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長く平らなおいぬのはなし。

うちには、長くて平らなおいぬがいる。
名前はくろまめ。
通称くろっち。
今回は、うちにくろっちさんが来た時から今までの話をしよう。

先代犬ぺぃちゃんとの別れ

数年前の10月頭、我が家は悲しみに沈んでいた。
先代犬、ぺぃちゃんが14年の犬生に幕を下ろした。
ぺぃちゃんは、柴系雑種の女の子で、すごく人間が好きで人懐っこいおいぬだった。

ぺぃちゃんとお散歩


そんな彼女が9月中頃に調子が悪くなり、病院へ行き、入院したが、数日で息を引き取った。
ぺぃちゃんは私がまだ独身の頃に保健所から来た保護犬さんで、会いに行ったその日にお互い何か惹かれるものがあり我が家にやって来た。
それから私の近くでいい時も悪い時も寄り添ってくれた。
そんな大切な子が亡くなったと動物病院から連絡があった時、私は身体中の水分が出てるのではというくらい泣いた。
そんな母親を見て子どもたちも何事か?と、とても神妙な顔をしていたのを覚えている。
ぺぃちゃんが無言の帰宅をした時、まるで眠っているようで、
「ぺぃちゃん、お散歩!」
と言うと、起き上がって来てくれそうなくらい穏やかな顔だった。
それから数日は、よく覚えていない。
ただ、ぺぃちゃんが居ないのに、ぺぃちゃんの姿が家のあちらこちらに見えたりしたのを覚えている。



それから少しして、まだぺぃちゃんの散歩に行かない違和感を毎日感じていた頃、あるニュースが目に止まった。

「多頭飼育崩壊」

それが、長く平らなおいぬとの出会いになる。


早すぎる?


分かる人には分かるだろうが、県内で「多頭飼育崩壊」があり、当時全国ニュースになった。
そして、彼らは保護され、新しい家族を探していると報道があり、父が一言。
「ぺぃがおらんようになって、寂しいから、迎えられるなら迎えたい。」
と。
私と母は、
「まだ早すぎる、せめて春くらいまで…」
という気持ちだった。
しかし、父は、ぺぃちゃんとの別れに相当ダメージを受けており、辛いのもわかる。
そんな気持ちの擦り合わせをしながら数日。
我が家は、新しい家族を迎えたい方向で気持ちが固まった。

保健所へ

それからは早かった。
まず、保護団体さんの連絡先を調べ、面会の日を決め、面会日になった。
待ち合わせ時間に保健所へ行くと、たくさんのおいぬさんの声がした。
懐かしいおいぬさんの声。
おいぬさんの匂い。
とてもいい天気で、暖かい秋の日だった。

保護団体さんと会い、おいぬさんに会いに行くと、ぺぃちゃんに雰囲気が似た子が何頭かいた。
でも、こちらを警戒しているようで、ほとんどの子は吠えてきた。
そして、ある長毛の鼻が黒くてこげ茶色の子の前に行くと、こちらに興味を持って寄ってきてくれた。
ケージに「クロ」と名札があった。
「クロ」ちゃんは、私と両親に興味があるようで、吠えずに近づいてくれた。
そう、この子が近い未来の「くろまめ(くろっち)」になる子だ。

うちへおいで。

3人の意見は一致し、「クロ」ちゃんを新しい家族に迎えたいと、保護団体さんに伝えた。
それから帰宅し、家の環境を写真と共に送ったりと、「クロ」ちゃんを迎える準備が始まった。
「クロ」ちゃんは、保護犬さんなので、人に慣れにくい、脱走、行方不明のリスクも高い。
その説明を受け、リードを2本、首輪とハーネスも準備した。
そして、「クロ」ちゃんを迎えに行く日になった。

ようこそ!山奥へ

その日は子どもたちを保育園に送ってから保健所へ。
車の後ろには、新しいケージとトイレシートが積んである。
「クロ」ちゃんに会える嬉しさと、慣れてくれるか?環境が合わずに体調不良にならないか?と色々考えながら保健所へ向かった。
到着し、保護団体さんと話したあと、「クロ」ちゃんとの対面である。
首輪、ハーネス、リード2本を装着し、「クロ」ちゃんをだっこする。
ぺぃちゃんと違って軽い。
だっこ慣れしてないようで、私に必死でしがみついてくる。
ふわっとした「クロ」ちゃんの毛に、懐かしいおいぬの匂い。


この子、絶対に幸せにしなきゃ。


ぺぃちゃんの時と同じことを思った。
帰りに「クロ」ちゃんは緊張したか何かでケージの中で催しておられたので、家に着いた時には、う〇こ騒ぎになったが、まんまるおめめで首を傾げる「クロ」ちゃんにみんなメロメロになった。

…翌日、めちゃくちゃお風呂入った。


それからと今のおいぬのはなし。

最初の頃は、何もかもおっかなびっくりな彼だったが、とにかく食べる食べる食べる!!
何かを取り返すかのように食べまくっていたが、2週間もすると、食欲も落ち着き、普通の量をゆっくり食べるようになった。
きっと、ここでは自分だけの自分のためのご飯があると認識してくれたのだろう。
食欲が落ち着く頃に、自分の場所が決まった。
窓辺のソファーで丸まったり長くなったりして、くつろぐようになった。今もお気に入りだ。
暑い夏には、床で長くぺたんとなっている。
これが、我が家でのおいぬ用語「長く平らなおいぬ」だ。
お散歩も近場か裏山だったのだが、年が明け春になって暖かくなって来た頃に、少し遠くまで歩いてくれるようになった。
今も初めの頃も、相変わらずお風呂とブラッシングは大嫌い。
お風呂タオルを持ち出した時点で逃げまくるが、だっこしてお風呂へ行くと諦めて洗われる。
それと私の尻毛カットの腕がすこーーーーーーーしだけ上達した?ような気がする。先代犬ぺぃちゃんは、短毛さんだったので、おうちカット不要さんだった。

現在、くろっちさんは、ベタ甘まではなってないが、割と信頼はしてくれているように思う。
背中を任せてくれるようになったこと、それが大きい。
色々厳しい生活の中、うちまで来てくれて、一緒に暮らしてくれているくろっちさん。
そんな彼の信頼を裏切らないよう、絶対に幸せにしてやるので、覚悟するんだ、くろっちさん。

鼻になんかついてる。

おしまい。


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