見出し画像

photo session×kaori ogra

画像1

私は、人に伝えたことを よく忘れてしまう。

あのとき、ああ言ってくれたよね?

そんな風に相手が覚えてくれていて、ああ

そうかもしれないと、朧げに思い出す。

彼女に私が言ったこと。

「文章を書き始めるならば、顔をだすこと」

自分でも、忘れていたのだけれど。

律儀にそれを 覚えていてくれた彼女は、

いよいよ文章を書き始めるタイミングで

撮影をお願いしたくなったと、言ってくれた。

画像2

画像3

画像4

ポジティブな押し付けのような話でもなく

不幸自慢の話でもない、

ただ、私が経験してきたような鬱やPTSDなど

その、悩みの渦中にいる人に、伝わる文章を書きたいのだと香緒利さんは、話してくれた。

そのときに、それならば 顔を出すべきだと

即座に思ったのだった。

表情、それは、

一生をかけてつくる芸術作品のようなものだと誰かが言っていたけれど、

それは あまりに多くの情報を含むのだから。

その陰影も、その眼差しも、20代の香緒利さんには出せないのだから。

画像5

自分の魅力はユーモアだと思っていたけれど、

引き出されたのは女性性だったと、

仕上がった写真を喜んでくれた。

彼女は、3枚目キャラを演じることや、剽軽さで

繊細さや情熱や痛みを覆い隠してみたり、

その熱量を調整してみたり、

そんな工夫をしながら、生きてきたんだろう。

その役割を脱いだらどんな顔をするだろう、

私は、そんなことが知りたかった。

画像6

「不幸自慢でもなく、ポジティブの押し付けでもない」「クスッとわらえるユーモアがあること」

など、そういう匙加減が、

ペンネーム "かおりんご"の文章へのこだわり。

それは、日常に寄り添いたいという彼女の気持ちの表れ。

夜の繁華街での仕事や、街のスーパーを

職場として、選んできたのは きっと 

この俗世のなかで、この日常のなかで、"通用する"

気づきを提案すること、

人の日常に寄り添うことを選んだからではないかとおもう。 

画像7

ペンネームの かおりんごに因んで、

撮影には 林檎を使った。

仕上がりをみたら、

透明感のある白い肌と赤いリンゴから "白雪姫"

を連想した。 

だけど、どんな話だったっけ。

倒れたお姫様に王子様がキスをして生き返る

ロマンス? 

改めて読んだら、とんでもない話だ。

画像11

脚色によるが、グリム童話なんて残酷で、

美しい姫に嫉妬した妃が、毒林檎で毒殺を企み

それがばれて、

妃は姫と王子の結婚式で 吊るしあげにされた挙句

焼けた鉄の靴で死ぬまで、踊らされる、というような背筋も凍る話だった。

けれども、民話や寓話がここまで語り継がれるには理由がある。

人の潜在集合無意識に触れる話だからだ。

画像9

悲劇のはじまりは、鏡から。

この鏡は魔鏡だった。

「世界で一番美しいのは誰?」

という問いに鏡は 「妃です」とか「白雪姫です」

としか答えなかったから。

画像8

もし、この鏡が

「白雪姫は優しいし、色白だし、性格いいから

そりゃモテるだろうけど、

 妃 って、

クールな魅力があって、野心あるし、毒舌だし独占欲つよめだし、派手だけど、俺はタイプだね」

このくらい 饒舌だったら、嫉妬に飲み込まれて身を滅ぼす悲劇は起きなかっただろうとおもう。

人の魅力に圧倒されて、身を滅ぼすなんて

他人事じゃない話だ。

画像10

「よく磨かれた鏡になりなさい」

10年前に占星術の師に言われた言葉だ。

鏡には主張はない。

 鏡の前に立つ人を、ありありと映しだす。

その美しさを、その唯一無二の個性を、その表情の裏に隠された 人生を ただ、照らし返し

見せてあげなさい、

それが 鏡を磨けと言われた意味だと思っている。

 鏡をまっすぐみること、

それは、まっすぐに その個性と人生に向き合うことなのかもしれない。


画像12

小椋 香緒利さんの 物語はこちらから。

"かおりんご劇場"

https://note.com/kaoringotheater










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?