【LAD】ドジャースのオフ 中間報告①
これまでの動き
ブレイク・スネル (5年$182M)
2023年、vs ARIのNLDSで先発陣が大崩れしての大敗を喫したドジャースは先発投手陣の構築を"復活プロジェクト"や"デプス選手"に頼るのではなく、"安定性に欠けるが最大出力が高い選手"の獲得に方針を大きく転換しました。
23年オフはタイラー・グラスナウ、山本由伸を獲得。そして今オフは2×サイヤング賞投手ブレイク・スネルを5年1億8200万ドルで獲得しました。
2021-24のスパンで規定投球回以上を1度しか達成していないスネルですが、防御率は156人中18位、同期間中のK%は3位、K-BB%は19位と一線級の実力を持っています。
他にコービン・バーンズ、マックス・フリード、ギャレット・クロシェとエース級が並んでいた移籍市場ですが、投入できる資源とそれに対する対価がドジャースと完全に合致したのがスネルでした。
復帰後の大谷を含めたスーパーエースカルテットの活躍に期待です。
トミー・エドマン契約延長(5年$74M)
数年前からスカウティングを行い、動向を注視していたとされるドジャースが今季のNLCS MVPと契約延長するのはもはや必然だったかもしれません。
現地11月29日、ドジャースはトミー・エドマンと5年7400万ドル+25年球団オプションで契約を延長しました。
キケ・ヘルナンデス、クリス・テイラーの長年ドジャースの強さを陰で支えた2人のスーパーユーティリティーが33歳以上に入り急激な衰えを見せる中、ドジャースはその穴を見事に埋めました。
ショート、センターのプレミアムポジションを含むすべてのポジションを平均以上に守れる身体能力、ドジャースに少ない高コンタクト型の打撃スタイル、そしてバント・盗塁などを上手く決める野球センスを持っているのがエドマンです。
ベッツ、フリーマン、大谷のMVPトリオのように派手な活躍でWAR6以上!みたいなことはできませんが、手の届かないところを上手に埋めてくれる選手と言えます。
24年NLCSではOPS1.022、ワールドシリーズでは.988と大舞台でも活躍できるところを見せており、今後続くであろうドジャースのプレーオフランではどのようなサプライズを見せてくれるでしょうか。
ブレイク・トライネン再契約(2年$22M)
ドジャースメイン実況ジョー・デイビスが"ビデオゲームスライダー"と称するスイーパーを投げるブルペンの柱が来季もドジャーブルーを身に纏うようです。
ドジャースは12月8日、ブレイク・トライネンと2年$2200万ドルの再契約で合意しました。トライネン、ドジャース双方が再契約に積極的な姿勢を見せていたことから既定路線と見られていましたが、思ったより早かったです。
ハドソン、ケリー、トライネンと経験豊富なリリーフが引退/放出確定となった中で、2020、2021、2024年とドジャースのプレーオフ進撃に大きく貢献したトライネンが戻ってきたのはファンとしてもうれしいものです。
戦力面でもドジャース時代は稼働すれば一線級リリーフとなっているトライネンの加入は純粋な戦力アップとなります。The AthleticのFabian Ardayaによればトライネンとドジャースは24年夏に長く活躍できるような取り組みを行ったようです。
マイケル・コンフォート(1年$17M)
ドジャースは12月8日、ジャイアンツからFAとなっていた外野手マイケル・コンフォートと1年1700万ドルで契約を締結しました。
コンフォートは対左投手要員のアンディ・パヘスの対になる存在として主に対右投手要員としての働きを期待されます。
テオスカー・ヘルナンデス(3年$66M)
プレーオフのヒーローであり、大谷翔平にヒマワリの種をかける人が帰ってきました。
現地12月27日、ドジャースとテオスカー・ヘルナンデスは3年6600万ドル+球団オプションの契約で合意しました。
現在までに判明している契約の概要は以下の通りです。
ドジャースお得意の後払い商法で、贅沢税対象の年俸に加算される金額は$66M⇒$50M-$60Mに圧縮されると思われ、年平均でも$16M-$20Mになることになります。
テオスカーは元々昨年FAとなった選手で、長距離打者としての大型契約を求めていましたが、2023年シーズンはOPS.740とテオスカー比較でダウンイヤーとなり、結局ドジャースと1年$23.5Mの契約で落ち着いていました。
テオスカーとしては選手改良に定評のあるドジャースで成績を再度持ち上げた上で今オフ再度FAとなり、自分の求める大型契約を勝ち取るつもりだったのでしょう。
加えてテオスカーは大谷翔平と同様にプレーオフを勝ち抜ける環境に身を置くことも移籍過程の中で求めていたと言います。
NLDS第5戦で追加点となるホームランを打った際のインタビューで次のように語っています。
結局ドジャースはワールドシリーズ優勝を達成したわけですが、ロサンゼルスでのパレードでもドジャースでの優勝を涙を流して祝うなど、チーム・選手の相思相愛ぶりは話題になっていました。
一方で"Baseball is Business"という言葉があるように、選手とチームの契約はチームへの愛着やファンの声援だけで決まるものではありません。チーム側が他に起用したい若手がいたり、将来的に予測される活躍が報酬に合わないと判断された場合、契約は成立しません。
チームでドラフトされスーパースターとなった選手が6年間の活躍を経てFAとなり、いとも簡単に他チームへ移籍するというのはよく見られる光景です。
テオスカーの場合はドジャースの安定した外野手を獲得したという思惑、テオスカー自身の戻りたいという願いは一致していましたが、来季が32歳のシーズンとなるためパフォーマンス低下が予想されるため、報酬面での差がありました。
テオスカー側は今季年俸$23.5Mをベースにおそらく3~4年総額$70~90Mくらいの契約を欲しかったと考えられますが、ドジャース側としては前述のリスクからそれほど払いたくなかったのでしょう。また、後払いを含むか否かの面で交渉が難航したとの報道も出ています。
そして結局3年$66M(一部後払い)という決着を見ました。
分かりきっていたことですが、年換算$22M、後払い調整後でも$16-20Mの年俸はオーバーペイ気味です。FA市場での調達コストはfWAR1.0あたり$8-9M程度、若干コストが上がった今オフでも$10-12M程度とされています。
テオスカーが24年に積み上げたfWARは3.5ですが、FangraphsのSteamer Projectionによれば来季のテオスカー成績予測は
.257/.317/.462 30HR wRC+116 fWAR 2.3
となっています。fWAR 2.3は年俸換算で$18.4-27.6Mですから、25年は良くて適正価格、成績が下がるであろう26年以降は払い過ぎになる可能性が高いです。
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