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【蓮ノ空舞台巡礼】推しと暮らす街で

コロナ禍の真っただ中に新しい職場にやってきて、SNSの更新を始めた。

それ以来、「今日の金沢はこんなお天気でこんな感じです」という発信を続けている。感染拡大を予防するために移動制限があって自由に旅行できない中、投稿を通じて今の金沢を知ってもらえたらという思いからである。お天気が悪い日が多いというけれど、どれくらいの頻度で雨が降るのか、暑いのか寒いのか、雪は多いのか。毎日の投稿でリアルタイムに知ってもらえたらいいな、それが未来の金沢旅行に繋がればいいなと思って続けてきた。

そんな試みが、奇しくも蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさんが推しの近況を想像するお役に立っているようだ、と思い至ったのは、ここ1か月くらいのこと。

ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルプロジェクトは、有難いことにリアルな金沢を丁寧になぞって、街の細部まで掬い上げてくれている。四季の風景がシンクロしているだけではなく、その場所に行ったら何を感じるか、あるいは、そもそもこんな時はどこへ行くか、みたいなところまで、実際の生活者から見ても説得力がある。街のどこかでFes×LIVEがある日に、実は同じ会場で別のイベントをやってましたーみたいな無粋なことが起こらないように配慮されている(ように見える)。

そのリアルさと同時刻性のおかげで、いつしか自分は蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブのメンバーたちと同じ街で同じ時間を過ごしているのだと感じるようになった。

そして離れた街に暮らすファンにとってもそれは同じで、「蓮ノ空のメンバーたちは金沢にいて、今同じ瞬間を生きている」と感じるならば、「今朝の金沢」の投稿は「推しがリアルタイムで生きる今」を知るよすがになりうるのだ。恐れ多いけれども。

今朝は雪が降って寒いのか、朝が弱い子は起きられたかな。近江町市場に春野菜が出始めたから、お弁当用にたけのこご飯を炊いたかもしれない。新入生たちを迎える頃は、ちょうど桜が満開だ。

金沢という街は、他と比べて街中で推しと記念撮影できるスポット(等身大パネルとか)も少ないし、ラッピングバスとかも走ってないし、コラボグッズもないし、聖地巡礼の人にとって物足りないのでは…という懸念は、観光業のすみっこで働く者として、前はちょっとあった。(もちろん、石川県さんがコラボスタンプラリーなどでたくさん盛り上げてくださっているのだけれども)

でも、いちファンとして、特別なスポットが用意されなくてもどこにいても推しの姿が「見える」街なのだ。

【聖地】というのは、何かの拠点になっているとか特別な出来事が起きたとか、重要な意味を持つ場所を指す言葉だと思う。一方金沢では、一見何の意味も持たないただの街角であっても、そこにいるだけで推しと同じ空気を吸ってることになる。なんたって、今ここで進行中の物語の中にいるのだから。

というわけで、#蓮ノ空聖地巡礼 ではなく #蓮ノ空舞台巡礼 がお題になっているのは、なるほど、このコンテンツの特徴であり本質を踏まえているなあと感心しきりなのです。


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