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北海道が好きになったわけ20

埼玉出身の石田ちゃんは大食漢。うどん屋さんに行くと必ず替え玉を3玉して「腹八分目って言うからな。少し足りないけどごちそうさま」とのたまうくらい大食いだった。

石田ちゃんの部屋にはファミコンがあり、しかも常に何かしらのスナック菓子が常備されているので、常に誰かしらかはいる。石田ちゃんは居ないのに沢村がひとりでポテチを食べながらドラクエをやっている、なんてことも珍しくない。

石田ちゃんは高校で野球を真剣にやっていたそうで、一度だけバッティングセンターに一緒に行ったら打球音が1人だけ違っていた。でも、それも昔の話。今野球をやったら、ライトゴロどころかレフトゴロもあり得るんじゃないかと思うくらい福々しいお姿になっている。

そんな石田ちゃんはなんでもよく食べるくせに魚介類はあまり食べない。特に貝が苦手。そしてもうひとつ苦手なのが勉強。特に漢字が苦手。どちらも極端に弱い。

ある日、石田ちゃんが少し大きめのレトルトカレーを買ってきた。ハナウタ混じりに用意し始めた途端、悲しそうに言った。

「うわ、俺これ食えないや〜。なんでこんなの買っちゃったんだろう。。。」

とレトルトカレーのパッケージをじっと見つめていた。

不思議に思って後ろから覗いてみると、レトルトカレーのパッケージに大きく『具が多い!』と書いてある。

「貝が多いカレーなんて俺食えないよ〜」

おい。小学生でもそんな間違いしねーよ?

ある日、テニス部の師匠・谷中ちゃんが浦茂アパートに遊びに来た。

「なんか俺が来た時と違くね?」

とチクリンがボヤくくらい、皆んな師匠を囲んで盛り上がった。で、師匠も結構飲んでそのまま僕の部屋に泊まることになった。

と言ってもすぐに寝たわけではなく、お年頃だったので恋愛相談に乗ってやっていた。

「で、その時さぁ、ちょっといい感じになったんだけど上手く話できなくて」
「いや、でもいい感じだったらどうにかなりそうじゃねーの?」
「そうかなぁ。まだいけるかな」
「大丈夫だって。そんなの言ってみないとわかんないじゃん」

と、小さめの声でヒソヒソと真剣に話をしていると、ドタドタドタドタと誰かが走ってきて、僕の部屋の隣にある共同トイレに飛び込んだ。

「まぁ、でも、ここは少し慎重に」
【バフッ!】
「え?」
「いや、あんまり気にしないで」
【バブブブブッ!】
「え?」
「うるせーな、なんだコレ?」
【ブリッ!】
「あぁ、マジか。。。」
【ブリブリブリブリ】
『うー、腹いてー』

「プッ、シャケさん、いつもこんな音聞こえちゃうの?プププ🤣」

今まで、隣の部屋とは言え、あまり聞こえたことなかったんだけどな。

「石田ちゃんでしょ?大迫力だね🤣」
「貝にでも当たったんじゃねーの?」
「それか食べ過ぎだね🤣」

それ以来、トイレで大をする時は、俺に一声かけて、俺が少し大きめに音楽をかけてから用を足すことになった。

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