをリリース、即ちクビになり、投手育成に定評のあるレイズと契約しましたが、結果が出ずウェイバーになりました。ジェフリー・スプリングスジェイソン・アダムなど数多くの投手を再生・改造してきたレイズで芽が出なかったことはフィリップスの野球人生もここまでかと思われましたが、ドジャースが拾いました。2021年の8月にドジャースに合流したフィリップスですが、そのままポストシーズンでも投げました。ファンの第一印象は"誰?"

フィリップスの才能が開花したのが2022年。チェンジアップを捨て、カッターを導入、そして前述のスイーパーの割合を大幅に増やしたことで才能が開花。ドジャースで最も信頼される救援投手になりました。

フィリップス開花後の成績

Brusdar Graterol, ブルスダー・グラテロル


https://www.truebluela.com/2023/10/5/23903872/brusdar-graterol-dodgers-postseason

成績の割には信頼度のないイメージのあるグラテロル。またの名を"バズーカ"として知られており、2023年はドジャースのセットアッパー、パートタイムクローザーとして68試合で防御率1.20 7セーブを記録しました。

ゴロ!ゴロ!ゴロ!

グラテロルがイマイチ信頼されていないのはここが理由かもしれません。
グラテロルの投球スタイルは簡単です。打者を打たせて取る。
どんどんストライクを投げて打者に弱いゴロを打たせます。
その証拠にゴロ率66%(リーグ4位)に対して
三振率18.7%(リーグ310位), 空振り率16.3%(リーグ372位)
即ち全く三振を獲れない、代わりに打たれても全部ゴロに変える
というわけです。
このため上手くいっているときは良いのですが、弱いヒットが続いてピンチを招いて、三振が取れず失点する、というケースが時々あります。

"バズーカ"の名の通り

グラテロルの最大の武器は"超高速シンカー"です。
力感のないフォームから繰り出されるその平均球速は98.6mph, 最速103mph。また、右打者に対しては食い込み、左打者に対しては逃げる動きをしますが、この球速と動きによって平均打球角度は-8度です。つまり、平均で打者は打球を地面に向けて打っているわけです。
また、剛腕にしてはレアなコマンドがいい投手で、1投球回あたり平均13球
と、無駄な投球をせずに素早く3人打ち取って帰っていきます。

グラテロルは特に左打者にカッターを投げ、他にスライダー、フォーシームを投げます。

情熱的投球

グラテロルは南米ベネズエラ出身ということもあり、感情を前に出したピッチングをします。彼は投球の最後に空に向けて指をさすセレブレーションを行います。ピッチングの良し悪しにかかわらず祝うので、不甲斐ない投球にフラストレーションを溜めたファンに叩かれることもありますが。

2020年のNLDS vs パドレスではタティスに特大のフライを打たれたものの、ベリンジャーがスーパーキャッチしたときに、大はしゃぎしてパドレスと揉めたこともありました。

Joe Kelly, ジョー・ケリー


https://www.ocregister.com/2023/08/13/dodgers-lose-pitcher-joe-kelly-to-elbow-injury/

大谷翔平に背番号17を譲ったことで、日本でも話題になったケリー。昨年のトレードデッドラインでホワイトソックスより移籍、一度FAになったものの、1年$8Mで再契約しました。
昨年の成績は42試合で防御率4.12と微妙でしたが、ドジャース移籍後の成績に限れば11試合で防御率1.74と抜群の成績を残しました。
ポストシーズンでの登板経験も豊富でワールドシリーズには3回出場しています。

"投げれれば"一級品

ケリーは現在35歳。キャリア最初から剛腕だった事もあり、体にガタが来ているようです。昨年も4月、7月, 8月に故障者リストに登録されました。

一方でキャリア後半に差し掛かってからも平均球速は98.9mphと球質は維持されています。フォーシームとシンカーはアームサイド(右方向)に大きく動き、ゴロや見逃し三振を奪います。

カーブ/スライダーの球速は時に93mph(=約150km/h)に達し、合わせた空振り率は43%と非常に効果的なボールになっています。

ケリーは他にフォーシーム、チェンジアップを投げます。


ネタがいっぱい

長い事メジャーを追っている方なら周知のことかと思いますが、一応。
2019年の11月にケン・ローゼンタールとエヴァン・ドレリッチがアストロズのサイン盗み、いわゆる"ゴミ箱叩き"を明らかにしました。2020年はご存じの通りパンデミックで無観客となりましたが、ドジャース対アストロズの試合はありました。そこでケリーはサイン盗みの当事者であったカルロス・コレアに当てました。
この時、コレアが怒る中ケリーは変顔で応戦しました。
このことからケリーはドジャースファンの英雄となりました。
それはロサンゼルスの建物の壁にケリーのペイントがされるほどでした

https://www.usatoday.com/story/sports/mlb/columnist/bob-nightengale/2020/07/28/dodgers-vs-astros-joe-kelly-carlos-correa-exchange/5533472002/

また2020年のワールドシリーズ制覇メンバーだったケリーは2021年に大統領を表敬訪問することになりました。その直前にケリーはドジャースタジアムでメキシコ音楽(マリアチ)を演奏する人とユニフォームを交換しました。
なんとケリーはその衣装を着てホワイトハウスを訪問しました。

これらのオモシロ?エピソードからケリーはドジャースファンから愛される存在となりました。ケリーもロサンゼルスが好きなようで、今オフFAになった際には「ドジャースに戻るか引退か」と言っていました。

これで第一回は以上です。
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https://twitter.com/sweePhillips59

データ引用・投球動画

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