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感想 羅小黒戦記

「‪宮野真守vs櫻井孝宏(に巻き込まれた花澤香菜)」という構図の映画は何故かほぼ毎年上映されておりもはやボジョレーヌーヴォーみたいな年中行事になってるんだけど(しかもだいたいボジョレーの時期に封切り)、今年は羅小黒戦記吹替版となりました。

いや冗談じゃなく、気合い入ったアニメ映画、宮野真守が主演で二番手役に櫻井孝宏、ヒロイン花澤香菜のパターン多すぎません?
これは宝塚歌劇で例えると毎回新人公演の配役が同じみたいな状態なんですよ。あら主演またあの子なのね。上手いのはわかるんだけどたまには他の人にもチャンスあげてほしいわよね〜いやほんとあの子自体は文句なしなんだけど…みたいな(伝わらない比喩)

でも実際、気合い入ったアニメ映画に見合うだけの実力と舞台挨拶の場でオーラを放てる声優がどれだけいるかと思うと結局このメンバーになるのもわかる。見ると、やっぱ宮野真守は主演の華があるわ〜って思うし、櫻井孝宏と花澤香菜はシンプルに芝居すごい上手い。これは宝塚歌劇で例えるとどんなに話が微妙でもトップスターとトップ娘役と二番手男役が実力者の場合なんでもそれなりに面白くなるのと同じです。

ようやく本題。
そもそもの経緯をあんまよくわかってないんだけど、中国のアニメ作家が作った動画が原作で合ってます?中国版たつき監督って事??ケムリクサなの??

基本、世界観は日本の少年漫画+ジブリって感じだけど、今かよってタイミングで挟まるギャグとそのノリのそこはかとない90年代っぽさが、これは中国らしいセンスだなと思った。中国ってプリミティブなギャグ好きだよね。(すごく良い意味で言ってます)‬
食事シーンが多いのも中国っぽくもありジブリっぽくもあり。
ところで「口数の少ない天然イケメン」はアジア共通の萌え属性なんですね。わかるわかるめっちゃ良いよね。

‪ハードル上げすぎたせいもあるんだけど、ストーリー自体に新鮮味はあまりなかったかな〜。割とスタンダードなファンタジー能力バトルものでしたね。五行属性の能力も固有結界みたいなのも、ああ、そういうやつね…ってなっちゃうんだよね。完全に日本人がアニメ擦れしてるせいではあるんだけども。
故にロードムービー的な前半の方が独特で良かった。海上のシーンは絵がわりがしないという弱点があるけど田舎や街の描写は日本と似てるようで似ていない風景が興味深かったです。ファンタジー衣装のイケメンが普通に原チャリ乗ったりエスカレーター乗ったりしてんの超グッとくる。

でもそれらコテコテのオタク設定を最小限の説明で済ませてるのがリアル!オシャレ!
後半いきなりめちゃくちゃ新キャラ出てくるけど観客に全然説明されないのも潔くて好(ハオ)です。
(と思ったら映画は動画シリーズの前日譚だったんですね。ファンは既に諸々知ってる前提で省いたのだとしても映画用に無駄に説明台詞を付け足すより良い判断だと思う。)

能力自体はベタとはいえ、バトルシーンでは誰の能力がどう作用してるのかきちんと描かれてて、ただ光ったり高速で動いてるだけのインスタ映えバトルとは大違いで偉かった。カメラワークもかっこいいし。
そしてこれは岩浪先生の仕業だと思うんだけど、金属の音がむちゃくちゃカッコいいからこれから見る人はよく聴くんだ。
あと、岩浪先生は男の声が一番エロく響く音響テクを熟知していますよね。きっと変態なんだと思います(褒めてます)
ちなみに五行では木は金に剋されるはずだからなんかよく出来てるよね。私の五行属性も確か木だから金属に負けるらしいよ。お揃いだよフーシー♡

これからどんどん中国とかアジア生まれのオリジナルアニメが出てくるんだろうと思います。
でもやはり、「日本のアニメを参考に作った海外アニメ」の域は出てない印象も正直なところで、日本で見たことないような独自のアニメが誕生すると良いなあと思います。(日本のアニメが特別優れている訳でもないし)

ところでキャスト公開当時、ムゲンとフーシーの声は逆の方がよかったのでは?という説を目にしたけど、確かにビジュアルだけで見ると一瞬そう思うが役回りを考えると明らかに正解のキャスティングですよね。
ほらやっぱ、ボジョレーヌーヴォー映画は葛藤を抱えた宮野真守と思想がちょっと過激な櫻井孝宏の対立が醍醐味だからさ。

ていうか、よく考えたら宮野真守の声のイケメンと櫻井孝宏の声のイケメンに奪い合われる花澤香菜の声の少年という、なんかすごいシチュエーションの話だったな。
来年のボジョレーも楽しみです。

入場特典のかわいいステッカー。
入場特典はこれくらいシンプルで良い…色紙とか行き場に困る上に無駄に捨てにくいものより…

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