冷風に口付けたら


若い頃に書いていた言葉の殴り書きをたまに見に行くと結構鋭い文章が多くて恥ずかしいというか面映いというかなんともくすぐったい気持ちになることが多い


題名を見るのが好きだった
絵画や映画などの作品の題では、特に邦題と原題をよく見較べた
大抵はどうしてこう訳しちゃったかな〜と思うことが多いのだが。

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』
『たった一つのさえたやり方』
『西の魔女が死んだ』

これらを超える衝撃にはまだ出会っていない

逆も然り。邦画の題が如何様に英訳されるかもよく眺めては思いを馳せた。というかほとんどがジブリかしらね

『Spirited Away』

『千と千尋の神隠し』の英題。
私はこの作品を初めて鑑賞した時からずっと、ずっと終盤の電車のシーンに心惹かれている

惹かれるって言うのも違うな、もっと尊くて、貴ぶべき世界観
夢の中の世界ってあんな感じじゃないかしら、と思っている。

だから、ゾッとした。初めてみた時
誰かの(ここでは宮崎駿氏の)夢を覗き見るってこんなに手触りがあって、握れてしまって、ともすれば潰せそうで、

自分の思考がこの世界に抵触することが、度し難い罰を犯すかのような感覚を幼稚園児ながらに感じたことを今でも覚えている

閑話休題、
そしてこの英題。
初めて知ったとき、パッと見で精神性を感じる単語に近しいなと思ってさぁ(まぁ実際にそう)

だから、日本の人のみが感じる独特な感性だと思っていたものは、世界に共通するsenseだったんだなととても嬉しくなった


タイトルの話。
一番眺めるのが好きなのはなんと言っても音楽の題
私には小学生くらいから一つ信条があって

"タイトルの言葉が歌詞中に出てこない作品は大抵、良い"

を掲げている。

その曲が好きかどうかは別ですよ、メロディーとかテンポがどこまでも好みじゃないかもしんないし。

ただ、歌詞と、歌詞を包む題のみ作品と捉えたとき、それは限りなく私の美的感覚をくすぐる

BUMP OF CHICKENとRADWIMPSは本当にすごいなって何度も思う

『宇宙飛行士への手紙』、『supernova』、『Merry Christmas』、『GO』
どうして歌詞に出てこないその言葉で、その一言だけで、
こんなにも景色や色や音や匂いや心を感じ取れるのだろう
『Merry Christmas』とかなんなんですかね?最後のコーラスはまぁ良いとしてそこまで一言もクリスマスなんて言わずに12/24を何処までも想像させるんですよ。
そんなんできひんやん、普通。

『宇宙飛行士への手紙』についてはいつかお話ししたいね
あまりにも大きすぎる感情を10年ほど抱いているのです

この曲に出遇ってからというもの、ずっと、
人生を賭けても良いと思えるほど大切なものや人に巡り遭ってしまうことを僕は怖いなってぼんやりと思っていた
それを失うことって体を喪うことや心を亡くすことよりも辛いんじゃないかなって
まぁ今なら迷いなく言えるんですけど、出逢って良かったって

2B(そして2サビ)の歌詞にずっと心を撫でられ続けている
私のよくいう持論ですけど2Bの歌詞が良い曲好きになりがちなんですよね
あ、ただ話の腰を折るようですけど、一番素晴らしいなと思う歌詞は『ロストマン』です(^^;;

RADWIMPSについては好きだった題が多々あるんですが(『オーダーメイド』『狭心症』『マニフェスト』『寿限無』『やどかり』『シュプレヒコール』『ハイパーベンチレーション』『ギミギミック』……)
知名度的にも伝わりやすいしやっぱりなんといっても『君の名は。』の曲たちすごいよね
どうしてあの曲に『夢灯籠』とか『スパークル』なんて題を当てられるんだろう…………
まぁ本編の方に密接に結びついているっていうのは多分にあるんですけどね
あんま細かくいうと鑑賞していないかたに悪いですのでふんわりさせておきますけど、前者はこの作品の幕開けでありながら思っきしキーとなる「夢」にシームレスに繋がるタイミングでの曲ですし(でも「夢」って入ってない……!)、後者は何かの煌めきに関わる場面ですし(歌詞中に光も輝きも一切出てこないのに一度あの作品見るともうあの閃めきのことしか考えられなくなるよね)(歌詞関係ないですけどサビの「って言葉が」の譜割りが好きです)

他にも思いついたらお話ししたいアーティストたくさんいるのですけど(それこそ最近好きを公言しているかただとヨルシカの『冬眠』とかおいしくるメロンパンの『シュガーサーフ』とか)まぁまたいつか

ちなみに音楽関係ない話で締めると、最近はラランドという芸人さん(で合ってます?お笑いに疎い)のメンバーの方の架空小説の書き出しを投稿するコーナーがとても好きです
140字以内で紡ぐ小説の書き出しに対して、本当に「ぴったりな」タイトルを毎回当ててらっしゃるのですよね〜……尊敬です(『日々がありふれていく』『淡く仄暗く』『しろいながれ』この辺りがすごい。一方で『ラフテー』のようなタイトルを一瞬で冒頭に盛り込むのも「うわ!わかる!!!あるある!!!!うわあ!!!!!」となる。嫉妬しちゃうほど素敵)

今日はこの辺で
そろそろ季節も変わるっぽいですね

季節は好きです
始まってはすぐに終わるその営み
花が咲いては萎れ、また咲う
指折り数えて、やがて指では足りないほど積もって
いつか冷たくなっていく

生まれた季節をその名に冠する人は多いけど
私はどんな季節に自分が終わるのか、よく考えることがある

春がいいよな、と個人的には思う
区切りがいい
出会いと別れの季節にうまく溶け込んで
変に美化されず
星になったとか土になったとかよくわかんないものじゃなくって
花になったって思ってくれないかな

梅雨もいい
雨になりたい、水になりたい、雲になりたい、川になりたい
海にはなりたくない
広すぎる、もうあの人やあの場所に会えなくなりそう

そんな感じで。
まぁでも生きている間は大好きな秋をいっぱいいっぱい贔屓してあげたい

Bonne nuit.






追伸

ちなみに本稿のタイトルは高校生の頃に部室で殴り書いた詩の題
ホワイトデーに向けて曲を描こうとバンドメンバーで話していてみんなで持ち寄った時のです
結局ホワイトデーコンセプトの枠は別のメンバーが書いてきた曲になった
女の子が書いたのけど、2/14にチョコを渡した瞬間から3/14を心待ちにする少女の気持ちを書いていた。すごく良かったな、あれ
最終的に私はホワイトデーの曲を描ききれず、全く別の曲を提出してそれをバンドで演った

遠くに見える、想いを寄せる、あの人の家
その家の赤い屋根を盗もうと夢想する少年

そんな彼とリュックサックについて綴った詩、だった、気がする


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