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事業育成の実際8

かつてアメリカのゴア副大統領が「不都合な真実」という本を出したけれど、アメリカだけでなくこの日本でも「政権に不都合な真実」という本が書けるかも知れない。

●不都合な未来

政権は不都合だと「真実」を言わなくても、民間の企業の多くはその「真実」に気がついています。
政権批判をするつもりはないが自分たちの身を守るためにはその「真実」が起こす未来について知っておく必要があります。
社会の状況が急激に変化する可能性があるのならそれに備える必要があるでしょう。
もちろん思ったほどの変化は起こらず笑い話で終わるのなら、それに越したことはありません。しかし、その予測した変化が本当に起こった時点ではもう既に遅すぎることもあります。
この国には「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、何をどう「備える」かを真剣に考えておかなくてはなりません。
政権にとって不都合な「未来」は自分たちが政権を失う未来のことだろうから、国民からそっぽを向かれる、つまり国民の生活を脅かすような未来ということになります。「そんなことはないです」と言い続けることが「不都合な真実」から目を背けることになるわけです。

●AIにも弱点はある

デジタルを使った技術革新や減りゆく人口に対する方法論としてのAI技術やオートメーション化の促進が世界中で進められています。
しかしGAFAMの没落や新興ベンチャーの頓挫に見られるように状況の速度は減速しています。
とはいえAI技術やデジタル技術はこれからもさらに加速的に使われることになるでしょう。
しかし「人員削減」のための技術は人口が爆発的に増えてゆく後進国にとっては国民から仕事を奪い、人々の格差を広げ多くの人を飢餓に導く諸刃の剣となるかも知れません。
AIをどの国も同じように使えば「オリジナリティ」が失われる可能性もあります。
知的な技術者が不足している国ではAIがそれを補足してくれるでしょう。
しかし、AIに頼ってしまえば新たな知的技術者の育成には壁になるかも知れません。時間をかけて知的技術者を育成するよりはAIを導入する方が早く経年での生産性を見ればその方が手っ取り早いからです。
方法論というのは様々な要素が絡み合っていて、成功した例はもちろんですが失敗した例も含まれています。元々理論というものは人間が作ったものですし、環境の変化までを含めると膨大な量の情報が必要になり、またその膨大な量の組み合わせでさらに多くの可能性が生まれます。
人間の良い点は「いい加減」に考えることができる事で、あやふやな可能性については捨ててしまうことができます。
しかし全てを生かすこと自体が無理ですし、臨機応変な対応というのは人間だからできる部分もあると考えます。
AIの持つ弱点や欠点については今後研究されるでしょうが、完璧なコンピュータや人工頭脳を使ったとしても人間が不確定要素を加えていく限り、プロジェクトの失敗する可能性はゼロには出来ないのでしょう。

●社会が提起する問題

人間が判断する政策がどんなに高度化した社会であっても無くならないのは、人間の持つ主観性が大きな原因であるのでしょう。しかし完全な客観性で全てのプロジェクトが動くのであれば世の中の動きは平坦になり、大きな失敗や大きな成功は無くなるかも知れません。
成功者が存在するのは世の中の動きが平坦ではないからで、その波の大きさに応じてチャンスの大きさも比例して大きくなるということです。
人が自分の身の丈に合わない大きな成功を望むのであれば世の中は平坦でない方が好都合だと考える人は多くいるのではないでしょうか?
「限界」という言葉は「物質的」なもの「エネルギー」に関するもの。「物理的」なもの。「精神的」なもの。「時間的」なものなど様々ですが、
現代ほど多くのものが「限界」に達している時代はないかも知れません。
これまで社会を停滞させた「限界」は多くの場合限界を超えるための別のインフラが必要であり、これまでは「エネルギー」に関するインフラが大きな役割を担ってきました。

●新しいインフラの出現と進歩

最初の限界を越えさせたインフラは「火」でしょう。
「火」のインフラが整うことで人類は多くの恩恵を受けました。
その時代の「火」は恐ろしいものであり、場合によっては人を殺し、住む場所を奪いました。しかし「火」を制御するインフラを整えることで、人間の生活は飛躍的に進歩し、冬に暖を取り調理をし、様々なものを加工できるようになりました。
次のインフラは「電気」でしょう。夜を明るくし、人言の活動時間を飛躍的に伸ばし、そして新しい動力を生み出しました。
しかしその次の「原子力」あたりから人は安全なインフラを作ることが困難になってきています。
元々原子力は地上でインフラを構築する種類のものではないのかも知れません。
まだまだ新しいエネルギーインフラが構築されていませんが、次の制御するインフラが「太陽」なのか「放射線」なのかこれから問題となるでしょう。
インターネットは距離を障壁にしないインフラであると言えます。現在はリアルタイムで映像をやり取りできるインフラとして「情報」にタイムラグを与えない重要な存在になっています。
AIは「知」のインフラであると言えます。
以前は「知」のインフラは書物でしたが、AIは場所と時を選ばず使用することができます。人間の頭脳がランダムな存在であるがゆえ、正確さ、タイムラグ、安定性を「知」に与えた意味は大きと言えます。
しかし、インターネットやAIなどのインフラは信頼性を操作することによってプロパガンダに利用されたりします。

●人間そのものもののアップデートは避けられない

様々なインフラを活用するためには「人間」そのものがそれらのインフラから得られた情報を正しく理解し使いこなさなくてはなりません。
インフラが整えば暮らしは便利になると人は勝手に想像しますが、インフラを利用する人間そのものがインフラから得られる情報の信憑性や正確さ、背後にある意図などをきちんと判断する必要があります。
最も重要なのは客観性と情報が与える影響について予測する力でしょう。
その点においては人間そのものがアップデートして様々な国の人々が同じ価値観を共有する必要があります。
世界中に同等のインフラが整備された場合、国を統治する支配者にとって不都合な情報が多く共有されてしまうことになるでしょう。
ですから、専制国家ではインフラが整備されない方が都合が良いわけです。
それでも情報はやがて均一化され整備されるでしょう。
国家を成長させるためには情報のインフラはどうしても必要だからです。
かつては情報は「隠す」ことが前提であり、そのためにスパイ活動が蔓延り、国民は騙され、プロパガンダが容易に行われてきました。
しかしデジタル技術を誰もが平等に使えるようになればプロパガンダは容易ではなくなり、世界中で同等の情報が共有できるようになります。
「真実」に主語はなくなり、不都合や好都合といった形容詞は必要なくなります。
そこから初めて「人類」の本当の価値が問われる時代が始まるのかも知れません。

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