夜の音

海まで、直線距離で2.5㎞くらいの位置に寝起きしているのだけど、
海鳴り(らしき音)が聞こえる夜もあれば、木の葉一枚も揺れない静かな夜もある。

騒がしい夜は、遠くにサイレンが鳴り、それと競うかのように斉唱する近所の犬が吠え出して、
いつの間にかヘリコプターが旋回し出すので、海で事故が起きたことを知る。

物音一つしない夜にはどういうわけか音を探す。
静か過ぎると耳が尖ってきて、寝付けない夜となる。

ジンジンとする内耳。耳の中に心臓があるかのようだ。
そしていつしか音を拾うのだけど、それは、内耳の細胞が、あまりの静かさに堪らなくなって、自ら動き出すらしい。
物の本によると、ダンス細胞と呼ぶとあった。

じっとしていられなくなって踊り出しちゃうなんて、沈黙が苦手という私のような細胞があることを知った。