ひかり

わたしの優しさを消費しないでいてくれる彼がとても好きだった。夜の海は光って、全てを呑み込んでしまうけど、暗い部屋で繋いでくれた彼の手の方が大きく思えた。わたしのものだと思っていた月を放っておいて、彼の輪郭を覚える道具にした。そんな、思い出せば小さくキラキラとしているかたちはどこか寂しげで、溢れた海は何よりもつめたかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?