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事業育成の実際15

●組織の構築

企業を立ち上げ成長させるためにはまず、組織を構築してゆくことが大切です。
組織の成長にとって一番大切なものは何でしょうか?
創業時は事業を大きくすることだけに注力しがちになりますが、私たちの組織は急激な成長を望むよりもどのような時代にも生き残るための布石となりたいと思っています。
これまでのピラミッド型の構造ではなく、コアとなる拠点を要所要所に作り、それぞれが独立性と特徴を備えながら、しかも相互に協力し合える体制を整えようとしています。個別に経営能力を備え、その上で繋ぎ合わさることで全体としての大きな方向性を持ち、それぞれも自分たちの特色を活かす事ができる組織づくりは、これまであまりなかった手法かもしれません。
いわゆるフランチャイズ形式に似ていますが、各店舗の独立性をある程度保ちながら、全体としての方向性はブラさない必要があります。
それは都心型の中央集中型の組織が限界に来ている事が背景にあります。
全てのものを都市圏に集中させるのではなく、地方の特色はそのまま残しその特色を生かした商品を全国で認知、購買していただくという事です。
これまで、地方の商品は地方で消費をする「閉じた経営」が多かった(特に食品において)ですが、地方で製造し、地方に足を運んでもらって地方にお金を落としてもらうのは自治体としては「地方財政」を潤わせることになりますが、むしろ企業が成長するためには販路を拡大してマーケットを大きく育てる方が理にかなっています。製造は地方で消費は全国(世界)マーケットで行える企業体制を整えるという事です。

●不況下では上からの圧力が強い

景気が後退すると大型量販店では利益をいかにして確保するか?という事に腐心を始めます。
もちろん組織的な改革やシステムの改良、店舗のリニューアルなど様々な方法で売上と利益率の改善を行いますが、私たち下請け企業には自分たち以上の要求を突きつけます。
これはどの業種でも同じ事が起こり、私がグラフィックデザイナーが主業だった頃にはクライアントは支払い価格の引き下げ、未払い、現金から手形への変更など様々な手法で利益を確保しようとしました。
現在は法律で簡単には下請けに対して価格の引き下げの要求などは行いにくくなっていますが、現実には売上目標金額を引き上げてその金額に達しなければ取引そのものや機会を喪失させるような事が起こります。
前回の目標額を達成したとしてもその次の目標額を引き上げてプレッシャーをかけてきます。

●クライアントも下請けもエンドユーザーこそを意識するべき

マーケットを決めるのは製造者でもクライアントでもなくあくまでも「エンドユーザー」なのだということを意識するべきでしょう。
下請けに努力を求めたとしてもクライアントがエンドユーザーから目を逸らしていては、下請けがどんなに努力をしても売上も利益も伸びることはありません。
エンドユーザーは思っている以上に私たちが何を目指して何を提供しようとしているかを見ています。
かつてのように「価格帯」やCMなどによって作られた「架空のイメージ」ではなくもっと本質的な社会性やその商品の存在意義について見極めるようになってきているのです。
もちろんクライアントがどこを向いて事業を展開しているのかも常に吟味しており、口だけの綺麗事は見抜かれてしまいます。
しかし、エンドユーザーにとって「推すべき存在」であるメーカーや商品に対しては惜しみなく投資をし、育てようとします。
私たちはファンユーザーにとって「推すべき存在」になるべきであって、「推される」事によってクライアントに対しても外圧が高まって、私たちを選ばざるおえなくなると考えています。
私たちが成長する最大の力は「ファンコミュニティー」の力であると言えます。

●コンテンツマーケティングは売上のためではなくコミュニティ創造のため

様々なコンテンツ「ブログ」「映像」「動画」「SNS」からECサイトなどに連携し誘導する『コンテンツマーケティング』の手法が様々な業種で使われ始めています。
ともすればコンテンツマーケティングはユーザーのECサイトへの誘導による売上の拡大の手法と取られがちですが、本来は前述の「ファンコミュニティー」の創造と育成に使われるべきものであると考えています。
もちろん「ファンコミュニティー」を育てることによって最終的には商品の販売につながるわけですが、「販売促進」という考え方を主体に考えるとそれぞれのコンテンツがかつての時代のように極端な表現のプロモーション化をされ、情報の押し売りと強引な誘因に偏ってしまいます。
今後外的環境や経済状況の変化が大きくなる時代においてはファンコミュニティーとの結びつきが強固でなくては簡単にエンドユーザーが離れてしまいます。
ユーザーとの信頼関係を作り上げるには強い印象を残す極端な表現の単純な告知よりも、粘り強く丁寧に自分たちのパーパスをいろんな方法で発信し続けるしかありません。
時間はかかりますが、そうやって育て上げたユーザーとの信頼関係は簡単には壊れず、長期間にわたり、さらには世代にわたって強いファンコミュニティーの構築につながってゆきます。
そうやって作り上げたブランド像は安定した利益を企業に還元します。不況時に強い企業を作り上げるのなら私たちがユーザーにとって信頼に足る存在であることを実直に伝え続けることが大切です。


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