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事業育成の実際16

●小規模事業者が世界大不況にどう立ち向かうのか?

米国の銀行破綻をきっかけに世界に大不況が訪れようとしています。
この不況がもたらすものが何なのかをまず把握しておかなくてはなりません。
ウクライナの紛争やコロナウイルス感染症の拡大がこの不況の最大の原因だと考えている方は多いと思いますが、実際そうなのでしょうか?
私はそれが最大の原因ではないのではないかと考えています。
米国は深刻な景気の後退を避けるために利上げを行い、その結果インフレを起こしました。
問題はそれらの環境の変化が、まだ脆弱だったデジタル系スタートアップの成長を妨げ、多くの投資家が資金を引き上げることで、スタートアップのバブルが弾けてしまったことです。
成長企業の芽が摘まれ、銀行に眠る資産が引き出され、結果銀行の経営を圧迫し金融破綻を招いたという構図があります。

●中小事業者に襲いかかる現実

コロナによる制限が解除され、多くのインバウンド客が来日しています、
コロナ前のような活況を誰もが感じていることでしょう。
円高への移行が止まり再び円安傾向が強まることで、いわゆる「日本買い」が加速すると考えられます。中国や欧米各国、さらに中東、グローバルサウスの新興国にとっては「日本買い」を進めるためには「円安」である方が都合が良いのです。
「円安」の現象にもさまざまな思惑が関係していると考えるべきでしょう。

円安とはいえ比較的物価や景況感の安定している日本への進出や日本企業が作る製品は海外の企業にとっては魅力的に映るのです。
しかし、日本の不動産やサービス、商品価値が上がれば「円安」には歯止めがかかり、やがて「円高」に動くことも考えられます。

自国が不況に陥れば「円高」になった日本は旅行者には魅力を失い、インバウンド需要にも歯止めがかかるでしょう。
以前コロナ感染症が蔓延した時のように急激にインバウンド需要が落ち込むことも考えられます。
このような急激な景況感の乱高下は企業の運営方針をぐらつかせます。

●まずは防衛し、そして投資する

インバウンドに頼った業態の場合は素早く撤退できる体制を作っておく必要があります。コロナでインバウンドが急激に減った時のことを思い出しましょう。
今は先行投資をせず、以前先行投資した資本とコロナを乗り切るために受けた債務を縮小し整理する時期に来ています。
好調なインバウンドでの業態は大幅には拡大するのではなく、生産の効率化を図るべきで、将来回収出来て生産効率に寄与できる設備にのみ投資を限定し、不動産などの大型投資は状況を見ながら慎重に進めるべきでしょう。
必要な融資額はできる限り絞り込み、最低限の融資額にしながら最大の企業生産性と仕入れ額のバランスを考えて経営をしなくてはなりません。

景況感に明るさが戻る兆しが見え始めた時に効率的に投資ができるように、今の好景気感のある間は貯蓄に専念をし、投資のタイミングを伺いましょう。
景気が回復してからの投資では回収する前に景気が後退してしまいます。

●以前の景況予測は覆る

これまでコロナ感染症の終息とともに景気は上向くと考えられていました。
しかし、実際には景気が上向くのはもっと後になると考えられます。
本来は2023年後半には景気が上向くと考えられていましたが、実際には2024年後半にならないと景気が上向く要素が少なすぎます。
2025年には大阪万博が開催されますが、問題は大阪万博の閉幕後にあると考えられます。
大阪万博に時点で日本企業や状況を値踏みする多くの外資系企業が流入するでしょう。万博で始まる海外企業とのマッチングの機会を上手く活かし、我慢して温存していた資本をどのように投下するかでマーケットを大きく拡大できるか、自社の認知度を拡散できるかが決まってゆきます。
日本国内の景況感が好転するには少し時間がかかるでしょう。
2026年が日本の企業が生き残り成長出来るかどうかの端境になると考えています。
いずれにせよマーケットを海外まで広げることの出来る下準備をしておかなくてはならないでしょう。
国際商標の取得。海外への商品の輸送に関する法律や制約、どの地域か国に対してアプローチをするのかという方針。各国からの受注に対する対応など、企業としての体制を整えておかなくてはなりません。
中規模の企業が海外に進出してゆくのは多く見受けられますが、小規模の事業者が海外に出てゆくには大きな投資をせず、コンパクトな体制づくりが必要になります。
まずはJETRO(日本貿易振興機構)などに相談し、何が必要なのかを確認しましょう。さらに中小企業庁や経済産業省による海外進出に関する助成、補助などの確認をしましょう。
補助金を使えば現地調査のための渡航費や宿泊費などの経費も補助を受けることができます。
これからの事業の拡大や展開について海外市場から目を逸らすわけにはいかない時代になってきます。
官民揃ってそこに突入してゆくのであれば、小さな民間の零細企業がどのようにして戦えるのかを常に考えておく必要があります。

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