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【ミキッチはいつ見てもミキッチですね】川崎フロンターレvs.湘南ベルマーレ(J1第2節)



ACL日程調整のため金曜日開催となった試合。ミハエル・ミキッチさんがねんがんのデビューをはたしたぞ。



◆試合情報


メンバー

交代

川崎:19分 エドゥアルド→奈良、69分 知念→大久保、83分 中村→阿部 

湘南:57分 岡本→ミキッチ、82分 松田→表原、88分 イ・ジョンヒョプ→野田


ハイライト




レポート

Jリーグ公式HPより

前半は川崎Fが圧倒する。大島 僚太とエドゥアルド ネットのダブルボランチを経由しながら、右から左、中央と攻撃を展開。最前線に入った知念 慶がうまくボールに絡むことで、流動的な攻撃を可能にした。13分に家長 昭博、16分に中村 憲剛がシュートを放ち湘南を押し込んでいくと、19分にはエドゥアルド ネットがミドルシュート。ディフレクトしたボールはゴール方向に飛んだが、これは湘南のGK秋元 陽太が好セーブで阻んだ。前半最大のチャンスは33分。中央で細かいパスワークを組み入れると、ボールを受けた知念が自分で持ち出しミドルシュート。これも秋元の好 セーブに抑えられたが、川崎Fが押し気味に試合を進めて前半を終えた。
 一方、アウェイの湘南は持ち味の運動量を見せて、奪ってからの鋭いカウンターでゴールに近づく場面を作るも、枠内シュートはゼロ。相手のプレッシングによってミスが増えるなど、苦しい前半となってしまった。 試合が動いたのは、56分。中村からの大きな展開から家長が左サイドでボールを受けると、中央へ鋭いクロスを供給する。これをGKの前に入った小林 悠がヘディングで合わせ、ホームの川崎Fに先制点が生まれた。しかし、失点しようが前に出る姿勢を変えない湘南は反撃を開始。66分に左サイドのCKを得ると、アンドレ バイアが頭で落としたボールを最後は大卒1年目の松田 天馬がゴール右に押し込んで試合を振り出しに戻した。

どうしてもホーム開幕戦での勝利が欲しい川崎Fは、終盤に向かうにつれて大久保 嘉人や阿部 浩之を投入して猛攻をかける。だが、ゴール前には入っていくものの、最後のところで打ち破れずに終了。対して、湘南は90分に途中出場の野田 隆之介がビッグチャンスを迎えるが、これは川崎FのGK新井のビッグセーブに阻まれ、逆転とはいかなかった。最後まで熱い戦いが繰り広げられた“神奈川ダービー”は1−1のドロー決着。ともに1ポイントを積み重ね、勝点4となった。



◆topics


選択肢を増やし”ALIVE”する

川崎フロンターレにACLの負担や負傷トラブルといったエクスキューズがあることを差し引いても今節の湘南ベルマーレの敢闘は見事であったと思います。これまでの走力に新たな選択肢を加えていく試みがある程度成功したことは収穫となるところでしょう。

PAに侵入した回数であれば川崎のほうが圧倒的に多かったですが、ボールを奪った回数でいえば湘南ベルマーレの守備も素晴らしかったですし、最終ラインから川崎ゴールにボールをつないで迫ったシーンも少なくなく、見ごたえのある試合になりました。

序盤は右サイド深い位置で岡本→菊地・イジョンヒョプの抜け出しという形が主で、家長の後ろを狙った早い攻撃で川崎ゴールに迫っていきますが、中央での展開がかなりの頻度で川崎のトランジション・ブロック守備に引っかかってしまい、川崎ペースを余儀なくされます。それでも、ペナルティエリア幅に位置どる川崎の前線4枚を5バックでしっかりキャッチアップし、中盤のより流動的に動きスペースを狙う大島僚太を松田天馬が主となってよく追いかけまわしており、シュートを打たれてもどフリーでは打たせないようにすることができていました。それを見て自然と中村憲が下がり目になり湘南のブロックをはがしていった川崎もまたすごかったですが、日和って下がりすぎずパスのねらい目をチームで共有できていた湘南の出来の良さをうかがわせます。

せっかくのアグレッシブなボールハントも川崎に引っ掛けられて逆にピンチという状態をどうにかしたい湘南は後半は秋野を最終ライン近くまで下げることで自分たちでボールを動かしやすくする展開を増やしていきました。故意かメンバー構成上の成り行きかはわかりませんが、松田と杉岡とで左サイドを突破していくことが多くなります。

川崎もSBを使ってサイドからこじ開けようという志向が強まっていき、両者1点を狙うテンションが上がったことで後半はオープンな展開が増えていきました。CKで湘南のゴールチャンスも見えてきたところで家長と小林の点で合わせたスーパーゴールが出てしまい、流れは川崎に傾くかと思われましたが、やることは変わらないとばかりに試合はますます熱気を帯びていき、同点に追いつき、試合をひっくり返す直前まで行きました。J1チャンピオンに対してアウェイで堂々たる試合をやったことは十分喜んでいいと思いますが、監督選手以下「まだまだ」と満足しておらず、大変心強いことです。自分たちがボールを持つときの攻撃はもっとやれそうなのですが、「あちらがたてばこちらがたたず」であると監督も悩んでいるようですので、どのように折り合いをつけるかが注目になってくるでしょうか。


ミハエル・ミキッチさんはどこに居てもミハエル・ミキッチさんであるということ

この息詰まる熱戦でミハエル・ミキッチさんは0-0で推移していた試合を決定づけるための交代カードとして投入されました。残念ながら交代投入される直前に失点してしまっていたのですが…w

解説の都並さんもおっしゃっていましたが、ミキッチはいつみてもミキッチ…勝利のために常に全力であることを見て伝わるようにプレーできる選手であることは湘南でも変わっていませんでした。逆に言えばこれができるからまだ引退できないと思っているのでしょうし、それが正しいことを証明するシーズンであるのだと思います。

湘南ベルマーレはハイプレス+ありえない人数がゴール前に走りこんでくるショートカウンター以外の武器として、最終ラインからつなごうとする時間をかなり増やしており、そうなるとウイングの選手はビルドアップでの逃げ場やサイドチェンジや裏抜けで崩しのスイッチを入れる役割を重要視されてきます。

サンフレッチェ広島では2対1はもとより3対1でも突破を丸投げされるなどのわりと過酷な仕事場であったので、スピードの衰えはあるにせよマークがきつくてもボールを引き受けるスキルはかなり向上させてきました。湘南ベルマーレでは試合を決める役目(突破とアシスト)をより重視されていそうです。

残念ながら今節はそういう場面をあまり作れませんでした。後半は秋野が最終ライン近くまで下がり、杉岡、秋野、松田の3人で左サイドからボールを進めることが多かったので、右サイドがかなりがら空きで伝家の宝刀であるアイソレーションをとれていたのですが、同サイドでの崩しが優先されており(彼らの視野がほぼ同サイドにのみ向けられていたのでチームの方針だったのかもしれないです)、ミキッチの欲しいタイミングでボールが来ることはあまりありませんでしたし、ミキッチからの展開もなかなか周りと合いませんでした。

それでもカウンターやセットプレーで流れてきたボールから一定数チャンスを作っていたのは流石。シュートが枠に入らないことで有名なのですが、すべて枠内に入れてきて腰を抜かしましたw 守備面でも守備の強度が少し足りず周りの選手との間に守備のムラができている場面が散見されたので、攻撃面でまずは貢献したいところ。苦し紛れのクリアや逃げのステーションパスに憤っていたのが良かったです。その調子でチームが支配力を高める役割を演じてくれればと思います。

まだまだフィットするのは遠そうでしたが、なにはともあれミハエル・ミキッチ選手の全力で敵陣を駆け抜けそして全力で駆け戻り自陣を死守する姿を見られることは何物にも代えがたい喜びでした。この先もより多くの喜びを味わえることを願って引き続き応援していきます。名古屋戦が楽しみです。


では。