野津田岳人さんと宮原和也さんについて:説明書というかポエムというか、なんなのか



既報通り、野津田岳人の清水移籍宮原和也の名古屋移籍が発表されました。

トップから一貫した戦術を取っているユースの大黒柱であった選手たちであるので、トップでの定着を諦め移籍を決断したということは遺憾の極みであると言いたいです。諦めなかった選手…丸谷拓也、茶島雄介、皆川佑介あたり…が定着しつつあるので諦めたら試合終了なのでは…という気持ちはあります。

それに他クラブの主力を引き抜く形の補強が多くなったのでユース卒といえど高卒ですし入り込む余地は比較的少なくなっているでしょうが、そのわりにはかなり多くのチャンスを与えられたと思います。

ただ、一人のプロサッカー選手、個人事業主として仕事を求められることが第一ですし、広島で活かせなかったチャンスを掴んでプロとしてキャリアを積み続けてくれるのであれば、いつかどこかで縁があるかもしれません。林卓人の例は少し出来すぎですが、お互いに無事であればそういう奇跡もあるでしょう…

レンタルと言えどチームに居なくなるので、広島で活躍するという公算は低くなりますし、移籍先で活躍したらしたでもちろん先方から完全移籍で来てくれとなるので放出だと考えています。ユース卒だから帰ってくるでしょう、というのは川辺駿君や大谷尚輝君といった前例がどうなるかでわからんので置いておきます…そうだったらええんやけどな…w

というわけで、主に移籍先に向けて野津田岳人さんと宮原和也さんについてのアレを記しておきます。ここではできなかったのが残念でたまらないのですが、ええモノ持ってるのは確かなんで生かしてやったってください…



◆野津田岳人(→清水エスパルス):CWCで歯車を違えた悲運のレフティ



清水方面の皆様はよくご存じかと思いますが(2得点したので)、野津田岳人は強力な左足シュートを武器にする選手です。広島での出場ポジションはシャドウで、左足のパワーと運動量を武器にした豪快なプレーが個性であります。出場時はプレースキッカーも務めています。というところで選手としての説明はいいでしょう笑 おそらく清水ではサイドハーフでの出場になりますか、もしかしたら現時点での彼の特長自体は完全にFWなので2トップの一角の方が向いてるかもしれません。ここでは彼の移籍の経緯などを認めることにします。

広島ではシャドウの次期主軸として期待されていましたが、オフザボールの動きが思わしくなく左足を封じられてしまうため、出場機会が安定しませんでした。リオ五輪代表の常連には定着していましたが、最終予選に向けた最後にして最大のアピールの場であるCWC(2015FIFAクラブワールドカップ)で無情にも初戦で大怪我を負い、最終予選出場を断念。反対にこの大会で大ブレイクを果たしたのは矢島慎也だったのは記憶に新しいところです。

その中で迎えた2016シーズン。出場機会を得て強烈なアピールが必要であったシーズンですが、ACLで浅野拓磨との阿吽の呼吸で並み居る強豪を脅かしたもののGL敗退。リーグ戦での出場もなかったため、アルビレックス新潟への移籍を決意します。新潟では吉田達磨監督のポゼッション志向の下、4-4-2のサイドハーフや4-3-3のインサイドハーフ、4-4-2のボランチなどもやりましたが、五輪代表は落選(サポートメンバーとして帯同)、新潟はギリギリの残留争いとなり個人としても18試合2得点と結果を残したとは言い難いでしょう。彼としてもキャリア上大いに焦りがあっての移籍かと思われます。

もしかしなくても低い位置でちまちまとつなぐチームよりは、高いテンションで行ったり来たりして広大なスペースを走り抜ける方が向いている選手だと思うので、攻守の切り替えの所作は小林監督の得意とするところでしょうし、その仕込みによってカウンターの最終兵器としてブレイクしてくれれば…と願っています。そういうと「うちらも繋ぐわバカモン!」とお𠮟りを受けるかもしれませんが…w



◆宮原和也(→名古屋グランパス):次の”カズ”だったはずのマルチロール

宮原和也は広島の”カズ”森崎和幸を継ぐ最後方の司令塔として期待されていた選手です。ユースチームでは、トップで森崎和幸が担当しているボトムチェンジで最終ラインに降りてくる守備的ボランチを中心に幅広いポジションを高水準でこなし、その危機察知能力と展開の正確さを買われてポゼッション至上主義で旋風を起こした吉武ジャパンで最終ラインを務めました。

トップ昇格後は主に塩谷司の不在を埋めるマルチロールとして出場し、鳥栖の豊田に空中戦で引けを取らない強さとクレバーさを見せ、昨年の仙台戦では塩谷顔負けの豪快な攻め上がりからのゴールを記録するなどの活躍を見せていました。

今季は彼自身志していたことと森崎和幸の不調からボランチでの出場が叶い、シーズン序盤に出場機会を得ていましたが、気持ちが逸ったのか狂犬ぶりを前面に出すプレースタイルで毎回カードを貰うなど安定せず。

塩谷司の抜けた五輪期間でストッパーを務めるなど出場機会自体は増やしたものの、森崎和と塩谷司の復帰や丸谷拓也の定着、そして自身の負傷も重なり、シーズン終盤は出場機会が減ってゆきました。

第一人者を脅かすには至らずとも弱冠20歳にしてボランチとストッパーの両方でプレーできるクオリティは貴重ですし、森崎和幸の後を継ぐ試合構築能力をはぐくんでほしかったので今回の決断は非常に残念…

ただ、おりしも名古屋の監督はまだ正式発表ではないのでアレなんですが、例の風間監督ということで、かつての吉武ジャパンよろしくCBに魔改造されるのか、それともボランチで狂犬ぶりを見せつけるのか…楽しみではあります…w