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誰もが自分の物語を発信し合える豊かな社会を目指して ーバリアフリーチャレンジの全体像ー

法律を武器にして当事者が社会参加に向けて要求するのは障害当事者の姿勢としては望ましくないと私は考えています。障害者になったからこそ生まれた豊かなコミュニケーションを社会で生きる中で私は経験してきています。そこで感じたのは、「障害者=弱者だからしてもらう側」という固定観念に囚われず、障害者側もできることがあれば能動的に相手に関与する、という姿勢がとても大切だということ。ーNPO法人Gift 助成金申請書 「法人の存在理由」よりー

22歳。ある青年は身体に障がいを抱えました。

仕事も恋も何もない。当時、彼は「暗黒の20代」を過ごしたと感じていました。

30歳を超えサポートを受けた恩を返すためがむしゃらに頑張ります。

しかし、それでもなかなか思うような結果は出ませんでした。そんな彼はある時、看護学校で発病後の経験を語ってくれと依頼されます。

経験を赤裸々に語り、「私の物語り」が必要とされていることを知り、島本昌浩さんは「バリアフリーチャレンジ」としての活動を開始するに至りました。

バリアフリーチャレンジではその人にしかない物語りが人の行動を変える影響力を持つと信じ、メルマガを始め、イベントやHP等で情報発信を行っておられます。

彼の活動には芯があり、情熱がほとばしるのが感じられます。

今回から3回に渡って私たちGiftとして助成金を交付させていただいたバリアフリーチャレンジの魅力をご紹介させていただきたいと思います!

※写真左の男性が島本さんです。理事長小山と僕と3人での写真で恐縮です笑

バリアフリーチャレンジのミッション

- 「身近に障害者がいないけど、どんなことに困るのか具体的に分かった」 -


バリアフリーチャレンジは前述のような島本さん自身が持っている歴史から生まれた価値観に基づいたミッションがあります。

それは誰もが自分の物語を発信し合える「豊かなコミュニケーションに満ちた暮らしやすい社会」を実現すること。

島本さんは自身の物語りを語ることで次のようなフィードバックを頂いたそう。

「身近に障がい者がいないけど、どんなことに困るのか具体的に分かった」

触れられる距離に障がいを持つ方がいないとなかなか見えてこないことを島本さんが赤裸々に開示することで周囲の人々が気づくことがあります。

僕たちが誰かを思いやることができるのはその人の息遣いや今の気持ちを想像できるからかと思います。そして、その想像力が欠いたまま、形式的に配慮しているふりをしてはいけないと僕は思うのです。

それを感じたのは彼が助成金の申請書に記述した次のような文章です。

「若いのに大変ね」「気の毒に」という私の主観とは異なる言葉をかけられることも多くありました。非障害者にある「障害者はかわいそう」あるいは、こちらは普通にしているだけなのに「頑張っている」と見られる。そんなある種の常識に私は違和感を覚え、一石を投じようと自分の実体験や当事者自身のリアルを知らせる情報発信に注力してきました。

少しドキッとする部分がありました。心のどこかで彼が違和感を覚えるようなある種の偏見は僕の内側にもあるのではないかと。街中で車椅子に乗る方を見るたび僕は彼のこの文章が頭をかすめるのです。

※島本さんが実際に執筆している記事の中身を先に知りたい方は一番下へ

バリアフリーチャレンジとしての社会課題への取り組み

ここまでで既に感じておられるかもしれませんが、バリアフリーチャレンジはある種の文化的な声や慣習という目に見えない何かに課題を見出しています。

その取り組みを言葉にすると「知らないことにより生まれる誤解。知らないことを知っているに変えていくこと」それがバリアフリーチャレンジの取り組みです。

特徴的なのはその問題を「障がい」に限定していないところにあります。

「障害者」だけが特にバリアを感じる存在でないこと、すべての人に固有の物語があり、それを共有する人の範囲が広がれば暮らしやすさは向上する

例えばこんなコミュニケーションがある時、私たちの心にはバリアがあるのではないでしょうか?

「だから女はわからない…」

「最近の若いやつは…」

この場合、女性という別の性であることや自分自身が既に若くないという立場の違いによって僕たちは気づかないうちに心のバリアを張ることがあります。

このように考えると「障がい者のことがわからない」というのは心のバリアの一種かもしれません。

心の中に課題があるということは私たち一人一人が常に取り組むべき課題ということになりそうです。日々、目を背けたくなる感情が僕の中でも渦巻いていますが、少しでも相手のことを想像できるようにしていきたいなと思います。

実際、島本さんの記事を読むことでトイレやスロープの見方が変わります。

これは社会に必要な情報だなと感じます。

ちなみに2020年の東京パラリンピックはこの心のバリアが取り除かれた共生社会を目指して「心のバリアフリー」を推進していく動きがあるようです。

スポーツを通じて感じる興奮や感動は心の壁を越えていくのかもしれません。

気になる今後の展開は…?

今回助成させていただいたのはHPのリニューアルです。このページの一番下にリンクを張っているのでそちらもぜひご覧いただければと思います。

また、情報発信の多角化の観点からライターチームを立ち上げ、今後はチームとしての情報発信を行っていくとのことです。理由はここまで書いたように僕たちが想像力を働かせていくべき領域とは必ずしも「障がい」だけではないからです。

これらの動きを経て、ますます情報発信の厚みが増していく中でよりインタラクティブなメールマガジンやイベントなどを企画しているようなのでぜひ機会があればこのムーブメントを共にできれば幸いです。

次回の記事はGiftの理事長小山から島本さんへインタビューです。

少しだけ書かせていただいた団体の歴史や今後のことなど、さらに深くお聞きしたいと思っています!

次回もお楽しみに!

島本さんの当事者目線での2つの記事

ちなみに以下のWEBサイトからメルマガ登録も可能ですのでもしよろしければそちらの登録もお願いします。





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