デッキを混ぜるということ

はじめに

2つのテーマを混ぜたデッキを組みたいというのは非常にわかる
しかしながら、2つのテーマを混ぜたデッキを組むというのは組み合わせをうまくしなければただのごみになる可能性を大いに秘めている。というのも、デッキのシナジーがどの程度有るのかを理解せず複数のテーマを組み合わせると、うまく動かないことが往々にして有るからである。

例えば、出張セットという言葉があるが、その言葉の意味を考えてみたい。出張セットというのは非常に少ない枚数(大体2種類6枚程度で完結する)で、妨害や展開のギミックとしてデッキのメインの動きに影響を与えず動けるカードセット、それが出張セットである。
最近の有名な出張セットだとレッドアイズフュージョンからのドラグーンなどはエクストラ2枠、メイン3枠程度で相手にかなりの行動を制約することが可能となっている。

では、これはテーマを混ぜたことになるのか?というと、個人的にはテーマを混ぜたというよりは強いカードを入れて、強引に戦える形にしたというのが答えだと思う。テーマ内でシナジーが起こっているわけではなく、只々戦えるようにそういったカードが入っているということである。

テーマを混ぜるということ

複数のテーマを混ぜたデッキというものは2つのタイプが有ると考えている。1つは少ないスロットで動くテーマ同士を組み合わせ、デッキを成立させる形。もう一つは、ステータスなどの共有できる部分に目をつけ、2つのテーマが複合した形で動くというものだ。

少ないスロットで動くという形で例を挙げると、アーティファクトはそれにあたる。非常に少ないカードで動き、妨害力が高い、それに対してこのテーマは突破力や攻撃力が足りなくなってくる。
なので、これに対して混ぜるべき要素は高い突破力の有るテーマということになる。そして、デッキを組み合わせるにあたってはデッキの中で使用する場所がかぶらないということも大事になってくる。アーティファクトはメインで使う場所は魔法罠ゾーンとなり、2枚から3枚程度が必要になってくる。逆にEXデッキはエクシーズモンスターやリンクモンスターを使わなければ枠を潰さないし、メインモンスターゾーンも特殊召喚するにあたって1箇所程度開けていれば成立する。それでいて相手のエクストラデッキからの特殊召喚を封じたり、相手の魔法罠ゾーンのカードをすべて破壊したりと、カードを選んで破壊したりができる。
もう一つの例として、PSYフレームというテーマが有る。これは手札から特殊召喚をして、相手を妨害するというテーマであり、エンドフェイズにすべて除外されるという効果をもっている。このテーマの良い点は手札誘発という形で、相手の先行1ターン目から妨害ができる。そして、エンドフェイズにいなくなるという点から、自分フィールドにモンスターがいない場合の効果を使えるということになる。これは、リンク召喚などの素材としてフィールドに残る能力が無い代わりにそのデメリットをメリットとしてどう運用していくのかということになり、そこに構築の差が生まれていくということになる。

ただし、一つだけ忘れてはならないのは、強いカードには往々にして制限がかかるということである。特定の属性しか出せなくなったり、種族の制限がかかったりもする。そういった事を考えて組み合わせを考えなければならない。

では、強い魔法を伏せれば良いのではないかという話になってくるが、モンスターが残れば次のターンの起点になる可能性があり、妨害能力は同じ程度、また、トラップメタをされても妨害が可能となってくると、妨害という軸のテーマはそれはそれで存在意義が有るのである。

1つ目のパターン、単体で成立するテーマを混ぜ合わせる形に対してのまとめとしては、

・妨害力と突破力のようにテーマの持ち味が別方向のものを混ぜるべし
・少ないスロットで動くテーマを選ぶべし
・使うゾーンが同じテーマを組み合わせることなかれ
・制約の少ないテーマを選ぶべし

である。

2つ目の混ぜ方である、ステータスなどの共通項を探して組み合わせる構築について話していく。この混ぜ方は前述した混ぜ方に比べて難易度が高い。というのも、テーマ内で完結したものを混ぜ合わせる形に対して、この形はテーマ同士のシナジーを考えて構築していくことになり、テーマ内で完結ではなく、そのテーマを活かして別のテーマとのカードとの共生を目指す形となる。

有名な組み合わせとして、召喚獣シャドールドラグマなどの融合テーマを混ぜ合わせた形がある。これらは、融合モンスターしか特殊召喚できないという制限を受けても出てくるモンスターが融合モンスターであるということもあり、安定して戦える上に、シャドールにはリバースモンスターが多く、次のターンへの布石も安定して行うことができる。これは、それぞれのテーマの特色と、組み合わせにより、様々な答えが出せるが、組み合わせるとメインのエンジン、デッキを回す要素が2つあり、より安定した展開が行え、戦えることになる。

幻影騎士団RRの組み合わせもそのパターンの一つだ。このテーマの組み合わせは、3軸4軸の軽量のモンスターを使い、エクシーズをするという点で共通部分があるといえる。そして、制約が闇属性程度であり、お互いのテーマとも闇属性であるという点もシナジーになっている。なお、公式としてもこの組み合わせを推奨しており、結果としてレイダーズナイトというRR幻影騎士団両方のモンスターとして扱い、エクシーズ展開ができるモンスターが誕生したりした。

2つ目のパターンをまとめると

・レベルやステータス、属性などの共通部分を考えて組み合わせるべし
・制約がかかる部分を理解すべし
・両方のモンスターの展開を考えるべし

最後に

1つ目と2つ目両方のパターンの要素をどちらとももっているというか、シナジー部分は少ないが、シナジーはしており、入れたテーマが少ないスロットで成立し、誘発や汎用妨害を一定数入れることができるデッキもある。というか、最近の大会環境などで見るのはそれである。単体のスロット使用数が少ないテーマを使い、手札誘発や有用な魔法罠を大量に入れ、戦う形である。現状の環境においては5回以上の特殊召喚を行うとニビルが飛んできたり、モンスターでの制圧を行うと壊獣が出てきたりと、相手の行動に対して様々な回答ができるようになってきている。そのためその妨害から逃げるために、モンスター、魔法、罠、手札誘発という複数の答えで戦うことが必要となり、結果としてそういったものが複合したテーマ環境をとっているというわけである。エルドリッチなどは少ない特殊召喚で相手のカードを破壊するといった動きが行なえるし、ヌメロンなどは4回の特殊召喚でホープゼアルを出せる。なので、そういったデッキが大会において結果を残しているのである。

デッキを混ぜると強くなる。それはある意味では正しいし理解しないで混ぜるとそれは強くはならない。なので、この言葉を正しく言えば

デッキは正しく混ぜれば強くなる

どんなカードにも存在する意味があるなんていう言葉があるが、デッキはバランスを考え正しく混ぜれば価値はあるのである。それをうまく考えてデッキを構築し、自分の思った形を目指してもらえればいいと思う。これは、ガチデッキを使う人も、ファンデッキを使う人も共通することだ。組み合わせを考えて、デッキを構築しよう

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