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蒼穹のファフナー 勝手に名場面Part1(ep1~ep15)

表題の通り、自分的名シーンを記していきます。
島民が勝手にアルバムを作っているとでも思ってください。よろしければ一緒に振り返りませんか?
「あの印象的なやり取りって何話だっけかな」と思い起こすのにも役に立つかもしれません。
BEYOND最終話のネタバレを含みますので、楽しみにされている方はご注意ください。



第5話「約束-ちかい-」Bパート
翔子「私はあなたの帰ってくる場所を守っています」
一騎「頼む」
第6話「翔子-ぎせい-」Bパート
翔子「皆城くん、私、フェンリルを使う」
総士「…! 羽佐間…」
第6話「翔子-ぎせい-」Bパート
翔子「一騎くん、あなたの島、私が守るから」

いきなり激烈にヘヴィなシーンからですが、翔子の咆哮、一騎と総士の無力感、容子の絶望、残されたパイロットたちの恐怖。何もかもがつらく悲しい。何度見ても涙なしには見られません。

第10話「分解-すれちがい-」アバン
一騎「どうしても聞いておきたいんだ。ファフナーと俺たち、お前にとってどっちが大切なんだ」
総士「ファフナーだ」
一騎「変わったよ、お前」
総士「変わろうとしていないのは、お前だけだ」

数々のイベントで総士のノースリーブ黒ベストをいじり倒されたせいですっかりおもしろシーンになってしまいましたが、この総士の突き放した言葉が、一騎が島を離れ、世界を知るきっかけをつくりました。

第10話「分解-すれちがい-」Aパート
広登「俺の…俺の…俺の青春を返せーっ!!」

翔子が島を去り、甲洋が同化されたあとに挟まれる日常のシーン。パイロットになることが定められた子どもたちは、ありふれた夢を叶えることができません。ですが、広登はすばらしい島のスターになり、島の外をジャーナルにするという立派な仕事をやりました。
Bパートでは広登がテレビ出演を果たしますが、この短い「愛!」から、EXOでたくさんの番組が作られ、イベントFINAL FESではオープニングステージとして佐々木望さんが見事に歌い上げました。広登は島民にとって紛れもないアイドルです。

第10話「分解-すれちがい-」Bパート
真矢「たとえどんなに変わっても、あたし一騎くんのこと覚えてるよ」
一騎「ありがとう」

一騎が島に帰る理由のひとつとなる大事なやりとりです。一騎は闘い続けた代償として様々なものを失い、その代わりに絶大な力を得ます。人としての多くの機能を失いながらも、傍には、一騎はたくさん変わったけど、変わらない部分があると信じてくれる真矢がいて、いつも心を配ってくれました。

第10話「分解-すれちがい-」モノローグ
第11話「旧新-じんるいぐん-」モノローグ
総士「お互いがいない場所で…どうすれば分かり合えるのか、答えを探していた。理解できない事を、言い訳にはしたくなかった… そうして… 僕らはまたひとつ、何かを失った」(第10話)
総士「何度も感情を共有した。痛みや傷でさえ、一つの絆だった。それなのに、自分を知って欲しいあまり…相手がそこにいる事を忘れてしまっていた。どうすれば取り戻せるのか…まるで分からなかった」(第11話)

総士、だから真矢に怒られてばっかりなんだよ?わかってる?と言いたくなるモノローグは、ぜひ10話と11話でセットにして愉しみたいものです。一作目前半〜中半あたりまでの、総士の不器用さと身勝手さは醍醐味というか、そうでなくっちゃと思わざるをえません。
この時点で”総士→→→→→→→→→←一騎”だったベクトルは、HAEにおいてお互いに求め合っていることが示され、対等になったと思われます。EXOにおいては、クロッシングによってお互いを感情を知り尽くしたうえに、二人の人格的な成熟も重なったため、熟年ふうふのような関係に成熟しています(個人の意見)。

第11話「旧新-じんるいぐん-」Bパート
総士「一騎は何を話した。戦いから逃げたいと言っていたか、それとも僕から逃げたいと言ってたか」
真矢「違うよ。ただ、自分のこと覚えててほしいって」
総士「そうか」
真矢「私も聞きたいことがあるの。一騎くんは皆城くんに何か話した?」
総士「何も」
真矢「だったら、なんで逃げたなんて言うのよ!一騎くんともっと話し合えばよかったじゃない!逃げてるのはあなたでしょ!」
総士「君に何がわかるというんだ!あいつが、あいつなら…あいつならぼくのことをわかってくれると思った」
真矢「一騎くんだって、あなたのこと、そう思ってたに決まってるじゃない!」

総士の身勝手さと、真矢の何でも見透かしたような物言いが顕著に現れたシーンです。一騎にわかってもらえているという幻想を抱く総士が、真矢に一喝されて逆上します。真矢も、総士も(不器用ながら)一騎のことを慈しみ大切にしているからこそ生じたやり取りです。

第12話「不在-あせり-」Aパート
史彦「パイロットの精神の変化に注意してくれ」
総士「わかっています(一騎なら、そんな問題はおきないのに)」
第12話「不在-あせり-」Bパート
史彦「一騎がなぜ出ていったか、心当たりはあるかね」
総士「いいえ」
史彦「積極的な自己否定の先にあるのは、絶対的な肯定だ。いつか一騎と君がそこにたどり着けることを願っている」
総士「まるで一騎がまだ島にいるみたいな会話ですね。僕は帰ってくるとは考えていません」
第12話「不在-あせり-」Bパート
真矢「機械を使って人の心を覗いて、それで理解したことになるの?あなたは一騎くんの何がわかってるの?」
総士「君よりはわかっているさ」
ーーー
総士「遠見、君は、君が今戦う必要はない」
真矢「そう。皆城くん、どうして、どうしてそう言ってあげないの、一騎くんにも」
総士「言えるものなら、とっくに言っていたさ」

第12話より。まるで子どもが駄々をこねているかのような総士の3コンボ。こういう未成熟な子どもっぽいシーンが大好きです。

第13話「浸蝕-フェストゥム-」Aパート
史彦「これではっきりしたな。一騎が人類軍にいる。案外素直に協力しているのかもしれん」
溝口「世界の救世主になるつもりだったりしてなぁ」
弓子「一騎くんが…」
真矢「違います!一騎くんはあんな風にみられるのが嫌だから島を出て行ったんです!ファフナーに乗る前の自分を誰かに覚えててほしくて!なのに…なのに誰も一騎くんの気持ちを聞かなかったくせに!なんでみんなそんな勝手なことばかり言うんですか!?」

大人たちを一喝する真矢。真矢はBYDまで怒ってばかりです。これほどストレートに怒られると大人たちも気づくものがあるかもしれません。あるいは、大人たちは真矢が指摘したような一騎の気持ちに気づいていながらも、兵士として活用しなければならないという葛藤を抱えていたとも考えられます。
一騎はこの先の話数で、「自分が何処にもいなくなること、誰かに忘れられること」が怖いと吐露します。史彦や総士にはアッサリ”積極的な自己否定”と理解されてしまいしたが、その恐怖にいち早く気づき、寄り添ってくれたのは真矢でした。

第13話「浸蝕-フェストゥム-」Aパート
溝口「ほぉ、活きのいいのが一人いるじゃねぇか」
総士「一騎っ!!」
史彦「何!」

量産型のファフナーに乗ってフェストゥムを殲滅する映像を見ただけで一騎とわかる総士。ちょっとキモい さすがシステム搭乗者ですね。史彦の「何!」にも含みを感じます。

第13話「浸蝕-フェストゥム-」Bパート
溝口「あぁそういやここんとこずっと働きづめで休暇がだいぶ残ってたなぁ。今からしばらく第三待機にさせてもらうぜ」
史彦「待て、どこへ行く」
溝口「ちょいと羽を伸ばしてくるわ。 モルドバあたりまでよ」
真矢「溝口さん」
史彦「そんな許可を出すと思ってるのか」
溝口「おいおい、俺はお前の上官だった人から命令を受けてるんだぜ」
史彦「上官だと」
溝口「お前と一騎のことを頼むとな。真壁紅音っていう日本自衛軍第二混成特科大隊エースパイロット様直々の命令なんだよ」
史彦「溝口、お前…」

膠着していたCDCの空気を換える役割を担うのは、飄々としていて部隊の指揮官としては不真面目に見えた溝口さんでした。生真面目な史彦と、力んだ史彦のことをほぐしてくれる溝口の関係は、見ていてほっとします。

第13話「浸蝕-フェストゥム-」Bパート
真矢「皆城くんも約束して?一騎くんと今度こそちゃんと話合うって」
総士「俺は…」

真矢にはいつも小言を言われちゃいますね。

第15話「記憶-さけび-」Aパート
一騎「なんで俺がやったって言わなかったんだ、総士。そのせいで俺はずっと、お前に謝ることさえできず、ずっと…」
総士(回想)「行けるのなら僕が行くさ」
一騎「そのせいで、お前はファフナーに乗れないんだろ!?だったら、なんで俺を責めないんだ!なんで俺がやったって言ってくれなかった!俺が逃げたからか!?あの時お前を置いて逃げたからか!怖かったんだ…お前を傷つけた自分が怖かったんだよ。だから逃げたんだ!お前は俺を怒ってるんだろ。俺を憎んでるんだろ。だから俺に戦って死ねって言いたいんだろ!総士!!ずっといなくなりたかった。俺なんかいなくなればいいって。でもせめて、お前に謝りたくて」
ーーー
乙姫「あなたはそこにいる?(俺は)それともいなくなりたい?」
総士「俺はただ、総士ともう一度話がしたいだけだ」

一騎は、ひとつになりたいという総士の願望から逃れるため、総士を傷つけました。その記憶は一騎のなかで封印されていました。おそらく精神的な衝撃の強さゆえに、封印せざるをえなかったのだと思われます。一騎は総士に悪いことをしたから消えてしまえばいい。でも消えてしまうのは怖い。一騎の自己否定の背景には、一騎自身が侵食される恐怖に対して抵抗した結果総士を傷つけてしまい、傷つけたという事実だけが歪曲された状態で記憶に残り、自己否定につながっていたのでした。
史彦が話した「積極的な自己否定の先にあるのは、絶対的な肯定」という言葉の背景には、肯定の気持ちを隠そうとするから否定が生じるという、補償作用があるという旨の意味があると思われます。肯定を覆い隠すためにはさらに強い否定のエネルギーが必要です。本当にエネルギーがない場合、否定も肯定も生じないかもしれません。総士を傷つけた記憶のどこかに「自分は正しいことをやった」という肯定の思いがあったからこそ、それを封印するための自己否定をしていたのだと思います。

第15話「記憶-さけび-」Bパート
真矢「一騎くん、よかった無事で」
一騎「本当に ここに いるのか」
真矢「いるよ、ここに、いるよ」
一騎「ありがとう。総士を」
真矢「皆城くんは島にいるよ。一騎くんのこときっと待ってる」
一騎「あいつが島の外で見たものを、俺も見たかったんだ。そうすればあいつのことがわかるんじゃないかって(うん)。戦うのが怖かったんじゃないんだ(うん)。ただ、本当に俺がどこにもいなくなるのが怖くて」
真矢「一騎くんの気持ちわかるよ」
一騎「俺なんかずっといなくなればいいと思ってたのに」
真矢「帰ろう。帰ってもう一度話そう。それをやめたら、きっと本当に自分も相手もいなくなっちゃうから。だから何度でも話そう」
一騎「(頷く)」

この時、竜宮島に一騎を導く役目を担ったのは真矢でした。対比的に、BYD最終話、竜宮島の外に真矢を誘うのは一騎です。真矢の役割は、一騎が帰ってくる場所を整えること(一騎が島の外にいる間、色んな人にいっぱい怒りました。それは一重に一騎が帰ってきたときに同じことが起こらないように)です。BYDでは、最後に一騎の誘いを断るのは、真矢には一騎が帰る場所を守る務めを果たしたいという願いがあるからでした。

Part2(ep16~ep26)に続く…


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