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先日の出来事

通勤時の電車内

あるおじさんの哀愁漂う出来事を目の当たりにした

混雑する車内で、乗車口横のスペースに立ち
人の乗り降りで肩がぶつかろうが足を踏まれようが
断固としてその場所に立ち続けるひとりのおじさんがいた

その姿は『動かざること山の如し』
まさに武田信玄である

しかし、なぜあそこまで定位置にこだわるのだろう?

もしかしたら日頃の家庭での不遇な扱いに対し
一つくらい自分の主張を貫きたいという強い想い
そんな悲しいお父さんなのかもしれない

外で飲まずに帰宅すると
妻からは「食べて来るんじゃなかったの?」と言われ
ひとりカップラーメンをすする寂しい夕食

高校生の娘とは1年も口をきいていない
会話したくても話題が見つからないのだ
やっと思いついた話題「お父さん最近LINE始めたんだよ」

・・・

返事は返ってこない
もちろん洗濯物は洗い分けされている

先月、今更ながら使い慣れたガラケーからスマホに替えたが
電話とメール以外に何をすればいいのかわからない

慣れない操作でFacebook を始めてみた

若い女性とあんなこともできるとネットで見たことがあった

早速、可愛いプロフィール写真の女性を見つけて
片っ端から友達リクエストをしてみた

あれから2週間
返事がきたのは、いかがわしい出会い系だけだった

そんな悲しいお父さん

電車の中くらい自分の居場所にこだわりたいのだろう

感動の渦の中、電車は終点の品川駅に着いた

扉が開くと同時に
おじさんに背後からピタリと密着されていたOL風の女性がそのおじさんをにらみながら

「痴漢!」と叫んで走り去っていった

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