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建設的な議論の基礎とは?「答えのないゲームを楽しむ 思考技術」要約・所感

おはようございます。本日は高松智史さん著書の「答えのないゲームを楽しむ 思考技術」を取り上げたいと思います。

学生のうちは答えのある問題に取り組んできたのに、ひとたび社会に出てからは答えのない問題ばかりでそのギャップに困惑する。これは社会に出て多くの人が、経験する課題であると思います。

人生においてもそう、答えのない問いにできるだけ後悔がない選択をその場その場でしていかなければなりません。

そのために必要なのは考える力です。

本書では考える力は持って生まれたものでなくて技術である。つまり、努力すれば誰でも身に付けられるものと説きます。その技術を紐解きし、誰でも実践できる仕組みを解説した内容となっています。

本書から学んだこと以下にをまとめておきたいと思います。



1. 答えがあるゲームからの脱却

・上司に「合ってますか?」と聞くこと

学生時代に繰り返してきた、学校や塾の先生に「合っていますか?」ときくこと。これは答えのあるゲームを戦っている受験ベースの教育の中では有効な手段でした。私達は何も疑問も持たずそうしてきました。

しかし、社会に出てからは違います。あなたにとって正解がない課題は、ほとんどの場合上司にとっても同じです。上司は答えを知ってますよ顔をするかもしれませんが、答えを知りません。

これ合ってますか?と聞くことは上司に答えのないゲームをさせて、自分は答えのあるゲームをしていると認めているのと同じなのです。

・答えのないゲームの戦い方

本書では以下の3つのルールを上げています

①プロセスがセクシー 
②2つ以上の選択肢を創り、選ぶ
③炎上、議論はつきもの

①答えがないのだからセクシーなプロセスを愚直に踏んでいくしか方法はないのです。プロセスがセクシーなのだからそれによって出た答えはセクシーなのです。(セクシーというのは魅力的とか、他者共感を呼ぶとかそんな意味合いと個人的には解釈しました)

②答えがないのだから、答えを複数創りあげて比べ、相対的に良いものを選んでいくしかありません。比較して選ぶことでなぜこっちなのかを自然と言語化できるのです。なにか企画する時に一つしか案を出さないのは、答えのあるゲームをすると宣言するようなものなのです。

③答えがないのだから、議論があることが前提です。議論がないゲームは答えのないゲームではありません。しばし、議論には炎上が付き物です。私達はそれに対して傷つくし、傷つけるかもしれないと思っています。思いすぎています。

私達は精神面でも技術面でもしっかりと議論ができるようにならなければなりません。


2.考える力 技術 示唆を身につける

考える力を付けることは、ファクトから示唆を出す習慣を身につけることと言えます。

示唆とはファクト(事実)から言えることです。ビジネス現場や会議の資料の図やグラフはもちろんですが、日々のニュースや人の行動まで身の回りにはファクトで溢れています。考える力を付けるには、そんなファクトから示唆を生むことで鍛えられます。

・示唆を身につけるための2つの口癖

①見たまま言うと  (ファクト)
②何が言えるっけ? (示唆)

まずは見たままを言語化することです。自分の言葉で言語化することが第一歩。それから、何が言えるっけ?と考えを創ります。これが示唆になります。普段からこれを意識的に行うようにします。

示唆には必ず対比が伴います。対比のない示唆はただのゴミとなります。

〇〇にも関わらず✕✕ということは、△△ということに違いない。

その場合、○はファクトでそれに対比する形で✕というファクトがあります。その関係から言える△が示唆になるのです。

・桃太郎の話(ファクト)から言える示唆

本書では誰もが知っている物語である桃太郎を例にあげていました。

初級

ファクト:桃太郎は猿、キジ、犬を仲間にした

ファクト:一人では鬼を倒せなかった(対比)

示唆:大きなことを成し遂げるには仲間が必要だ


発展

ファクト:桃太郎は猿、キジ、犬を仲間にした

ファクト:ライオン、トラなどの猛獣は仲間にしなかった(対比)

示唆:仲間は扱い易いことも大切だ

ファクトを自分の言葉で口に出し、そこに対比のファクトとの関係から示唆を作り出していきます。

3.B○条件

答えのないゲームには議論はつきものです。

B○条件(びーまる条件)とは議論の場面で身につけておくと役に立つ考え方です。

”B案(相手の主張)が○となる条件(b)を示し、その条件を否定(a)した上で、A案(自分の主張)に誘導する議論”

B○でない条件を以下に2つ挙げます。

・A○(えーまる)とは

あなたの主張を正面突破で懇切丁寧に説明していく方法です。相手があなたの恋人か家族であればあなたの論理を最後まで聞いてくれるかもしれませんが、そうはいきません。

そもそも、議論となった時点で相手はあなたとは異なる意見を持っています。自分とは異なる意見を長々と聞き続けられるような人はまず持っていないでしょう。それは君の意見で、僕の意見違う。こうなると議論は平行線です。

・B✕(びーばつ)とは

相手の意見を真っ向から否定することです。相手の意見を潰すことで自分の意見を通す方法です。何事も否定から入る、あなたの周りにも居ませんか?

相手との権威や立場が明らかな場合は高い側の意見が通るでしょう。一方でそれが曖昧な場合のB✕の行末は水掛け論であり、ケンカや炎上に発展するリスクが高いのです。

そこで登場するのがB○条件。

相手の意見をまずは聞くこと、そして相手の意見に理解を示すことが前提です。そして、相手の意見Bが通る条件bを提示して、それを否定(a)したうえで、自分の意見Aへ誘導するのです。

表現でいうとこんな感じになります↓

あなたの意見はこういうことだね、仮に〇〇であればあなたの主張が正しいと思う。けれど、△△であるから〇〇ではないんだ。

もし〇〇だったらあなたの意見は正しい、だけど今回は〇〇でなので、あなたの意見は正しくない。

まず相手は自分の意見を汲んでもらったという借りもあり、頭ごなしに否定ができなくなります。上辺だけの水掛け論にならず、議論がない建設的になるでしょう。


コツとしては相手の意見にまずは重心を置いてみること。半身ではいけません。その上でどのようなシチュエーションであれば自分にとっても○になるのだろうか。それを考えることなのです。


所感

本書読後は考える力は持って生まれたものでなく技術であるということに納得させられます。

考えるというと、悶々と時間を掛けることも必要であると捉えていましたが、これは間違いでした。スキームに当てはめて自分の考えを言葉にしていくと自然と考えが整理されます。その結果、拙い頭ながらアイディアを発想するまでの時間が短縮されることを経験しました。

議論を建設的にかつ、戦略的にとっていくための技術も学ぶことができました。コミュニケーションの大原則である聞く力、相手を大切にする力がベースにあります。その上で今回の技術を実践するとより効果を発揮するのだと思います。

興味を持った方は是非手にとって読んでみてください。





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