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EXILE嫌いなオタクが『HiGH&LOW THE WORST』を観るようになったまでの話

『HiGH&LOW THE WORST』を観てきました。

自分はHiGH&LOWシリーズテレビ版二期までと劇場版一作目までしか観ていない中途半端なオタクなので、当然WORST原作も知らないにわか状態だったのですが、それでも見終わったあとはなぜか街中を大股で歩きたくなるくらいにはアドレナリンが出まくっていたようで、とにかく最高でした。

予告の時点でアドレナリンがドバドバ出てきます。
僕の中にも男の子の部分が残っていたんだなと再確認できます。男ならよォ……目指したいよな、”””最強(テッペン)”””をなァ……

思えば高校生の頃の僕はEXILEが大っ嫌いでした。そんな陰キャ高校生の僕がどうしてここまでHiGH&LOWシリーズにハマるようになったのか。

人生とはマジで分からん。高校生の頃の自分に会ったら殴られる気しかしないけど、今の自分だったら村山流ドロップキックでやり返す気もします。

陰キャ高校生 VS EXILE

丁度EXILEが流行り始めたのが、僕が高校生の頃でした。

当時の自分と言えば、高校デビューに失敗した挙げ句、クラスのいじられキャラとしてサッカー部や野球部など、カースト上位連中に弄ばれている毎日でした。そんな思い返すだけでもただ悲惨な思春期を過ごしていた僕なのですが、そんな僕でもEXILEは知っていました。それは勿論、僕をイジりまくっていたムカつくDQN集団がクラスで音量マックスで垂れ流していた音楽こそがEXILEだったからです。

『ただ…逢いたくて』『 Lovers Again』とかがCMソングとして流行り始めた当時、クラスで嫌いな奴らが教室の中大音量で垂れ流し、おまけに下手なダミ声で熱唱する曲こそがEXILEでした。学校にCMでと嫌というほどEXILEを聞かされるうちに、次第に僕の中ではEXILE=DQNの代名詞という構図が完全に構築されていたのでした。

当時のEXILEのビジュアルと言えば、スキンヘッドに剃り込みにオールバック、日焼けにグラサンとDQNイメージのステレオタイプを地で行く感じで完全に当時の僕からしてみれば「敵」として認識するに値する存在でした。

EXILEを毛嫌いすること、DQNイメージを否定してかかること。それ自体が僕に残ったか細いプライドを繋ぐ微かな抵抗の印だったのかもしれません。

そんな風にEXILEを毛嫌いしながらいつしか十年が経とうとしていたそんなある日、『HiGH&LOW』と言う作品のことを知りました。

なんだこいつら、めちゃくちゃ「動く」じゃん……

当時、ツイッターのTLでハイローがにわかに騒がれ出していたのは知っていたのですが「どうせEXILEだしな……」と敬遠していた時、TLに流れてきたこのPVを目にしました。

実は当時ドラマ版『デスノート』や『アンナチュラル』などで、窪田正孝さんが大好きになった時期だったのですが、

『マッドマックス』を思わせる退廃的世界観、パルクールを駆使した超絶アクションに合わせたキレのあるBGMの中で、めちゃくちゃ顔の良い男たち(これ重要)が迫り来る敵をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。アクション映画が大好きな僕は一瞬にしてその世界観に引きつけられ、気が付けばPVを何回もリピート。

「窪田正孝さんってこんなに動けんの? 他の奴らもマジでめちゃくちゃ動くじゃん……」と気になりながらも、自分の中のただ一点、EXILEがプロデュースした作品だということだけが視聴までの一歩を踏み止めていました。

陰キャオタク、ハイロー世界観に即墜ち

フォロワーさんとガルパン劇場版を観に行った帰りに、「気になっているんだったらうちで観ますか?」と言われたのが運のツキでした。実際にシーズン1のさわりを観て観ただけでも「こいつはヤンキー漫画界のアベンジャーズだ……」とあまりの世界観のトンデモさに喫驚。

不良高校にギラギラホストっぽい奴らから祭りの仕切り屋、世紀末系まで「お前ら週刊少年チャンピオンの世界観だろ!」と思わずツッコミを入れたくなるような奴らがとにかくヤバイ身体能力で四六時中喧嘩しまくる。EXILEの皆さんの身体能力がめちゃめちゃ高いのは知ってたけど、まさかアクション作品でそれを応用するとはマジで発想の天才か……?と目を疑いました。

もちろんそれだけでは無く、キャラクターたちがとにかく魅力的。シーズン2まで通しで観た頃には立派な推しキャラも出来て、

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「無名街」と呼ばれるスラム街を根城にするチーム「RUDE BOYS」を束ねるスモーキー(窪田正孝)。侵入者を一瞬で葬りさる「無慈悲なる街の亡霊」(めちゃくちゃカッコいい)の異名を持つ彼が最推しなのは勿論

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鬼邪高校の村山良樹クンが大好きになりました。

「五留で一流」と呼ばれるくらいに、五回留年すればいっぱしと言われるほど札ツキのワルが集まる高校、鬼邪高校(おやこうこう)の番長を務める村山クン。ヤンキー高校の頭とは思えない甘いマスクの反面、めちゃくちゃ喧嘩に強いというギャップに萌え&燃え確定でした。ゴリゴリのヤンキー達が集まる中で比較的細身な彼が超強いっていうのが特に良く、ドラマ版一期のメインキャラクターである山王連合会のコブラと激戦を繰り広げた末に芽生える熱い友情ストーリーは必見です。

ホーリーランド野郎が大好きです

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そんな村山くんに喧嘩を売ろうと鬼邪高校の全日制に転校してきたのが轟洋介くん幼い頃に不良達にいじめられたことに対する復讐のため体を鍛えまくり、「ヤンキー狩り」が趣味になった実質二次元キャラ。

かつて陰キャ高校生だった僕も『ホーリーランド』を読んで家でワンツーパンチの練習をした事があったこともあり、

(元引きこもりだった少年が家でワンツーパンチを練習するうちに「ヤンキー狩り」として町の噂になるという漫画です。かなりハイローに通ずる部分があるのでおすすめ)

個人的に親近感が滅茶苦茶湧くキャラなんですが、こんな轟くんが周りの雑魚共を寄せ付けぬ強キャラぶりを存分に発揮。あの村山くんとタイマンで互角以上の勝負を繰り広げる熱い展開に。

シーズン2の時点では僅差で村山くんに敗北するのですが、後の劇場版になると、危機に陥った村山くんの元に鬼邪高の仲間と共に馳せ参じ、鬼邪高最強コンビが完成するという共闘展開が実現するという、オタクなら誰しもニヤニヤする展開に大満足でした。

鬼邪高好きなら『THE WORST』はマスト

ハイロー世界にどっぷりも浸かりつつも、その後あまり時間が取れなかったりとか社会人として忙しくなってしまった事もあり、ハイローから離れていた日々が続いていました。

そんな中で公開が始まった『HiGH&LOW THE WORST』。

漫画の『WORST』の名前だけは知っていたものの未読。かといってハイローは最近観ていないしな……という事で敬遠していたものの、実際に観に行ってみるとそんな心配は露知らず。

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村山VS轟の再戦から始まる時点で最高オブ最高でした。

お互いに一歩も引かない接戦の中、僅差で轟が敗北を喫すという衝撃展開から始まる展開、しかしそれだけで終わらないのが轟という男の熱さ。

ハイローワーストでは轟が現状トップを張る鬼邪高校の全日制に転校生である花岡楓士雄が来るという導入で、更に全日制の中でも並み居る強豪が頭角を現しており――と、元々濃いめだった鬼邪高校のメンツが更に強化されるという鬼邪高校推しには最高の展開。既存メンバーである村山や轟も負けてはおらず、彼らなりの成長が垣間見えるのもファンには熱い部分です。

お前らほんとに三次元か?

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今回あるきっかけで鬼邪高校と対峙するのは、幹部以外は全員スキンヘッドの最強軍団、鳳仙学園。そのトップを張るのが上田佐智雄くんです。見終わるまでトッキュウレッド=志尊淳さんだということを全く気付かなかったくらいの貫禄を見せる佐智雄くんことサッチーが率いる鳳仙学園と鬼邪高校が真っ向からぶつかり合うんだから熱いに決まってんじゃないですか……屈強なヤンキー達を束ねるのが端正な顔の良い男っていうのがとてもいい。スモーキー、村山、轟と、基本的に顔の良いイケメンが大好きな僕ですが、ハイローワーストでまたしても推しが増えました。

ハイローを全作網羅せずとも、『WORST』の漫画を未読でも、ハイローの世界観とキャラクター達を愛する気持ちがあるのであれば、『HiGH&LOW THE WORST』を観に行ってほしい。全力でお勧めできる作品でした。

偏見を捨てよ、ハイローを観よう

結局、EXILEがDQN代表に見えていたのは、単純に僕が嫌いな人種たちがEXILEを好んで聴いていたからであって、今から思えばEXILEは何も悪くない(当たり前だ)ということに気付きました。映像、アクション、楽曲のどれ一つにも妥協の気は見えず、作り手から役者まで全力を尽くした作品を生み出したEXILEの皆さんに対し、今の僕は心の底から尊敬の念を抱いています。

この時僕は、EXILEと真の意味での和解を果たしたのだと思いました。(本当にお前は何様だ?)暗黒の思春期に、一筋の光が差し込んだ瞬間でした。

「なんだよお前ら…結構いいやつじゃん」と、意外にオタクとヤンキー文化に親和性はあるのだと気づかされてくれたハイローと、凝り固まった僕の世界に新たな風を吹き込んでくれたフォロワーさんたちには感謝の言葉以外にありません。願わくばこの文を読んで、少しでもハイローに興味を持ってくれる人たちが増えると何よりです。

読んで頂きありがとうございます。ちょっとでも文章が面白いなとか、応援してやってもいいやと思っていただいた時は、おひねり頂けたら嬉しいです。