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太陽が2つある星のカレンダーを想像してみて「宇宙人と出会う前に読む本」要約・所感

おはようございます。本日は高水裕一さん著書の「宇宙人と出会う前に読む本」を取り上げたいと思います。

「全宇宙共通の教養を身に着けよう」と副タイトルにあるように、宇宙をテーマに天文学をはじめ物理、科学、生物、数学等が学べる理系本です。

物理や科学が苦手な私にとって理解することは難しく感じましたが、内容としてはストーリー調の設定が秀逸で読み進めやすかったです。

簡単に言うと、惑星際宇宙ステーションに地球チームの一員として乗り込んだあなたが、そこで遭遇する宇宙人が繰り出すさまざまな突拍子もない質問に答えていくうちに、客観的な視点で自分の惑星である地球について考えていく。となるでしょうか。

宇宙で本当に必要な科学知識とは何か、宇宙的思考法とはどういうものかが、興味を掻き立てられる構成となっています。

本書の中で個人的にも、心に残ったところをまとておきたいと思います。


1.地球はどこにあるのか

知り合った宇宙人から「あなたはどこから来たのですか?」と聞かれます。この質問に対して「地球から来ました」は宇宙では通用しないでしょう。

地球は太陽という恒星の周りを公転する惑星である。学校でならった知識を用い「太陽系の8個ある惑星のうち内側から3つ目である地球から来ました」これでも不十分でしょう。

まず地球から夜空の星を観るように、相手の星から太陽が肉眼で見える距離はおおよそ2000光年の範囲と言われています。それよりも離れた星ではそもそも太陽が認識されていない可能性高いのです。さらに当たり前ですが地球から観えるおうし座は、相手の星からは同じには観えません。宇宙人に太陽系の位置を教えるには3D立体化した星座カタログが必要でしょう。

つまり、太陽系から来ました!が通用するのは広大な天の川銀河内でも極々限られた星だけなのです。では天の川銀河はどれくらいの大きさかというと直径約10万光年。そのなかには約1000億個の恒星があります。そして、太陽は天の川銀河の中心から約2.6万光年の位置にあります。半径が約5万光年なので銀河の中心から端までのおおよそ真ん中に位置しています。(都心というよりはやや郊外と言えそうでね)

さらに宇宙には天の川銀河の他に約2兆個の銀河があるとも言われています。要は恒星だけでも1000億×2兆あり、惑星となるとその数を把握するのはさらに困難を極めるのです。

2.地球はどれだけ稀有なのか

地球にとっての常識が宇宙での非常識ということも大いにあるでしょう。

・太陽が一つであること
これは地球にとっては当たり前ですが、宇宙全体の中では少数派となります。すべての恒星の少なくのも半数以上が「連星」とよばれる2個以上の星の組み合わせで恒星系を形成しています。つまり、その恒星系の惑星では太陽が2つ存在します。

太陽が2つ存在することで困るのがカレンダーでしょう。2つあるとまずどちらを日の出とするのか。どちらかが圧倒的に大きければそちらを基準とすれば良いのかもしれない。しかし、問題はそれだけではありません。先に昇った太陽が後に昇った太陽よりと先に沈むとは限らないのです。また、昨日先に昇った太陽が今日も先に昇るとも限らない。2つ太陽と惑星位置関係によっては色々なパターンがあるでしょう。

そんな星の地球で言う暦年はどうなるのでしょう、カレンダーはどう表記するのでしょう。知的好奇心がくすぐられます。(本書のなかにはイメージが載せられています)

・衛星が一つであること
地球には月という衛生が1つあります。火星は2個、木星は72個、土星は53個というように太陽系の中だけで見ても1つというのは希少であるのがわかります。

衛生が72個もある木星では、地球で言う世紀の天体showとされる皆既日食も決して珍しくないだろうことが容易に想像出来ます。

月は1つであるだけでなく、その大きさと距離も絶妙なのです。もちろん半径を比べれば太陽は月の400倍と圧倒的ですが、地球からの距離が太陽の方が約400倍と遠いため大きさも然ることながら両者が地球に与える重量は見事に拮抗しています。これが潮汐力とよばれる独特のリズムを産みます。これが生命の進化に与える影響となれば計り知れないといいます。


3.宇宙人とは圧倒的孤独である

現実的に宇宙人との交流を考えるとき大きな壁として立ちはだかるのが星同士の距離です。

地球と太陽間の距離1億5000万キロを1AUと言います。光なら8分ほどでつくのでご近所さんと言えます。火星までの距離がおおよそ0.5AUです。設定にもよりますが、有人のロケットで行くにはおよそ半年かかります。木星までは4AUであり、光なら33分で到着できます。

人類が創った人工物がどこまで遠くに行けるのか。現在その先頭を行くのは1977年に打ち上げられなボイジャー1号です。1990年には40AU離れたところから太陽系をカメラに収めた「最後の家族写真」が有名です。2022年には太陽圏を抜けて恒星空間という領域に入ったといいます。現在でも秒速17キロの速度で地球から遠ざかっており、2025年ごろまでは通信可能だろうと言われています。

ボイジャーには、ゴールデンレコードと呼ばれる地球の生命や文化の存在を伝える音声や画像が積まれています。しかし、お隣とよべるケンタウロス座の星に達するまではおよそ4万年かかると予想されています。

確かに銀河には数多の恒星があり、その何十倍もの惑星が存在するので生命がいる環境があるのは間違いないでしょう。そして、人類と同じように文明がある可能性は0ではありません。

しかし、星同士は圧倒的に離れているので通信を試しても文明のほうが先に寿命を迎えてしまうかもしれません。4万先まで人類は生存できるでしょうか。逆にこれまで宇宙人から全く音沙汰もないことが宇宙における文明の短さを示唆しているかもしれません。

宇宙で他の生命体と出会うというのは、両方ともが通信可能なまでの知的生命体に進化すること。そして、両方とも同じタイミングで文明を維持できていることが条件です。宇宙の広さと時間の長さを知れば知るほど難しいということが理解できます。

今回はまとめ上げられませんでしたが宇宙のすべても我々と同じ元素で出来ているつまり、原子の周期表は宇宙共通の教養である。太陽が2つある惑星ではどんな宗教が生まれるだろう。実は太陽も公転している。生命進化必要な地獄リズム。このあたりの話は非常に興味が湧きました。

SFではなく科学的な意味で宇宙に対する興味や関心を深めるには最高の案内書であると思います。

気になった方は是非手にとって読んでみて下さい。


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