黒猫のさくら / 椋子

しとしとと降る雨の夜に
頬を伝う雫 隠すように
上を向いて歩いてた
苦しさにはまだ慣れないな

雨音に耳をすませば
かすかに聞こえる君の泣き声
見えたのはその美しい瞳だけ
君も一人なんだね


月を背にひらり舞う花
それは雨粒に落とされてく
二人頬を濡らしながら
身を寄せ合った 暖めあった


ほんの少し明かりがともる
君のことが分かった気がした
それでもすぐに消えてしまうの
お願いさどこにも行かないでくれ


ふわふわと体が宙を舞う
本当のこと目を逸らしてしまう
夢ばかりを見て眠ってた
そこにはいつでも君がいた
ああ

月を背にひらり舞う花を
落とす雨粒は一つとない
二度と二人身を寄せ合うことはないようだ
寂しさに気が狂いそうだ

僕のそばでまた鳴いてはくれないか
君の鼻先にそっと口づけを

月を背にひらり舞う花
雨粒でさえ明かりをともす
隠れてばかりの君を照らすように
そこにいたんだね