言葉が通じない相手との対話の仕方

「言葉が通じない」相手との対話の仕方

「営業部はマーケティング部の重要性を理解しようともしない」
「部長はメンバーの話を聞こうとしない。いつも自分が正しいと思ってる」

日本語で言っているのになぜか伝わらないという経験、みなさんも一度ならずあるのではないでしょうか?

言葉が通じない相手というのは「同じ言語を使っている(日本人なら日本語)にも関わらず、意味が通じ合わない相手」のことです。例えば、営業部門とマーケティング部門では売り上げを伸ばすという目的は共有していても、アプローチの仕方が異なるため、互いに理解できない部分があるかもしれません。また、独裁的に見えるリーダーの場合、コミュニケーションによって相互理解をするのは難しいかもしれません。

今回は、そんな言葉が通じない相手との対話の仕方について考えてみましょう。

なぜ言葉が通じないのか?

まず、話に入る前にこちらの動画をご紹介させていただきたいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=488ZBeaGo6s

こちらはあるTEDの動画です。
テーマは「The most important language you will EVER learn」。

言語学習をし続ける上で最も大切なことと題したこちらの公演の7:30あたりから「経験」という言語について述べられています。こちらの動画では癌を患った家族がいた体験や9.11の同時多発事故の時に経験したエピソードや体験を述べることで会場の一体感を生んでいるシーンが見受けられます。

仕事、中でも会議では話が噛み合わなず、ポジション的にパワーのある人が鶴の一声で決めてしまうこともよくあります。もし、最初に出した例のように営業部とマーケティング部の例のように仕事が異なり、成功体験、失敗体験が異なる人々にとって「お客様の声」とは何を指しているのでしょうか?マーケティングは数量的なデータが中心かもしれませんし、営業では実際に耳にした意見かもしれません。

このように「経験」によって「言葉が通じない」状況におかれた時には言葉に頼るのではなく、相手のストーリーを通じて相手の言葉の意味を理解する必要があります。なぜなら、それは経験による言語を理解する行為だからです。

気をつけなければならない落とし穴

この時、気をつけたいのは抽象論にならないようにすることです。戦略とは…。ブランドとは…。と哲学的な議論に入ることで解消することもあるかもしれませんが、多くの場合、機能しないでしょう。なぜなら本当に話すべきは言葉の意味を形作った経験だからです。

一つ実際にあった例を示しましょう。

あるクリエイティブ企業でブランドコンセプトを検討しているときのこと。「アート」という言葉が彼らにとって重要な意味を持っていたようですが、なかなか議論が噛み合いません。そこで社員それぞれにアートとは何かを語ってもらったのですが、内的な表現であると言っている人もいれば、表現活動に現れてしまう自分自身だとそれぞれ熱く語っても合意には至りませんでした。

しかし、「何がそこまで熱くさせるのですか?」と聞いたところ、ある社員が「喜びがあるんですよ!」と言った時に他の社員たちが「そうそう!」と強く共感を表現し、創作活動に携われる喜びがブランドの中に組み込まれました。

組織にいるメンバーによって「アート」と呼ぶものは異なっていたのですが、その活動による「喜び」は共通のものとしてあり、だからこそ彼らは「アート」という言葉に「創作の喜び」を見出したのだと思います。

例の前半部分が示している通り、抽象論の議論では、また認識の合わない言葉が出てきてしまうため、さらに擦り合わせなければならない言葉が増えてしまうことが原因です。これは実際に組織開発を行うときや会議のファシリテーションを行う時には気をつけなければならないポイントです。

このようなアプローチはいつもうまくいくわけではないかもしれませんが、それでも言葉が噛み合わない時、言葉に頼るのをやめ、体験を知ろうとすることで議論が噛み合い、チームが前に進めるようになるかもしれませんね。

チームを前に進める問いかける技術についてはまた機会があれば書いてみようと思います。

ではでは〜

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