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第9話 バッガルー

動物生態学者のアーレブナクは、古代地図にさえ載っていない特別な場所にやってきた。目の前には、彼女が知る現代とはまったく異なる景色が広がっていた。木々が生い茂る森と広大な草原、そしてその間を跳ねる数多くのカンガルー。彼女の心は冒険の予感に高鳴っていた。

神秘の布

アーレブナクがいつも身に纏うベストは特別な衣服であった。これはカンガルーとバッグを掛け合わせたデザインのもので、彼女がどのような状況にも適応できるように工夫されていた。形を自由に変えられるこのベストは、秘宝のヘンプを使って織り上げられていた。大麻を原料として作られたヘンプはその耐久性と軽さから、どんな厳しい環境でも彼女を守る最高の素材だった。

日本神道と切っても切れない関係がある大麻は、日本の神話にも登場し、その力を発揮してきた。現代ではネガティブなイメージを持つ植物であるにも関わらず、アーレブナクの住む地下都市OTOYKでは、この植物の持つ力は広く生活に取り入れていた。

カンガルーとの出会い

アーレブナクがタイムマシーン「EMIT EFIL号」に乗り込んだのは、この古代の秘密を解き明かすためだった。伝説によれば、この地には特別なカンガルーが生息しており、その有袋類から大麻の起源に関する手がかりが見つかるというのだ。彼女はその証拠を求めて、時を遡る冒険に出発したのだった。

森を歩くと、彼女の目に奇妙な光景が飛び込んできた。巨大なカンガルーが、その袋の中に大麻の葉を抱えていたのだ。アーレブナクは驚きつつも、静かにそのカンガルーに近づいた。カンガルーは彼女の存在に気づくと、まるで待っていたかのようにその場に留まっていた。

伝説のおおぬさ

「こんにちは、旅人よ。」カンガルーは突然、人間の言葉を話し始めた。アーレブナクは驚愕したが、すぐに冷静を取り戻し、カンガルーの言葉に耳を傾けた。「私たちはこの地で長い間、神聖な植物を守り続けてきた。ここでは『おおぬさ』と呼ばれているこの植物は、この世界とあの世界を繋ぐ橋だ。君がその力を理解し、正しい道に導いてくれることを願っている。」

カンガルーの言葉に従い、アーレブナクは更に奥地へと進んで行った。そこには、地下都市OTOYKでは見ることのできない、美しい景色が広がっていた。大麻(おおぬさ)の葉が風に揺れ、独特の香りが漂っていた。アーレブナクはその場に立ち尽くし、自然の力に圧倒された。

彼女はカンガルーから教えられた通り、大麻の葉を慎重に収集し、それを持ち帰ることを決意した。この植物は世界に新たな希望をもたらすに違いないと確信したからだ。彼女は再び「EMIT EFIL号」に乗り込み、現代へと戻る準備を始めた。

神秘的な力

タイムトラベルを終えたアーレブナクは、地下都市OTOYKに帰還するとすぐに、自らの冒険を通じて得た大麻の持つ神秘的な力を元に、新たな社会の構築を目指した。初めは彼女の言葉を信じる者は少なかったが、彼女が持ち帰った大麻(おおぬさ)から作られたヘンプの奇跡を目の当たりにすると、人々は次第にその価値を認め始めるようになった。

彼女の冒険は、未来への希望と、新たな可能性を示す道標となったのだ。アーレブナクは、古代で見つけたカンガルーと大麻の秘密を、現代の世界に活かし続けた。彼女の物語は、次の世代へと語り継がれ、地下都市OTOYKの新たな伝説となった。

※ この物語はフィクションです。