職場交流活動の研究について
報告者:二瓶 哲さん
職場でなされるコミュニケーションには、報告や連絡、会議での発言、休憩時間における何気ない会話等々、様々なやり取りが挙げられます。これらを大きな括りで整理すると、フォーマルなコミュニケーション(以降、フォーマルと称します)、インフォーマルなコミュニケーション(以降、インフォーマルと称します)という2つに分けられます(加藤(1986)および仲谷・原島・西田(1994)を参考に記述)。フォーマルは仕事に直結したやり取り、インフォーマルは、雑談といった仕事とは直接的には関係のない、あるいは全く関係のないやり取りと言えます。先行研究では、フォーマルとインフォーマルの両方がバランスよくなされていることが大切であることが指摘されています。
私がこれまで行ってきた研究では、インフォーマルコミュニケーションの一形式を職場交流活動と称して、「職場メンバー間の相互関係促進あるいは職場の活気を高めるため、ひいては効果的な業務がなされるための,業務内あるいは業務外での活動」と定義したうえで、その体系化を試みました。その結果、親和的交流、儀式的交流、調和的交流、緩和的交流という4つの種類が確認されました(二瓶•田中(2021)に基づく)。親和的交流は職場メンバー同士の心理的距離感を縮めることにつながるような交流、儀式的交流は職場行事に関する交流、調和的交流はメンバー間の気遣いの要素が含まれる交流、緩和的交流は業務による緊張感をほぐすような交流と位置づけています。
研究成果が社会で活かされるようにするための取組について
研究で得られた成果が社会で活かされるようにするためには、身近に触れられるような情報内容や媒体で広く伝えていくことが有効であると考えます。そこで、オフィス家具・用品分野の大手とされるプラス株式会社ファニチャーカンパニーと連携して、2021年12月において開催された同社によるオンラインイベント「PLUS Furniture Fair 2022」にて、セミナーおよび対談がなされました。同イベントでは、職場交流活動が大切である背景、職場交流活動の種類や職場での実践のしかた等、事業組織の方々がすぐに活かせる内容を中心にお伝えいたしました。さらには、こうした情報を気軽に手に取って活用することができるよう、同社との連携のもと冊子「職場コミュニケーションヒントブック」を発行することとなりました。
今後は、同冊子を活かしながら、さらに広く情報発信を行い、あらゆる事業組織への貢献がなされるようにしていきたいと考えています。また、研究活動も積極的に行ってまいりたいと思います。
引用・参考文献
加藤春恵子(1986).広場のコミュニケーションへ 勁草書房.
仲谷 美江・原島 博・西田 正吾(1994). インフォーマルコミュニケーション評価に関する考察 情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス, 60, 45-52.
二瓶 哲・田中堅一郎(2021). 職場交流活動尺度の作成―日本における調査結果に基づく試みとして― 経営行動科学, 32(3), 91-107.
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