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近未来の話をしよう-30

ある学者がアメリカの終焉の話をしていた。
アメリカは現在も超大国であるが、自国の利益を守るために手段を選ばなくなっていることはロシアとあまり変わりないように見える。

大国であることは資本や資源の観点からは有利に見える。しかし、世界経済の変貌は必ずしもそれが有利とは限らないことを示し始めている。

元はアメリカが生み出したGAFAMはテクノロジー系の企業も含みながら、全ての企業はデジタルソフトへと変貌を始めている。AIを使った様々なDX化を初め、メタバースやビットコインなど仮想経済の発達。それが実経済にもたらす影響などを考慮すると、これまで経済の根幹を支えてきた資源や資本、エネルギーの存在は矮小化を始めている。

逆に物質経済の脆弱な国にとってはチャンスかも知れない。

デジタルテクノロジーが経済を動かす比率は拡大し、人的資源こそが国家経済の根幹を成す時代が出現し成長を始めている。

「人的資源」に関しても官僚、事務方、閣僚など国政に関係する分析・構築型人材よりも、柔軟性があり発想力のある変革型人材とそれらの人材を育てる育成システムを持った組織や国が成長する時代になりつつある。

もちろんそのためには教育の仕組みを変える必要がある。アメリカは教育に関しても最先端を走っている。しかし、アメリカに住む人々が等しく高度な教育を受けているわけではない。一部の富裕層が恩恵を受けているに過ぎない。

これまでの国力を考えるのなら一部の限られた人々が高度な教育を受けて基幹産業を牽引すれば良かった。しかしこれからは産業や事業体の多国籍化が進み、マーケットは世界中に広がる。以前のように国の政策としての産業育成だけでは追いつかなくなる。むしろ民間レベルや教育機関が自助努力によって教育のシステムを作り提案してゆく時代になった。

時代に対応した教育システムと時代を作り上げる人材の育成こそが必要になり、それに正しく反応できる教育機関が重要となる。

過去に学ぶだけでは変化のスピードには追いつけない。そして教育を与えるだけでは継続できない。常に時代の先端教育を現場に反映し、教育の段階からそれらを事業化し、資本を生み出さなくてはならない。これまでのように被教育者から資本を搾取する時代は終わった。教育そのものが事業を生み出し、新しい事業体と並走し育てながら収益を生み出す構造を作らなくてはならない。

これまでのスタートアップ事業へ投資する時代ではなく、国や自治体が教育の受け皿を提供し、その中で事業体を育成し、収益を反映しながら次の事業にフィードバックする。

先進国であっても、国が搾取を続け民衆に投下しなければ成長を続ける事はできない。アメリカの終焉は資本主義を重視するあまり、国益を生み出す事業体のみを庇護し資本を投下してきたことで全体として国力を上げることができない状況に陥っている。それは日本も同様で、アメリカは基幹産業であるエネルギー産業、日本は基幹産業である家電産業と自動車産業に今も資本を投下し続けている。

しかし、それらはもはや基幹産業ではなく、次の新しい成長産業は国家の庇護を受けず、むしろ既存のシステムに対して対立構造を生み出している。新興国でも今後は同じことが起こるだろう。ただし、以前のようにGAFAMのように大資本の特定の事業体だけがシェアを独占する時代は終わる。多くの小さな事業体が乱立し、基本のシステムを共有することによって産業界を構成するようになる。資本の投下も分散し、どこかに巨額の投資が投下されるのではなく幅広く新しいシステムを提案できる事業体に分割投資されるようになるだろう。

現在台頭している事業体はソフト面での利便性や価値を生み出しているが、人がどうしても必要なリアルな暮らしに対する生産性が低い。国家の力はこれからは投資のバランスで評価される。そしてそういった意味では人の生活に直接関連性を持った一次産業はこれからそれらの事業体の中で最も重要視されるものの一つとなるだろう。

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