【想いをカタチにするvol.2】介護離職防止の必要性とは?
ぼくがなぜ介護離職防止に取り組むのか、その理由を深掘りして説明したいと思う。介護離職とは、家族が要介護状態になり、その介護に専念するために、本来の職業を離れざるを得なくなる状況を指す。これには、深刻な社会問題が潜んでいる。
まず、背景として挙げられるのは、毎年約10万人が介護を理由に職を辞しているという事実である。この数字だけを見ても、介護離職がいかに多くの人々にとって切実な問題であるかが理解できる。2016年には、国もこの問題の重大さを認識し、「介護離職者数ゼロ」を目標に掲げ、介護離職の防止に向けた取り組みの強化を図った。2023年3月には、経済産業省がビジネスケアラー、つまり仕事をしながら介護を行う人々の将来推計を発表した。2030年までには、家族介護者833万人のうち、約318万人がビジネスケアラーになると予測され、これに伴う経済損失は約9兆円にも上ると見込まれている。
問題点としては、厚生労働省の2021年度の調査から、介護離職者の55%が「もし支援制度の情報がしっかりと伝わっていれば、仕事を続けることができたかもしれない」と感じていることが明らかになっている。これは、支援制度の存在自体が十分に周知されておらず、必要な情報が介護を必要とする従業員に届いていないことを示している。さらに、企業側の対応にも問題があることが指摘されている。33%の企業が「社員の悩みが明確に出てこない」と回答しており、従業員が抱える問題やニーズに対するサポート体制が不足している実態が浮かび上がっている。また、東京商工リサーチの2023年10月のアンケートによると、企業の38.0%は介護と仕事の両立支援が不十分であり、64.5%の企業が将来的に介護離職者が増加すると予測している。
こうした背景と問題点を踏まえ、介護離職防止に取り組むことの重要性は言うまでもない。しかし、現実は取り組みが十分に行われていないのが現状である。これが、ぼくが介護離職防止に力を注ぐ理由であり、さまざまな課題に直面しながらも、この問題に取り組むべきだと強く感じているのだ。
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