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事業育成の実際13

●コンサルティングの終焉

新卒生の希望する就職先のランキングの上位に「コンサルティング会社」が存在しています。
私の文章を読んでいる方たちの中には私がまさしくコンサルティング会社の人間であるか、あるいはコンサルティング会社を志望する人間であるのではないかと思っている方達がたくさんおられるのではないかと思います。
私は企業や事業をサポートしたいとは思いますが、それに対して課金したりそれ自体を生業としているわけではありません。
もちろん企業を成長させるための学習をしながら実践もしていることは確かです。
まず間違っていると思うのは「コンサルティングには支払うだけの価値がある」という考え方です。
それは専門の教育を受けた、あるいは一定の経験を積んだ者しかコンサルティングが出来ない、という考え方の上に成り立っています。
中小企業診断士やMBAを取得した人にしかコンサルティングが出来ない、あるいはそういう知見を持った人物や組織のアドバイスを受けなければ状況を改善できない、売上を上げる事ができない、という呪縛に囚われているのではないかという事です。

●コンサルティングに必要な知見はどこででも手に入る

私の中ではコンサルティングに課金する必要はもうすでになくなっていると感じています。それは中小企業に必要な知見に関してはほぼ無料で手に入れる事ができる社会インフラがすでに存在しているからです。
情報の有料化自体がすでに困難になってきているのではないでしょうか?
現在でも有料のコンサルティングサイトが乱立しています。
しかし、彼らももうすでに知見の有料化に関しては限界に来ていると感じているはずです。ネットを通じて行なえば知識の取得はほぼ無料あるいはごく少額でできる時代になっているという事です。Web上には情報が溢れていて、情報の選択能力が優れていればセミナーや学校の存在意義はほとんどなくなっていると言って良いでしょう。

●情報を得ることよりも数年後、10年後の立ち位置を目標化する

基本、方法論を先に学ぶのではなく、到達するべき目標を定める方が先でなくてはならないと考えています。
方法論はその「目標」の質や大きさ、置かれている「位置」によって変化します。
方法論が固定されてしまうと「目標」そのものが限定されてしまうことになります。コンサルティング会社のセミナーや教育機関での学習はある一定の目標に対する方法論の学習に限定されてしまいます。
マンツーマンでその事業体が抱えている問題や目標に応じて方法論を選択していくならば、刻々と変化する「状況」に対応して方法論の方も臨機応変に変化させる事ができます。事業の内容や方法論によって直面する問題も解決方法も違ってきます。 
コンサルティング会社のセミナーではほとんどの場合成功事例の紹介で終わっています。大切なのは成功したことそのものよりも、「なぜ成功したのか?」という理由で、「成功する」にも様々な「成功」があって、その事業者がどういう「成功」を目指したのか?そのためにどういった方法をとったのか?どういう問題が起こったのか?などを検証して自分たちの事業に当てはめて考える事が大事だと思います。
3年後、5年後、10年後の目標を決めておくことで、その目標に到達するために途中どういう過程を通りながら、何を改善し何を手がけてゆくべきかを考えなけえばいきなりその目標に到達することは出来ません。

●不死鳥は泥臭い

業績が悪化していてそれを回復軌調に乗せるのは並大抵のことではありません。
良くドラマで落ちぶれた会社が復活劇を果たす時には、まるで奇跡のように投資家や助けてくれる金融機関が現れたりしますが、そんなことは微塵も期待してはならないでしょう。
事業が窮地に陥るのは大抵財務絡みの事案です。
華々しい復活などなく、泥だらけになりながら金融という得体の知れない存在に立ち向かわなくてはなりません。
その会社の経営者の意気込みはもとより、経営計画書にある将来の売上の数字さえ金融機関には意味のないものとなります。
彼ら金融機関が査定の対象にしているのは現在までの「利益」に他なりません。
売上が200%に伸びていようが利益が伸びていなければ彼らは評価しようとは考えていません。
私たちの事業は開始してからまだそれほど時間が経っていません。事業そのものは3年。そして法人となってからはまだ数ヶ月。つまりまだ一期目も終了してはいないということです。
すなわち私たちの事業はまだ評価を得られるだけの期間を経過していないということです。

●不況はまだ止まってはいない

ここに来て海外からの旅行客が大幅に増え始めました。
その理由には大きく三つあります。
一つは利上げをしていないおかげで諸外国が大きなインフレになっているのに対し、の本のインフレ率はそれほどでもない。
二つは円安によって日本の物価がさらに安く買い物や宿泊費を安く抑えられる。
三つ目は日本で安くブランド品などを買い込んで海外で販売すれば、価格差によって大きな利益が得られること。
インバウンド需要は大きなチャンスではありますが、その期間はごく短いものになると考えられます。事業そのものの有効期限は半年程度であると考えた方が良いでしょう。売上に翳りが見えたならすぐに撤退する勇気を持ちタイミングを誤らない事が重要です。
私たちの立ち上がったばかりの赤ん坊の法人をこの後やってくる不況に備えてどうやって育てて各機関の信頼を得る事ができるのか?これはその短期間の間に評価に足る業績を上げることではありますが、画期的な売り上げを上げることではなく、しっかりと経常利益の出せる体質づくりをすること。
●仕入れや経費を見直すこと
●原価率を下げて利益幅を上げておくこと
●掴んだリピーターをきちんと囲い込み購買率を確保すること
●債務を整理し、減額しておくこと
●人員を増やすことより人員の適正な配置によって生産性を上げておくこと

つまりは企業としての体質を強靭にしておく事が必要です。

●不況に入れば長引く

これから起こる不況は世界全体で始まります。
経済の根幹に当たる部分が変化しなければ
全世界の成長は止まることになるでしょう。
またこの中から新しい産業が生まれ育つにはまだまだ時間がかかると思われます。
また事業内容をできる限りインフラに近い商品や業態にしておく必要があります。
つまり「なくなると困る」と思わせる業態への転換が必要になります。
「医療」「交通」「輸送」「燃料」「服」「食料」「住宅」etc.
その中でもより生活に密接に結びついていて切り離すのが難しいエリアの事業に変換する必要があるでしょう。
自分たちが行なっている事業の延長線上でそれらのインフラに近いものを選択し成長させておくことが、生き残り、成長できる要素となることは間違いありません。
不況が長引けば人々は自分たちの生活と関連の薄いものから順に切り離し、使わなくなってゆきます。最近では「代替え品」の新しい材料などが使われることも多くなりましたが、「代替え品」を使うよりも「使わない方法」を考える方へと人々は動きます。
ただし、使わない選択の中で人々は自分なりのファッション性や贅沢感を求め始めます。例えばシンプルなエコバッグから美しいエコバッグへ、カニツアーから地魚へ、フランス料理のフルコースから家庭内で出来るコース料理へ、などのようにです。かつて家庭の主婦が誰でも持っていた「買い物かご」は「ビニール袋」に代わり、そして「エコバッグ」へと代わりました。ここから先はどう変わるのでしょうか?そこに新しい需要のヒントがあります。
必要性の中から別の付加価値を生み出してゆく。
それが長引く不況の中で生き残ってゆくヒントとなります。


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