「COCOON 月の翳り星ひとつ」を再履修(記憶がないのでほぼ初見)したんだ。
こんばんは、妖怪です。
繭期の調子が悪く(?)空想に耽ったり文字を連ねてみたり、ぼんやりすることが増えております。
そんなこんなで、今回はDMMさんでの配信も始まったこともあり、
「COCOON 月の翳り 星ひとつ」をラファエロ役/新木宏典さんのお誕生日に見たというログを残そうという試みです。
ものの見事に情緒が終わってしまった上に、ラファエロという子に感情移入し過ぎて正気を失いつつあるため、
今回は考察などは置いておいて、こちらが受け取った感情や感想などを連ねていこうと思います。
どうぞよしなに。
【以下ろくろ】
前提としまして、妖怪はTRUMPシリーズはほぼ履修済み個体です。
月星も以前履修したのですが、いかんせん記憶が飛んでしまっているので、今回はほぼ初見の気持ちで見ました。
結論から申し上げますと、登場人物全員可哀想でやるせなくて、ひたすら泣くことしかできず、語彙思考共々惨敗である。
物語としては、題材の重さはヘビー級だがさっくりしているという印象を持ちましたが、
いかんせん題材の重さがヘビー級なので、考察や穿った見方をする余裕なんぞはありませんでした。
そんなこんなで己の脳内整理を兼ねて、月の翳り 星ひとつ のそれぞれをざっくりまとめてみます。
【月の翳り】
繭期(人間で言う思春期のLv.100くらい)の吸血種を収容する施設〈クラン〉で再会を果たす幼馴染
アンジェリコ(演:安西慎太郎さん)とラファエロ(演:荒木宏文さん)。
彼らの在籍するクランでは、生徒たちの繭期が悪化の一途を辿ることが問題視されているものの、誰もその解決の糸口を見つけられないまま。
アンジェリコとラファエロの2人の関係性を軸とし、
貴族階級の中でも特別な存在・聖なる五家と呼ばれる貴族の息子たち5人が、
繭期という永遠と刹那に育んだ友情が決裂していくまでの物語。
【星ひとつ】
月の翳りの世界から3年後。
ラファエロの弟であり、人間種と吸血種の混血・ダンピールであるウル(演:宮崎秋人さん)が繭期を迎え、兄の在籍するクランへやってくる。
デリコ家の家名のため、表向きは純血種として生きるようにしてした彼の目の前に現れたのは、
同じダンピールのソフィ(演:三津谷亮さん)だった。
ウルはダンピールであることを隠さず、毅然としたソフィに「自分もそうあることができたら」と憧れと羨望を抱きながら、行動を共にするようになる。
生まれたその瞬間から、イニシアチブによる呪いと祝福を与えられたウルの結末。
そしてその結末が周囲にもたらすものとは何か。
という感じ。
cocoonは月・星どちらも、物語の伏線や叙述トリックといったものに意識を持っていかれ過ぎることがなく、
登場人物らの感情や思考、それぞれの呪いといったものを堪能することができるように感じられた。
これは個人的な感覚の話ではありますが、こういう風に新鮮なうちに提供される絶望と諦観って、
苦しみがかなり長いこと持続される気がする。
全体的な話かつ月星で比較できることで言えば、キャストパレードの異様さと崇高さというものに
とんでもない畏怖を感じたのは、星の方だったかな…(個人的に)というくらい。
全体の所感だったり、比較的冷静に語れるのはここまで。
以下はラファエロという子について、感情を爆発させていきたいと思います。
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https://theatertainment.jp/japanese-play/29214/
怪しいリンクじゃないです。
シアターエンタテインメントNEWS様による記事とお写真です。どうか見てほしい。
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ようこそ!!!!!
繭期予後不良のろくろへ!!!!!
ということで、宣言通りラファエロという子について語っていくのですが、
彼のことについて語ろうとする時、開口一番に飛び出してくる言葉はただひとつ。
可哀想……………
マジで可哀想……
彼はウルの兄にあたる人物なのですが、表面は穏やかながら厳しさも持ち合わせている
バランスの取れた好青年という感じなんですよね。
しかしながら刺々しい一面もあり、どこか近寄り難いところもある。
他者との距離感を適切に保とうとしたり、弟思いな面があったり、家に対する気持ちであったり、
そもそもの彼の特級貴族という身分であったり。
そういったものが刺々しさの理由にあるのかなど、既にラファエロという子に対するろくろの勢いが法定速度を反しておりますが、
ここで忘れてはならないのが
彼もまた繭期の真っ只中であるということ。
端的に言えば、その情緒の有り様と脳のバグり具合は深刻さを極めている。
認知の歪みと言われたこと対する思い込み、強迫観念じみた執着。
繭期は、上記で並べた彼の性質を極端に強めて表面化させてしまっている。
(相手となるアンジェリコも繭期であるため、距離感や感情がバグっているというのもあるが)
極端に他者を拒絶して孤立していったり、過保護なほどに弟の周りから他者を排除していったりするような行動。
そして父からの承認を受けたいという強烈な願望と、家から逃れ自由になりたいという叶わぬ願いの矛盾に翻弄される精神。
(少し話は逸れてしまいますが、)
彼が表面だけで見れば比較的落ち着いている・または孤高の存在や高嶺の花のように見えるのは、
これは彼の繭期が視野狭窄ともいえる自分自身を傷つけ縛るようなタイプであるからなんだろうなという想像ができる。
また、父であるダリ・デリコから命を賭してでもと課せられた「弟(ウル)を守れ」という使命や、
血盟議会に名を連ねる特級貴族・デリコ家の長男である誇りや矜持といったものに固執しているためというのも、要因として大きいとも考えられる。
(考えれば考えるほど、理不尽で報われなくて救いがない状況だな……)
作中でも触れられるように、
幼少期の温和で臆病だった彼と、クランにやってきた彼の異様とまで言える変貌っぷりは、アンジェリコを動揺させるほど。
その変貌の要因にも、父であるダリ・デリコの厳しい教育と、それによる強迫観念があると見える。
月の翳り時点では14歳、星ひとつでは17歳(でしたっけ)に成長したとはいえ、子供と大人の狭間にある繭期の彼。
到底抱えきれない重圧の中で、必死に父に認められようと、己が使命を果たそうと生きていたのが、ラファエロという子だと私は思うんですね。
父からの重圧に耐えかね且つ、弟の守護者であるという使命感から焦り必死になり過ぎて
あのクランフェスタでの凶行に及んだと思うと、遣る瀬無い気持ちになるなどしますが……
遣る瀬無い話を広げていくならば、クランフェスタで行われたアンジェリコの策略も、なんともまぁ言語化しにくいものがあるなと思います。
揺らぎ、移ろい、壁一枚隔てた表裏一体のものへ変容していく感情に呑まれた者というのは、本当に救いようがない。
それを表しているし、あの場にいた誰もが愚かで可哀想で、どうしようもない。
そんな遣る瀬無さを感じる。
優しくて賢いけれど、あまりにも不憫で可哀想なラファエロ……
強く気高く、でも脆く儚いラファエロ……
あまりにもあっさりとした最期を迎え、その眼が最期に見た父の目は軽蔑と呆れだったラファエロ……
与えられる歪な愛に苦しみ、ただただ傷付くばかりだったラファエロ……
弟が与えられた生きろという呪いと祝福を与えられず、ただその使命を果たすだけの駒として存在していたと言っても過言ではなくなってしまったラファエロ……
……
頼むから救われてくれ〜〜〜!!!
美味しいものいっぱい食べて!!!
美しいものを見ろ!!!
たくさん寝ろ!!!
好きに遊べ!!!
他者と関われ!!!
アンジェリコとウルと3人でキャッチボールでもしな!!!
(上記の全ては、こちらの勝手な願いではあるが……)
繭期を乗り越え無事育ち、順当に父とぶつかり、
愛に苦しみ運命に悶えることもなかったであろう彼は、一体どんな大人になっていたんだろうな……
美しくも残酷で、儚くあれど強か。
人と異なる生物でありながら、どこまでも人間臭い。
このcocoon 月の翳り星ひとつという作品は、
残酷劇〈グランギニョル〉の名を冠するだけあり、内外両面で人の形をとるものならではの苦しみを存分に味わうことができました。
(あくまで個人的な感想ではあるけども)
もし叶うのならば記憶をなくした状態で再履修したいなどと妄言を記し、眠ろうと思います。
以上!!解散!!
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